こんにちは、飛田和緒です。今回ご紹介するのは、日本三大和菓子処である松江市で店を構える老舗、桂月堂さんの『薄小倉』です。粒のきれいな大納言がおいしそうだったので、気になってお取り寄せしました。
島根県松江市 桂月堂の『薄小倉』と伊藤環さんの器
島根県松江市は、松江藩主の松平治郷(通称・不昧公)が江戸時代を代表する茶人の一人でもあったことから、茶の湯と和菓子の文化が広まりました。1809年創業の桂月堂は、松江和菓子の文化を担ってきた老舗のひとつ。松江では、江戸時代から庶民の間でも抹茶が親しまれてきた背景もあり、こちらのお店では、茶道にあう和菓子をいくつも作られています。宍道湖や島根県立美術館に近く、観光客も訪れやすい場所なので、お土産として買い求められることも多いようです。
「薄小倉」は、材料が大納言小豆、砂糖、寒天、水飴ととてもシンプル。ですが、砂糖と寒天を煮詰めた“錦玉”のカリッとしたコーティングとやわらかな小豆のバランスが絶妙で、食感がとても良いのです。味は混じり気のない甘さで、甘いけれどしつこくない、個人的にはコーヒーにぴったりだと思いました。
ふたつに割ったところ、粒の揃った大納言小豆が潰れたり破れたりせず、丸々ときれいにキューッとまとまっています。小豆は粒の大きさを揃えるため、人の手で選別する“手選り”だそう。そして、三日間、秘伝の密で漬け込んだ後に丁寧に炊き上げています。小豆がとてもふっくらしているのに破れていないのは、その時間をかけた工程だからなのでしょう。
細部まで手間をかけて作っているからこその美味しさ。和菓子の魅力を実感できるお菓子でした。
今回の器は、伊藤環さんの3寸皿です。伊藤さんは以前、三浦半島で作陶されていたのですが、東日本大震災の後、岡山に引っ越しされました。このお皿は、三浦半島で暮らしていたときに、10枚くらい購入したものです。残念なのことに、震災でかなり割れてしまい、いまは2枚しか残っていません。震災後に同じものを発注したのですが、全く同じものにはならず…。手作りの作品なので、時期が違うと、ニュアンスも変わってくるのかもしれませんね。この皿は直径9cm、高さは2cm。小ぶりなので、醤油や薬味などを入れ、毎日のように使っています。
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