こんにちは、飛田和緒です。今回ご紹介するのは、東京・池袋で甘味処としても人気、池袋三原堂さんの『塩せんべい』。手土産としてメディアで何度も紹介されているおせんべいです。塩せんべい好きの私としては、気になった一品でした。
池袋三原堂の『塩せんべい』と三谷龍二さんの器
西池袋にある池袋三原堂さんは、創業は昭和12年で80余年の歴史があります。当時、西池袋を含む豊島区西部は、芸術家向けの借家群のアトリエ村があり、多くの芸術家たちが住んでいたそうです。引っ越し好きで知られた文豪・江戸川乱歩が、終の棲家として選んだのも西池袋でした。その乱歩が気に入っていたお店のひとつが池袋三原堂さんです。ある作品中で「この店は池袋名物のうちでも光った存在の一つであろう」と記述しているほど。そのような背景もあってこちらのお店では『池袋 乱歩の蔵』というお菓子も作られています。文豪が贔屓にしていた和菓子店って、物語があって素敵ですね。
塩せんべいは、もともと好きなのですが、こちらの『塩せんべい』はかなり好きになりました。せんべい好きの友人に早速紹介したいと思うほどです。理由の一つは歯ごたえと食感。国産うるち米のつぶつぶ感を残した生地を厳選した塩と醤油で焼いているそうで、そのつぶつぶの歯ごたえがとても良くって。お米を食べているという感じです。大きさは約7.5cmで厚みは2㎜程度でしょうか。割っても、かじってもパリッ!としています。薄焼きなので、食べやすいのも良いですね。
そして、香りと味もとても好きです。袋を開けた途端に、香ばしい焼き醤油の香りが周囲に広がります。これはこっそり隠れて食べても、必ず匂いでバレてしまいます(笑)。塩が強いわけでもなく、醤油が強いわけでもない、絶妙のバランスが味わえる加減。甘いものを食べた後に、塩っぱいものを~といった時に、ついつい手が出てしまいそう。米、塩、醤油というシンプルさで、おせんべい本来のおいしさが感じられますよ。
今回の器は、三谷龍二さんの器です。この連載で何度となく登場させた三谷作品は、木の素材感を生かした器でしたが、こちらは白漆です。三谷さんの初期の作品、その中でも、初めて白漆に挑戦したときのものです。大・中・小の白漆を何点も持っていましたが、いまはこの1点だけ。スタイリストさんに「これだけは残して」と言われています。直径が約24cmと大ぶり。とても素敵なのですが、自宅用にはちょっと使い方に悩む器です。ですが、撮影では、茹で野菜をのせたり、枝豆はとてもきれいに映えます。この写真では隠れていますが、塗りのグラデーションや、刷毛の柄がきれいなところが気に入っています。我が家では普段使いにしている三谷作品が多いなかで、かなりきれいな状態で残してある貴重な1枚です(笑)
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