こんにちは、飛田和緒です。今回ご紹介するのは、愛媛県の小京都として知られる大洲市に店を構える老舗和菓子店、冨永松栄堂の『志ぐれ』です。モチモチっとした見た目が気になって、ぜひ食べてみたいと思い、お取り寄せしました。
愛媛県大洲市 冨永松栄堂の『志ぐれ』と作者不明の器
冨永松栄堂さんは、明治8年創業で144年の歴史をお持ちの老舗。初代の八太郎さんが『志ぐれ』を商品化したそうです。そもそもこのお菓子は、約200年前に大洲藩の江戸屋敷にて秘伝菓子として伝えられていたもの。町民の菓子ではなかったのですが、家臣が自宅で作るようになり、徐々に一般に広がったとのこと。そして八太郎さんによって、作り方がきちんと世に伝わることになったそうです。いまでは大洲銘菓として、お土産にも人気で親しまれていますが、昭和天皇陛下の御用命菓子に選ばれるほか、全国菓子博で何度も受賞している誉れ高い和菓子なのです。
『志ぐれ』は、材料の北海道・十勝産の小豆、国産のもち米、そして、地元の清流・肱川の良質の水が美味しさの源です。小豆の味が明瞭で、グラニュー糖のサラリと控えめな甘さが小豆本来の味を引きたてていました。
最大の特徴は食感でしょう。モチモチねっとりした食感は、ういろうとも、羊羹とも、お餅とも異なります。米粉と餅粉になじんだ小豆が、かまなくても口の中で溶けていくような柔らかさ…何とも表現しがたいのです。モチっとしつつ、のびる感じでもサクッとした感じでもない。丁寧な2重包装なので、作りたての柔らかさとしっとり感が守られている気がしました。
奇をてらっていない、素朴な小豆のお菓子という印象ですが、懐かしい味なのに他には無い食感に新しさも感じる、ちょっとクセになるおいしさです。
今回の器は、近所のアンティークギャラリーで最近購入しましたが、作者は不明です。直径が12.5cmと小さくも大きくもない使いやすいサイズです。漆黒と朱色のコントラストが良いと思って選びました。2枚購入したのですが、もう1枚は朱色が少しくすんでいます。そんなトコロもアンティークの良さですね。普段は、豆菓子をのせたり、懐紙をのせててそら豆やとうもろこしの天ぷらをのせたりして使っています。
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