みなさま、こんにちは。インナービューティープランナーの田辺真穂です。
自然豊かな岐阜県の八百津町という小さな町で、「町の小さなお料理教室 -minamoto-」を不定期で開催し、腸を整えるおうちごはんやおやつ、本みりんを活用したみりんスイーツをお伝えしています。
発酵食品 岐阜県川辺町 白扇酒造の「こぼれ梅(みりん粕)」
今回は、岐阜県川辺町にある、「白扇酒造」様の「みりん粕」をご紹介します。みりん粕って何だろう? といった方も多いのではないでしょうか。みりん粕とは、熟成させたもろみを絞って、みりんを液体として抽出するときにできる、いわば、絞りかすです。白くホロホロとした形状が、満開になった梅の花に見えたことから、別名「こぼれ梅」とも呼ばれています。
原料は、本みりんと同じ、もち米と米麹と焼酎。それらを長い間、糖化発酵・熟成させてできたみりん粕には、栄養がたっぷり含まれています。成分としては、炭水化物、水分、アルコール分が約9割、残りの1割はたんぱく質や脂質などで構成されていて、糖化発酵・熟成の過程で生まれるアミノ酸やビタミンB群が豊富に含まれます。
また、胃で消化されずに腸まで届き、腸内の脂質を体外に排出してくれる役割をする、食物繊維に似た働きをするたんぱく質、「レジスタントプロテイン」が含まれていることも分かっています。
酒粕や甘酒ほど馴染みはないですが、栄養満点で、もち米由来の優しい甘さがおいしい、とても魅力的な発酵食品です。
今日はそんな魅力たっぷりのみりん粕と、春の食材を使ったお料理をご紹介します。
「こぼれ梅」を活用したレシピ『アスパラと新じゃがのみりん粕グリル』
<材料> (2人分)
アスパラガス・・・1束(約130g)
新じゃがいも・・・中1個(約100g)
(調味料A)
・こぼれ梅(みりん粕)・・・20g
・自然塩・・・小さじ1/2
・くるみ(細かく刻む)・・・10g
(調味料B)
・オリーブオイル・・・大さじ1
・にんにく(すりおろす)・・・1片
・ブラックペッパー・・・お好みの分量
<作り方>
① アスパラは、根元の固い部分を切り落とし、はかまをとって、4等分に切る。新じゃがいもは皮付きのまま、一口大に切る。Aはよく混ぜ合わせておく。
② 鍋に、鍋底が隠れるくらいの水(分量外)、①、ひとつまみの塩(分量外)を入れ、アスパラは青々とするまで、じゃがいもは竹串が通るまで、蒸し煮をする。
③ 蒸している間に、オーブンを180度に予熱する。
④ ボウルに、蒸しあがって、よく水気を切ったアスパラと新じゃがとBを入れ、和える。
⑤ 耐熱皿に④を入れ、上からAをふりかけて、180度のオーブンで15分焼く。
みりん粕の甘さに、にんにくの香りと塩気、オリーブオイルとくるみのコクが絶妙にマッチして、アスパラと新じゃがの素材の味を引き立てるおいしい一品です。お花見のおつまみに、春のホームパーティの一品に、ぜひ作ってみてくださいね。
昔は、こぼれ梅としてよく販売され、人々に馴染みのあったみりん粕。甘いものが貴重な時代、おやつとしてそのまま食べたり、お漬物の漬け床にしたり、さまざまなものに使用されてきたそうです。(※アルコール分が7%ほどありますので、そのまま食べる際はご注意ください)
現在、見かけることが少なくなってしまったのは、戦後の米不足による本みりんの製造禁止や、解禁後の高課税などで、大量生産のみりんが出回るようになり、昔ながらの伝統製法のみりん屋さんが激減したことが原因といわれています。
昔ながらのみりん造りをしないとできないみりん粕は、今では貴重なものになってしまいました。けれどその分、お砂糖ではなく、お米本来の甘さを楽しめるみりん粕をいただくことが、なんだかとても贅沢に感じます。
ぜひ、みなさまにも「みりん粕」の魅力を、楽しんでくださいね。
【おすすめのみりん粕】
『こぼれ梅(みりん粕)』/白扇酒造株式会社
https://www.hakusenshuzou.jp/kodawari/mirin.html
創業は、江戸時代後期。水に恵まれた風土や歴史を財産として生かし、昔から受け継がれている伝統的な製法で、時間と人の手をかけて丁寧に作られる、おいしい本みりんを作られています。こちらのこぼれ梅は、そのみりんを絞った時に出来る副産物。昔ながらの伝統的な製法でしか出来ない、希少なみりん粕です。
【器】
今回は「iwaki」の耐熱ガラスの保存容器を使用しました。保存容器としてはもちろん、こうしたオーブン料理や、そのまま器としてもマルチに使える、お気に入りの一品です。