今回、編集長アッキーが気になったのは、昭和56年創業の博多中洲の本格もつ鍋店「博多若杉」。コロナ禍の現在は通販のみの営業を行っています。株式会社Skyward代表取締役の松尾直幸氏に取材陣がうかがいました。
ぷりぷりのもつに野菜がたっぷり 大人気もつ鍋を自宅で楽しめる 「博多若杉牛もつ鍋セット」
2022/05/02
株式会社Skyward 代表取締役の松尾直幸氏
―まずはお店の歴史について教えてください。
松尾 もともとは先代が焼き鳥店からスタートし、地元の皆様に支えられて店舗を拡大してきました。通信販売も人気となりましたが、コロナ禍で実店舗を閉店しており、今後は状況を鑑みて新店舗を開店する予定です。現在は通販とふるさと納税返礼品のみでお店の味を楽しんでいただいております。
―「博多若杉牛もつ鍋セット」が大人気ですが、人気の秘密を教えてください。
松尾 小腸のみのもつ鍋を提供しているお店が多いですが、当店は国産のミックスホルモンにこだわっています。ホルモンという食材はまさにふたつと同じものはない、取り扱いの難しい部位です。ひとつひとつの素材を確認しながら手作業でカットすることで、ぷりぷりの小腸の食感だけでなく、ホルモンの魅力である多様な食感を楽しんいただけます。食べすすめるなかで飽きのこない味づくりを目指しています。
もつの種類は、牛小腸、牛ギアラ、牛ハツ、牛盲腸。
―お客様の声をもとにスープは改良を重ねられているとうかがっています。
松尾 この15年、こってり味噌やチゲなどいろんな味を時々に出してきましたが、博多若杉特有の味として「酒粕の入った醤油スープ」が当初より一番人気として認知されています。最大で7種類のスープをご準備しておりましたが、そのような時にも4割の方は醤油味を選ばれます。醤油スープに使っている酒粕は、酒蔵によって絞り方や醸成具合が違うため、原料の状態を確認しながら、博多若杉らしい優しい味づくりに調整していきます。
人気No.1の醤油味のスープ。福岡・マルト醤油の「うまくち醤油」を使用。
―酒粕を使われているのは珍しいですよね。
松尾 先代のベースの味があり、酒粕という特徴ある素材があったので、若杉の個性として踏襲しています。通販にて提供していくなかで、全国のお客様の嗜好に合う微調整を行い今の味が完成しました。調味料を合わせただけでは深い旨味はでないんですが、お鍋という料理はそこにお肉や野菜の甘みが出て、どんどん美味しくなります。酒粕は素材に近い発酵調味料ですので、鍋の具材同様に食材としての風味や旨みを出すことができます。
―最後までスープが美味しくて、麺との相性も抜群でした。
松尾 もつ鍋は、〆のちゃんぽん麺まで食べてこそもつ鍋だと思っているので、最後の麺が美味しくいただけるように設計しています。冷凍麺を使っていますが、複数のメーカーさんにコンペ形式で参加していただき、試行錯誤を繰り返す中で博多若杉のもつ鍋特製麺が完成しました。メーカーさんにも一緒にブラインドテストに参加してもらったり、新しい小麦を試したり、茹で時間を調整したりと、メーカー独自の技術も上がっていく中で、当店の麺はどんどんと美味しさを増していきます。
―凍ったまま入れることには驚きました。
松尾 あっさりとお召上がりになる際には一度茹でて水で締めてもおいしいのですが、私は小麦からスープに加わる濃度が麺に味をのせている仕上がりが好きなので、そのままお鍋に入れていただく形にしました。しっかりとスープで炊き上げる中で食感が損なわれないコシを重要ポイントとして製造しています。
スープを吸い込んだ特製ちゃんぽん麺を〆に。
―臭みがないのは下処理をきちんとされているからでしょうか。
松尾 まずは原料の目利きです。私共に届く以前の処置や管理が何より大切なので、仕入れを行う前には必ず試食をし、見た目だけでは判断できない細かな状態まで確認します。
当店では素材特有のクセを取り除く為の工程も2日間かけて行います。鮮度を落とすことなく、特有の臭みやクセだけを取り除く作業です。詳しい方法まではお伝えしづらいですが、重労働であり専用の設備も準備しております。ホルモンは個体差があるため、そこを一定レベルに合わせていくためには、博多若杉では欠かせない製造工程です。
―もつ鍋が苦手な方でもこちらのもつ鍋は食べられるとか。
松尾 もつ鍋は食わず嫌いの人も多く、はじめて食べられて「もっと早く食べとけばよかった」という声も伺います。気の合う仲間や家族で食卓を囲む際に、そこにチョイスされるのが鍋というお料理なので、うちのもつ鍋の周りに笑い声や笑顔があるということをいつも意識しながら、工場特有の流れ作業とならないように気を付けています。
最後まで飽きることなく楽しめます。
―締めを雑炊にするという食べ方もありですか。
松尾 ちゃんぽんが基本ですが、通販のレビューで、「残ったスープで翌日おじやにしたらまたとっても美味しかった」という言葉をいただき、最後は雑炊として食べられることをお客様にお伝えするようになりました。お客様に教えていただいた感じですね。
私共が一所懸命に製造するもつ鍋を、お客様がスープの一滴まで召し上がって下さるのは嬉しい限りです。通販とはいえ、お客様へのおもてなしを強く意識し、お客様とのつながりを強く持っているのが当店の強みだと思っています。
―それが通販で大きな売上を上げていらっしゃる秘訣ですね。
松尾 そうかもしれません。「スタッフの顔が見えるお店ですね」とレビューをいただいたんですが、梱包だったり、メールのやり取りの中で、当店の想いが伝わっているのが何より嬉しいことです。商品に手書きのメッセージを同梱しているのも、スタッフが自主的にはじめたことですので、お客様に温もりを届けられているのではないかと思います。鍋は温かみがあるお料理なので、じんわり温かい、そんなお店を続けられたらいいですね。
賞味期限は冷凍で3か月なので、ストックもおすすめ。
―今後のビジョン、展望を教えてください。
松尾 ひとつはコロナ禍で閉店しているお店の再開です。しかしながら「もつ鍋」という博多の食文化は当店だけで表現できるものではありません。他店さんとのコラボ企画などでもっと博多の魅力を発信できていければと考えています。
「食」を届けるだけでなく「食文化」をお届けすることで博多の人情を知っていただき、また多くの方が博多に遊びにきていただけるきっかけになりたいと思っています。
「博多若杉牛もつ鍋セット(2~3人前)」
▶価格 ¥3,980(税込)
▶店名 博多若杉
▶電話 0120-927-495(日祝を除く11:00~17:00)
▶定休日 インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶商品URL https://www.wakasugi.info/shopdetail/000000000006
▶オンラインショップ https://www.wakasugi.info/
<Guest’s profile>
松尾直幸氏(株式会社Skyward 代表取締役)
1975年福岡県生まれ。調理学校卒業後、修行の期間に先代(義父)が経営する店舗展開により若杉に入社。2006年より通信販売をスタートさせ、株式会社Skywardとして分社。
博多の食文化を繋げ拡げる仲間と社内外にて多く繋がっていくことが歓び。
<文/垣内栄 画像協力/Skyward>