こんにちは、飛田和緒です。今回ご紹介するのは、佐賀市の老舗和菓子屋、御菓子司 鶴屋さんの『肥前ケシアド』です。コロンとした見た目が、幼い頃に食べていた饅頭に似ていたので、気になってお取り寄せしました。
佐賀県佐賀市 御菓子司 鶴屋の『肥前ケシアド』と佃眞吾さんの器
鶴屋は、創業が1639年、今年で380年となる歴史ある和菓子屋。当時の佐賀藩城主・鍋島勝茂から御用菓子司に任命されました。江戸時代の初期から続く御菓子司は、全国でも少ないので、まさに由緒正しき老舗中の老舗です。それが現在もおいしいお菓子を作り続けているというのは、相当な努力の賜物でしょう。
佐賀は、長崎から江戸へ砂糖を運ぶシュガーロードと呼ばれる街道が通っていたことから、お菓子の文化が繁栄したとも言われています。そんな佐賀の代表銘菓「丸ぼうろ」は、鶴屋の『丸房露』が元祖だとか。江戸前期の1682年頃(330年以上前!)に二代目が長崎の出島でオランダ人から製法を習った南蛮由来のお菓子なのだそう。
『肥前ケシアド』も南蛮由来のお菓子で、江戸中期に編集された鶴屋の古い文書に「けし跡(けしあど)」と記載があるそう。チーズを使ったポルトガルのお菓子が元で、当時はチーズの入手が困難だったため、かぼちゃ餡を使用。その後、数百年を経て、餡にチーズを練り込んで現代風にしたのが、現在の商品なのです。
とてもストーリーのある“かぼちゃ餡の饅頭”と思いながら食べたところ…、いままでの饅頭では経験したことのない食感! 予想外にしっかりとした皮で、饅頭の皮というよりも「ぼうろ」なのです。そして、これ自体も美味しい!
カボチャ餡はクリームチーズが練り込まれているためか、まったりとしています。シナモンが効いているので、異国を感じさせる洋菓子のような、でもやっぱり和菓子のような。なんともクセになる美味しさです。甘さは控えめシンプルでやさしい味なので、子どものおやつにもおすすめですよ。
今回の器は、人気の木工芸作家・佃眞吾さんの作品です。佃さんは、くりぬき、漆、指物(組み合わせて作る物)など、様々な木工手法で幅広い作品を生みだしています。木工家具職人から工芸家になった方なので、技術に長けているのでしょう。
この豆皿は桜が素材で、木目がきれいです。大きさは最長の縦×横が11×11cm、最短が9×9cm。梅の花のような花輪のカッティングが可愛かったので、ピアスを置くトレイにしようかなと思って1枚だけ購入しました。昨年末に手に入れたばかりなので、まだ使い込んではいません。お菓子をのせたり、小ぶりな茶器のコースターにもいいなと思っています。
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