えがわの『水羊かん』と飛び鉋柄の器

第25回 えがわの『水羊かん』と飛び鉋柄の器

こんにちは、飛田和緒です。今回ご紹介するのは、冬なのに? と思ってしまう福井県の『水羊かん』です。福井県内で何店か製造していますが、人気の「えがわ」さんのものを選びました。地方銘菓を置いているスーパーで見かけて、「どうして冬なのに、水羊かんなのかしら?」と気になっていたのです。

A4サイズの箱を開けると、1枚板のように容器に入っています。

水羊かんといえば、夏。そんな固定概念をくつがえすのが、福井の水羊かんです。聞けば、福井県では冬になると炬燵(こたつ)に入って食べるという食文化があるそう。販売するのも主に冬の間だけ。知り合いが夏に福井の和菓子屋さんで水羊かんを買おうと思ったら売っておらず・・・。それくらい“冬”が当たり前なのです。別名「丁稚ようかん」。諸説ありますが、京都などで奉公していた丁稚たちが、冬の里帰りの際にお土産に持ち帰ったことで広がったのだとか。いまでは、各店が独自の味で作られています。なかでも、えがわさんは歴史も長く、地元はもとより全国にもファンがいるお店です。

さて、冬の水羊かんのひとくちめ。そのインパクトは、黒砂糖からでした。甘さは控えめなのですが、黒砂糖のコクがとても深く、あっさりながらしっかりした上品な甘さを感じます。さすが最上級の黒砂糖をお使いとのこと。そして、水羊かんの要は、食感。こちらは、寒天のプルンとした程よい食感で、柔らかさがとても調度いいのです。羊羹のように重くないので、スルっとのどを滑るように通っていきます。軽いので、あっという間に食べてしまいました。
福井の水羊かんは、その形も特長です。A4サイズの箱を開けると、1枚板のように容器に入っています。付属の木べラで好きなようにカットできるので、私のような水羊かん好きは、ついつい欲張って大きく切ってしまうのです(笑)。好みの大きさを聞きながら切るのは、一家団らんのひと時として、楽しい時間になるでしょう。冬に水羊かん、我が家でも風物詩になりそうです。

付属の木べラで好きなようにカットできるので、私のような水羊かん好きは、ついつい欲張って大きく切ってしまうのです(笑)

今回の器は、東京に住んでいた頃によく通っていた洗足池の和食器のお店で購入した器です。当時はほとんどの食器をそこで買っていた、と言ってもいいくらい好きなお店でした。残念ながら、いまはもうないお店なのですが。購入したのは、20年以上前になります。取り皿として6枚揃えましたが、今は3枚しか残っていません。小鹿田焼のような飛び鉋(かんな)の模様がいいな、と思ったことを覚えています。少し黄味がかっていて主張のない使いやすそうな色も選んだ理由のひとつ。直径14.5cmは使い勝手が良いサイズで、かなり使用しています。柿やリンゴなど果物を入れるととてもきれいなのです。高台脇に銘はあるのですが、読みづらくて誰の作品なのか不明です。作家さんは分からないけれど、我が家ではとてもメジャーな器のひとつです。

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