こんにちは、飛田和緒です。今回ご紹介するのは、本州最南端、和歌山県の串本町で店を構える儀平さんの『うすかわ饅頭』です。全国の饅頭を食べたいと思うほど饅頭好きなので、ちょっと個性的な見た目のこちらもぜひ味わってみたいと思い取り寄せました。
儀平の『うすかわ饅頭』と小野哲平さんの器
儀平さんは、明治26年に串本で創業しました。串本といえば、海がきれいでダイビングスポットとして有名です。また、南紀熊野ジオパークの一部として海岸地形の珍しさでも知られており、奇岩塔が並んでいる景勝地「橋杭岩(はしぐいいわ)」は観光名所。
こちらのお店は125年の長い歴史があり、様々な和菓子を販売されていますが、なかでも“儀平のうすかわ饅頭”は、饅頭マニアには言わずと知れたかなり有名な商品です。味はもちろんですが、形も特徴的。思い浮かべる饅頭は丸くてつるんとした形状ですが、儀平さんの『うすかわ饅頭』は形が凸凹していて餡が少し見えています。こちらは橋杭岩をイメージしているのだそう。
見た目もさることながら、味も唯一無二。「甘くない饅頭があっても良いのでは」という先代の考えから作られました。確かに、一般的な饅頭の甘さとはまったく違います。もちろん甘さはあるのですが、かなりおさえられた餡で、まろやかな甘味と軽さを感じます。ほのかな酒の香りとともに食感もやさしく、饅頭なのに口に入れた瞬間、餡も生地もさーっと溶けていきます。雑味がまったくなく、口の中で消えていく餡は、最高の舌触りなのです。
箱に並んでいる様子がかわいくて、一目見て「早く食べたい!」と思いました。大きさは温泉饅頭くらいで、大きからず小さからず。ですが、1つでは気持ちが収まらず、あまりのおいしさに我慢できずに3つ食べてしまいました。饅頭マニアがやみつきになる気持ちが、ひと口食べただけで分かりますよ。
今回の器は、個展を開催すると行列ができるほどの人気作家、小野哲平さんの作品です。高知県の自然豊かな山あいで作陶しているそうで、その環境が伝わってくるような素朴さと力強さのある器にファンは惹かれるのかもしれません。以前から茶碗や鉢などをポツポツと集めていましたが、この器は5、6年前に一目で気に入り購入しました。小野さんの作品は、1つとして同じものがなく1枚1枚表情があり、揃いのようで揃いじゃない、そんな作風が気に入っています。こちらは直径11.5cm。お菓子をのせたり、漬物をのせたり、安定感があるので、大きめの醤油差しに使うこともあります。やんわりとした存在感があり、テーブルのアクセントになっています。
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