峠の茶屋を想像していたら、実に本格的な田楽と出会えた
ニッポンの食堂と聞いて何を想像されるだろう。
なんとなく昭和なイメージや香りという回答が大多数を占めるのではないかと思う。ただこの昭和の意味はあくまで第二次世界大戦後である。ところが、昭和どころかすでに百年を超える歳月、ずっと存在してきた食堂が、例えば北海道だけでも20軒を上回ると聞いた。
百年というと、昭和~大正~明治の三つの時代を生き抜いてきた、言い換えれば愛され続けてきた実績と歴史、そしてなにより数奇な運命の積み重ね。単純に昭和の香りでは表現しきれない戦争や天災を経て、まさに遺産ともいうべき貴重な宝である。そんな、全国各地にあるニッポンの食堂を紹介する連載、第一回目は、会津若松の「お秀茶屋」を選んだ。