こんにちは、飛田和緒です。今回ご紹介するのは、山梨銘菓で知られる澤田屋さんの『くろ玉』です。パッと見たときに何だろう?と思ってしまう見た目の不思議さに惹かれて、お取り寄せしました。
澤田屋の『くろ玉』と鎌倉彫の皿
澤田屋さんは、温泉で有名な山梨県石和町で江戸時代から菓子の卸問屋をしていました。その後、甲府へと移り、明治44年に生菓子の製造小売業を始めたので、創業から107年。卸問屋からでしたら150年以上でしょう、長い歴史をお持ちです。試行錯誤の上、元祖『くろ玉』が誕生したのは、昭和4年のこと。当時、一般の菓子屋では入手し難かった遠く北や南の良質な原材料が、卸問屋だったので手に入れることができたそうです。そんな極上の素材を使ったこの和菓子は、すぐに人気商品になりました。そして、今もなおロングセラーの人気を誇っています。
あえて前情報なく『くろ玉』を割ってみたところ・・・きれいな色の餡。栗きんとん?それにしては少し青いなぁ、と思いました。どんな味なのか想像できなかっただけに、ひと口いただくと驚きます。中は青えんどう豆100%のうぐいす餡で、コーティングしているのは黒糖羊羹。うぐいす餡はどこか懐かしく、さっぱりとした甘さであとをひく味。つぶ感を残しているのも、食感があって良いですね。羊羹は薄いので甘さがしつこくなく黒糖の味が引き立っています。はっきりとした青えんどう豆の味わいと黒糖とのバランスがちょうど良く、飽きがきませんので、ついパクッと食べてしまいます。一瞬、洋菓子のような風味も感じたのは、黒糖がコーヒーに合うからかも。日本茶はもちろん、コーヒーにもぴったりです。
コロンとまるい餡玉に羊羹を艶やかにうっすらかけるのは、熟練した職人のなせる技。すべてを手づくりしているというのも納得です。作り手の丁寧さがまっすぐに伝わってくる和菓子でした。
今回の器は、鎌倉彫の皿です。逗子亀岡八幡宮で開催される骨董市で見つけました。銘は入っているのですが、残念ながら作者は分かりません。伝統的な鎌倉彫の作品を持っていなかったため、せっかく鎌倉の近くに住んでいるからには、と手にしたのです。
鎌倉彫の起源は、鎌倉時代にまでさかのぼります。現在は法律で定められた「伝統的工芸品」(※一般的な伝統工芸品とは異なります)です。この皿はそう古い作品ではないようで、とてもきれいな状態でした。直径が12cmと使いやすい大きさに惹かれ、和菓子用に3枚購入。艶やかな朱色は、羊羹の黒にも映えるし、大福のような白にも合います。漬物をのせても良いなと思っています。
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