こんにちは、飛田和緒です。今回ご紹介するのは、美食の街で知られる東京・神楽坂にある五十鈴さんの『水まんじゅう』です。夏菓子のなかでも大好きな種類で、この季節の和菓子には入れたい一品です。そして、食通が通う神楽坂の和菓子店、これはぜひ食べてみたいと思いお取り寄せしました。
神楽坂 五十鈴の『水まんじゅう』と岸野寛さんの小皿
都心にありながら、風情のある通りが残る神楽坂は、かつて花街として賑わい、いまは高級料亭、有名フレンチなどが集まっている人気の街。そんな神楽坂で1946年に創業した五十鈴さんは、舌の肥えた地元の方々に愛されている老舗です。人気の理由のひとつは、和菓子の要となる餡子。最高級の北海道産小豆のみを使用し、毎日、湿度や気温をみながら丁寧に炊いているそうです。また、お店の看板商品の甘露甘納豆は、ふっくらとして柔らかく上品な甘さで、完成までに1年かかった銘菓。シンプルな菓子だけに、店の和菓子への熱意とこだわりが感じられます。
さて、『水まんじゅう』ですが、今回は「こしあん」と「種入り紅梅」の詰め合わせを選びました。大好きな和菓子なので、これまで数えきれないほど食べてきた経験から思ったのは・・・。
このやわらかさとのど越しは格別! 葛をじっくりと練りあげたという皮の部分は、やわらかい中にもぷるんとした弾力、しっかりと食感はありつつ、つるん!ときれいにのどを通っていきます。ほのかな甘さもあってか、皮だけでも十分おいしいのです。
もちろん、上品な甘さの餡子、種入りの紅梅と合わせたそれぞれの味も申し分なし! 紅梅はシロップ漬けのようなやわらかく爽やかな甘さ。こちらもそれだけでおいしい。紅梅を食べて風味が残っているうちに皮を口にすると、違う味わいが楽しめます。2種の食べ合わせも良く、こしあん、次に紅梅、そしてもう一度こしあんが食べたくなる、この絶妙な甘さと爽やかさ。大きさは直径5cm程なので、1個を二口三口でいただくのがちょうど良いバランスです。
販売は5月~9月限定で、夏季の和菓子らしい笹の葉のあしらいが涼しげ。暑い日に冷やりとしたのど越しと上品な甘さを味わいたい、自分用にも手土産用にもしたい一品です。
今回の器は、岸野寛さんの灰釉薬5寸皿です。長野市のギャルリ夏至で4年ほど前に2枚購入したのですが、残念ながら1枚は割れてしまいました。以前にご紹介した岸野さんの作品はこちら(第2回 しろ平老舗『きんかん大福』と夏至の菊皿)。灰釉らしい自然な色合いや、縁のデザイン、少し深さがあるところが気に入っています。おかずの盛り付け、お菓子をのせるなど、使用頻度が高い1枚で、取り皿としてもよく使っています。我が家はシンプルな皿が多いため、このようにデザインされてナチュラルな色があるものを一緒に使うと、アクセントになってくれます。
<気になる和菓子>