まずは鮒寿司の作り方を田井中丈明さんにおうかがいしました。
3月からゴールデンウィーク頃に原料となるフナを漁獲し、お腹の子(卵)を残してツボ抜きにしたら、塩を詰めて塩切りという作業を行います。
7月ごろまで塩漬けにし、夏の土用の頃に炊いたご飯に漬け込みます。土用の丑の暑い時期にご飯に漬けることがポイントで、これはよく発酵させるための知恵だそうです。
4~5ヶ月間発酵させて、お正月頃にいただくのが定番とのことです。
この一連の作業の時期にはそれぞれ意味があるのですが、近年の気候、例えば鉄砲水が発生したり、大雪が降ったかと思えば全く雪が降らない年があったりなど、受け継がれてきた時期通りにはいかないことも増えているそうです。
さらに、琵琶湖を取り巻く環境の変化。埋め立てや水田の状況の変化により、鮒寿司生産者の言葉で言うと「琵琶湖がいうことを聞かない」状況が起こっているそうです。
つまりは、原料となるフナが琵琶湖に住めない、漁獲できない現状が起こっているのです。
鮒寿司という滋賀の郷土料理を通して見えてくるのは、私たち滋賀県民が守るべき琵琶湖の現状でもあります。
加えるならば、鮒寿司は機械で作ることはできないため、その技術の伝承もこれからの課題だと言えます。
このような状況の中、手にすることのできる鮒寿司はとても貴重なものとも言えますね。
乳酸菌が豊富に含まれ、ガン予防、高血圧抑制効果、腸内環境改善など様々な健康効果、腸が整うことによる美容効果も期待ができます。フナを骨ごと食べることが出来るので、カルシウムもしっかりと摂取することができますよ。
オススメの食べ方を田井中さんに聞いてみました。
まずは「勇気を出して食べてみてほしい。食べる前から嫌いにならないで」とのこと。
そして、鮒はもちろん、発酵してツブツブがなくなったご飯の部分(「いい」と呼ばれます)も食べてみてほしいとのことです。
そんなご提案を受けてご紹介するレシピは、鮒と飯、その両方を使った生春巻き。
鮒寿司のルーツは東南アジアにありと言われるくらいですから、エスニックなお料理にもぴったりです。