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第22回 ローフードな創作料理が「なんとも変わった」空間で楽しめる 人気レストラン「ラロ・レア(RARO RARE)」
スペイン・マドリード編 第1弾
スペイン人は、生牡蠣やボケロネス・エン・ビナグレ(カタクチイワシのマリネ)以外はナマモノをあまり口にしなかったのですが、近年、寿司ブームが押し寄せ、それをきっかけにローフード(生食)の美味しさの虜になった人が多くなってきました。
そんな中、マドリードで一風変わったローフードレストラン「ラロ・レア」が2016年10月にオープンされ、平日のディナーや週末は予約なしでは入れないくらいの人気店になっています。
そのレストラン名「ラロ・レア(RAROはスペイン語で「変わった」、「稀有な」、「他に類を見ない」という意味。RAREはステーキの焼き加減でおなじみの英語の「レア」)」からも分かるように、生食やサッと火を通しただけの食材を使った料理が多く、味覚だけでなくアイデアや飾り付けも斬新で楽しい。
場所はマドリード市内、目ぬき通りのGran Víaから最新ファッション店や人気店が並ぶ遊歩道「Fuencarral通り」を歩いて10分ほど。マドリード歴史博物館を眺める14世紀の建築物にあるこのレストランは、内装インテリアも「一風変わった」ものが飾られています。
様々なデザインのステッキ(杖)、レトロな雰囲気の薬瓶、サンゴのオブジェ、蝶の標本や甲殻類の剥製など、オーナーの叔父さんのコレクションだというスペインの歴史を感じさせてくれる小物がズラリと飾られています。ちょっと雑多な感じもするが、古びた感じはまったくなく、むき出しの鉄骨や石柱などのモダンな内装にマッチしているところが何ともオシャレ。店の奥中央にはレストランのロゴにもなっているギリシア神話に登場する婚姻と女性を守護する女神「ヘーラー」の絵が来客を迎えてくれます。
ゆったりしたソファー席もありオープンドアも開放的で、暖かい時期には通りのテラス席も利用可能。居心地が良いのでコーヒーやドリンクだけを楽しみに来る客も多い。スペインでは叫ばないと会話が成り立たないほど音響がうるさいレストランも少なくない中、この店はゆっくりリラックスできるのがGOOD。夜の混んでいる時間帯でもほんのり灯る間接照明やテーブル上のキャンドルでワイン片手に会話がついつい弾んでしまう。
オーナーはカルロス・モレーノ・フォンタネダさんという人で、他に2店舗経営しています。このカルロスさんの苗字「フォンタネダ」は実はスペイン人が聞けばほぼ100%の人がピンと来る苗字です。実は「フォンタネダ」はスペインではマリービスケットの代名詞になるほど有名な菓子メーカーのブランド名なのです。つまりカルロスさんはそのフォンタネダ社創立者の孫にあたる人なんです。彼が最初にオープンしたレストランには自分のルーツに敬意を表し、「galleta=ビスケット」という名前が入っています。
そのカルロスさん曰く「3店舗目のラロ・レアは、居心地がよく、他に類を見ない空間で目新しい料理を提供したかった。もちろん叔父自慢の「一風変わった」コレクションを飾るスペースが欲しかったのも事実だけどね。」と語っています。
メニューは今流行りの日本食や南米食の影響を受けたフュージョン系ですが、、スペイン食がベースになっている料理も多く、インテリア同様に「創作性」、「斬新さ」、「楽しさ」がぎっしり。「生食」や「レア」料理が多いため、食材は新鮮。シェフが創り上げた様々な味と食感のハーモニーを堪能できます。
まずドリンクを頼むと前菜として出てきたのは枝豆のパテ。枝豆のグリーンが鮮やかで「枝豆にこんな食べ方もあったか」と感心。ドリンクは、マドリードで人気No1のMahouのドラフトビール(330ml、2.90ユーロ)、ワインリストからはカラタユ(スペイン北東部のアラゴン州東部にあるワイン産地)ワイン「Honoro Vera(グラス3.50ユーロ)」、リオハワイン「López de Haro(グラス3.75ユーロ)」などボトルまたはグラスで注文可能。
