今回編集長アッキ―が気になったのは、創業は1866年で155年以上の歴史を持つ、「海老御菓子處 桂新堂」。おいしさを追求し、進化を続けるえびせんべいへのこだわりを桂新堂株式会社の光田侑司専務に取材陣がお話をうかがいました。
おいしさを追求し 進化し続けるえびせんべいの 最上の逸品「海老づくし 」
2022/03/01
桂新堂株式会社の光田侑司専務
-長い歴史を持つ、御社のえびせんべいの特徴を教えてください。
光田 日本のえびせんべいは、愛知県で約8割が生産されているほど、愛知県に集中しています。その理由は、伊勢湾や三河湾に面する知多半島は、えびが湧くほど獲れたとされる地域だからです。弊社は平成に入って、国産の車えびや北海道産の甘えびなどを使った、高級路線に切り替えました。また、えびせんべいに季節や歳時記のモチーフを描くなど、えびせんべいを贈答品としてお使いいただける商品が中心となります。
「海老づくし」。詰合せ内容は、車えび姿焼き(2枚入)×1カップ、
車えびあられ焼き×1カップ、甘えび磯焼き(甘えび磯焼き1枚、渦巻き6枚入)×2袋、
甘えび炙り焼き×3袋、芝えび炙り焼き×3袋、ぼたんえび炙り焼き×3袋。
-本当に芸術品のようなえびせんべいですが、製作には手間暇がかかるのでは?
光田 はい。どうしても手作業が必要な部分があり、機械で大量生産するのは難しいですね。製造の直前まで生きているえびを使っていて、鮮度にもこだわっています。輸送で鮮度が落ちないよう、北海道余市にある漁港の近くに甘えび専用の加工工場も設けています。
職人さんが1枚1枚手で仕上げるのもおいしさの理由。
-おいしさの追求は定番商品にも?
光田 昨年、桂新堂の代表作品である車えびと甘えびの『姿焼き』と車えびの『あられ焼き』をリニューアルしました。これらは料理のようにあられをまとった姿が特徴です。活きているうちに身をさばき、瞬時に鉄板で熱を加えるという方法で、えびの生臭さを感じることもありません。また昨年は「炙り焼き」も進化しました。見た目は、穏やかで落ち着いた光悦茶色(こうえつちゃいろ)で、薄い皮張り具合が美しくなっています。これまでは、噛めば噛むほど味がでるお菓子という特徴がありましたが、改良では、一口目から広がる濃厚なえびの旨みと歯ざわりの良さ、そして飲み込む際ののどごしの良さを重視しました。食べた後にもう一枚手が伸びてしまうようなおいしさを追求しています。
-あられをつけて焼くというのはすごいアイデアですね。
光田 料理から着想を得ながらもお菓子としてのおいしさを出すにはどうすればよいのかと試行錯誤していたときに、7代目である父のアイデアで、あられをつけて焼いてみようという話になったのです。すると、味も食感も変わっておいしくなり、さらに高級感も出すことができました。
独自の製法で焼き上げています。
-今、新たにチャレンジされていることはございますか?
光田 コロナ禍で出張や旅行が少なくなり、弊社のお菓子を手土産やお土産品として使ってもらう機会が激減しました。実はコロナ前から、中元や歳暮など儀礼的な慣習が減っている傾向があったのですが、コロナ禍で加速しました。おうちで過ごす時間が増えたなら、おうちで食べてもらえる商品を扱わなければなりません。そのためにもやはり、おいしさがすべてで、もっとおいしくなければダメだと考え、昨年、姿焼きや炙り焼きをグレードアップしたのです。
えびの旨みが詰まった炙り焼き。
-「海老づくし」は、高級感あるパッケージにワクワクしますし、特別なおうち時間が過ごせますね。
光田 日本酒や麦焼酎との相性も抜群なので、おうちでお酒を飲んでくつろぎながら、えびせんべいを召し上がっていただければと思います。甘いものを求める方も増えているので、チョコレートをのせて焼いた「くつろぎ焼きショコラ」という商品も開発しました。
-インスタグラムではアレンジレシピも掲載されています。
光田 いろんな食べ方を提案することで、商品に興味を持っていただければと思っています。実は、炙り焼きは、砕いてご飯に混ぜ込んでおにぎりにしたり、チャーハンの具材として一緒に炒めてもおいしいです。
お酒のアテとしてもぴったり。
-それはびっくりです!インスタグラムもウェブサイトも写真がきれいで、ウェブサイトは多言語対応なのも親切です。
光田 空港で商品に興味を持った海外のお客様にQRコードを読み込んでもらうと、桂新堂やお菓子の紹介が分かるようになっています。えびせんべいを食べたことがないお客様は、甘いのかしょっぱいのかもよくわからないと思うので。
-『サステナブルえびせんべい』という商品も作られ、SDGsも意識されています。
光田 この商品を作る過程では、名古屋国際中学校・高等学校SDGs未来倶楽部「Sus-Teen!」のメンバーと一緒に議論を重ね、商品をつくるだけでなく、未来を担う学生たちが社会的課題について考えていただく機会を設けることもできました。とくに食品ロスに着目し、カレーうどんの若鯱家さんの製造工程で出るうどんの端材、桂新堂の甘エビの頭を使って、これまでは破棄せざるを得なかった素材を使用し、えびを余すことなくお菓子にすることに取り組んでいます。近い将来、海の中のゴミの量が、魚の量と同じになるとも言われており、えびが獲れなくなると我々は廃業してしまうので、持続可能な社会の実現に向けても取り組んでいます。
-貴重なお話をありがとうございました!
「海老づくし(2カップと11袋入)」
▶価格 ¥3,564(税込)
▶店名 桂新堂
▶電話 0120-08-7667(土日を除く10:00~16:00)
▶定休日 インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶商品URL https://keishindo-shop.com/SHOP/0100251.html
▶オンラインショップ https://keishindo-shop.com/
<Guest’s profile>
光田侑司氏(桂新堂株式会社 専務)
1983年名古屋市生まれ。立教大学経済学部卒業後、2006年株式会社名古屋銀行に入社、2011年桂新堂株式会社に入社。現在は、営業、販売、企画、人事部門を中心に統括している。また公益社団法人 日本青年会議所2022年度の副会頭も務め、幅広い人脈を活かした活動を進めている。
〈取材/垣内栄 MC/吉田茉代 画像提供/桂新堂〉