PROFILE
季節の野菜と乾物を中心にした和食店「七草」店主。素材のおいしさを最大限に引き出す創意工夫溢れる料理が、多くの人々を惹きつけている。近著、『野菜の料理教室』(KADOKAWA)も好評。
理想の味を共に生み出す
ほかでは手に入らないパートナー
「ほとんどの食材は築地で手に入るので、じつは、あまりお取り寄せはしないんです」と話すのは、東京・下北沢で野菜と乾物を中心とした和食店を営む前沢リカさん。そんな彼女がわざわざ取り寄せてまで使っているのは、しょうゆと味噌、そして生麩の3種類のみです。
「きっかけは、どれも知人からのご紹介。自分から積極的にあれこれ取り寄せるタイプではないんです」と、はにかむ前沢さん。おすすめのなかで”これは“と思うものに出合ったら、それを長く使い続けるほうが性に合っているとか。いちばん長く愛用しているのは麩嘉の生麩で、もう10年近くになるそう。
「丁寧に真摯にモノ作りをされている作り手さんがたくさんいらっしゃいますから、試したらきっとどれもおいしいと思うんです。なので、私の作りたい料理にしっくりなじむ味であることや、いろいろな食材と相性がよく、使いやすいことなどを基準に、いいなと感じたものだけを取り寄せています」
ひとつひとつの食材を慈しみ、きちんと向き合う前沢さんの姿勢は、そのお取り寄せのスタイルにも、しっかり表れていました。
素材の味を引き立てる無添加のしょうゆは、
作り手のこだわりをじんわりと伝える
ふくよかなうま味が特徴
余計なものを加えず、手間と時間を惜しまずに、昔ながらの製法を貫く作り手さんの心意気に同感して使い始めたという梶田商店のおしょうゆ。「野菜が身近な私にとって、美しい野菜の色を邪魔することなく、おいしさを引き出してくれる薄口しょうゆは、なくてはならない存在です」とのこと。しっかりとしたうま味があるので、煮びたしやおすましなどといったシンプルな料理も、ぐっとおいしくなるそう。「まろやかで、コクの深い再仕込み醤油は、だしがいらないくらいうま味が凝縮されているので、おひたしなどに直接かけるだけでも十分だと思います。今回、ご紹介したレシピでは、カツオ節も使いませんでした」