前菜とワインを楽しんでいる間に最初の皿が登場。まずはタパスとしても有名なエンサラディージャ・ルサ(ロシア風サラダ)をベースにした「Vert(11.50ユーロ)」を頼んでみた。りんごが入ったポテトサラダにペストソース、メルルーサ(タラ)やワサビ風味のトビウオの卵がトッピングされ、伝統的エンサラディージャ・ルサに比べて、繊細な口当たり。ペストソースやメルルーサなどと頬張ると様々な味を楽しめます。
そしてウェイターイチオシのペルー料理セビチェ(白身魚のマリネ)をアレンジした「Cevi(16ユーロ)」。マリネ液にダイス状にカットされたコルビナ(ニベ科の魚)が漬かり、プリプリ海老「gambón」が乗っかっている。魚がスライスではなくダイス状というのも食感的に面白く、お皿に残ったソース(アヒ・アマリージョ+レチェ・デ・ティグレ)に食材のエキスが溶けこんでいて、ウェイターのお兄さんが「最後の1滴まで残さず食べて!」とオススメされた一品、納得!。残ったマリネ液にパンを浸してダイナミックにそのまま手で食べちゃいました。
ガッツリお腹を満たしたい人向けなのが、豚足の巾着揚げ「Porkibags(11ユーロ)」。じっくり煮込まれて繊維状に柔らかくなった豚足肉が他の食材と包まれ、見た目は小さな春巻。上からは豚足を味噌とオレンジを煮詰めた濃厚なソースがかかっていて満腹感を与えてくれます。
そして一番のおすすめはイカスミ・トルティーヤ「Tornegra(12.50ユーロ)」。トルティーヤ(スパニッシュ・オムレツ)といえば誰もが「ママのが一番」と豪語し、バゲットサンドの具、朝食、軽食にといつでもウェルカムのスペイン人のソウルフード。そのトルティーヤにはうるさいスペイン人が、「メニューからなくさないで」と懇願したというこのイカスミ・トルティーヤ。見た目は丸くて平部たい大理石にイカ足唐揚げが花開きインパクト大。早速一口大に切って見ると、中からは半熟の卵がイカスミと共に黒く輝いてとろけ出し、頬張ると絡み合うジャガイモと卵の味と共にチピロン(小イカ)の旨みがジュワッと広がり、大満足間違い無し。
その他にも鰻とチーズの春巻き「Anguilaoitos(12ユーロ)」、チミチュリソース味和牛バーガー「Wagyburger(12.5ユーロ)」、燻製黒鯛のタタキ「tatadori(15.5ユーロ)」など名前だけでは想像つかない試してみたくなる料理が盛りだくさん。半月に一度新たな料理が登場し入れ替わるそうなので、食べに行くごとに新しい料理に出会えそうです。
接客も良く、忙しい時間帯でもウェイターはにこやか。食事中にも「Todo bien? (お食事はいかがですか?)」と声をかけてくれる。長居してもせかされないので、スペイン人同様、料理とおしゃべりを存分に楽しめます。
旬によって食材、メニューが変わるためサイトで事前にメニューをチェックしよう(ちなみにスペイン語でメニューは「Carta(カルタ)」と言い、「Menú(メニュー)」は「日替わり定食」の意味になるので要注意)。
形式にこだわらず、好きな物を頼んでシェアをするのがオススメ。
服装はTシャツ&ジーンズでもOKだけど、夜はオシャレでファッショナブルな人も多い。ディナーや週末は要予約。ガイドやコンシェルジュに予約を依頼してみよう。
レストランデータ
住所:Calle Barceló 5, Madrid 28004, Spain(メトロTribunal駅からすぐ)
電話:(+34) 682 050 304
営業時間:
日〜木 13:00 〜 17:00 / 20:30 〜 01:00、
金・土 13:30 〜 17:00 / 20:30 〜 02:00(17:00〜20:30はドリンクのみ)
サイト:www.rarorare.com
(料金は税込。パンと前菜に別途1ユーロ/1人)