風情のある祇園の町並みと京都ならではのお買い物、ランチやお茶、京料理をご紹介します。
お取り寄せ情報もいっぱい!お出かけしてもしなくても楽しめる、とっておき京都旅です。
【連載】グルメ散歩・京都 祇園
出版社に勤務後、雑誌編集長を経てフリーライターに。取材した京都のお店は10000件を超える。趣味は外めし、外酒。著書に「京都女子酒場」(青玄舎)、「京の一生もの」(紫紅社)などがある。
四条通を東に向うと東山の深い緑や八坂神社の朱色の門が見えてきます。
町や名所が自然に溶け込む京都ならではの風景です。
四条通を南座から東に向かって歩いていくと、八坂神社の朱色の門が正面に見えてくる。夏の祇園祭を執り行う京都を代表する神社。境内にはえびす神社や縁結びの社などもあり、観光客や参拝者で賑わう。
《京都お散歩コース》
風情ある祇園の町並みと京都ならではのお買い物やランチ、お茶、京料理を楽しむコースです。
京都のなかでもとりわけ風情のある町並みを見られるのが「祇園」です。京都に五つある花街のうち二つ「祇園甲部」と「祇園東」もこのエリアにあり、美観地区として町並みが保存されています。
祇園歩きのスタートは南座前。由緒ある櫓を備えた桃山風破風造りの豪華なつくりを眺めながら、四条通りを東へと進みましょう。この南座前から八坂神社の石段下までの四条は、「祇園商店街」と呼ばれる南北にお店がひしめく通り。老舗の和小物店やお香店だけでなく、モダンな和小物を販売する店や人気のカフェ、京料理なども並ぶ充実した商店街です。
西から東へぶらぶら歩き、八坂神社を参拝。折り返して今年オープンしたばかりの「あんこの専門店」でティータイム。その後は、またぶらぶらと京風情たっぷりの、石畳の町並みを散策します。
お菓子を買ったり、ガラス器を注文したりと友人や家族へのおみやげを手に入れたら、あとは、おいしい京料理が待っています。名店で修業を積んだ料理人の味を、しみじみ楽しむ時間です。運がよければ、お稽古帰りやお座敷に向かう舞妓さんと遭遇することもあるのが、祇園。ちょっと足を延ばせば、建仁寺や知恩院、高台寺など名所からも近く、充実した古都の旅を満喫できます。
どこで買い物をしようか迷ったら、まずはこの地で長らく商いを続ける老舗や老舗プロデュースのお店を訪ねるのが安心。間違いのない品が並んでいることはもちろんですが、長年育んだ技で作る今の時代に添った商品に出会えることもあります。
和装専門店の洋服にも合う小物
南座前にある「井澤屋」は、粋な着こなし知られる花街の女性たちが信頼を寄せる店。品のある和装小物が揃っています。巾着やメガネケースといった小物にも、丁寧な刺繍や絞り染めなどが施され、伝統の技と美しさを実感できます。
写真の和小物のほか、「井澤屋好み」といわれ高い人気を誇る正装用の「葵いバッグ」や、贈答用のセットも取り寄せ可能。詳しくは井澤屋のホームページで確認を。
慶応元年(1865年)の創業以来、芸舞妓さんや南座に出演する歌舞伎役者などにも愛されてきた和装小物店。高級フォーマルバッグのほか和柄のポーチやハンカチなどさまざまな品が並びます。
井澤屋ならではの気品あるバッグや和装小物が並ぶ。やさしいピンクの巾着には、打出の小槌などおめでたい吉祥文様が描かれ、プレゼントにもいい。絞りが上品なモダンな市松メガネケース
京の老舗プロデュースのクッキー&ジャム
京都・祇園で唯一の京都製のクッキーとジャムの専門店。抹茶や京野菜など京都の素材を生かしたバラエティー豊かな商品が魅力。可愛い小物も豊富でどれにするかと迷います。
女性好みの可愛いモチーフのお菓子や小物が並ぶ。縁起のいいだるまのクッキーは、八つ橋や抹茶、チョコ味など。京野菜ジャムも種類豊富。
花街に愛されるご飯のとも
創業昭和中期、手づくりのちりめん山椒店。その日販売する分だけを、保存料などを使用せずに炊き上げます。れんこんやごぼうと昆布を炊き上げた野菜昆布も人気。
創業昭和中期、手づくりのちりめん山椒店。その日販売する分だけを、保存料などを使用せずに炊き上げます。れんこんやごぼうと昆布を炊き上げた野菜昆布も人気。
使い勝手のいいキュートな「がまぐち」
2012年開店の「がまぐち」ブランド。色柄や形がちょっと違う、オリジナルがまぐちえお製造販売します。ドットやチェック、動物柄のほか店限定販売の舞妓さんや京都タワー柄などもあって、京みやげにぴったり。
印鑑入、小銭入など小さながまぐちから、ポーチやバッグタイプまで大小のがまぐちがディスプレーされていて楽しい。
香煎など香辛料の老舗「原了郭」の新しい味や京都唯一のクッキーとジャムの専門店、老舗草履店新ブランドを訪ねるのも、今の京都を垣間見る機会。体に優しい黒豆の御膳をいただき、あこがれのじゃこ山椒を手に入れるのもひとつ。お目当ての店をいくつかにしぼり、ゆったりとめぐるのもいいかもしれません。
老舗七味店のスパイシーな新味
創業1703年。一子相伝の処方と独自の製法を守り続ける「原了郭」。祇園みやげに人気の「黒七味」や新商品のレトルト・カレー、カレーパウダーなども販売しています。
四条通りに面した本店では自慢の薬味やスパイスの試食が気軽に味わえる。カレーパウダーは、炒め物やドレッシング、サンドイッチのソースなどに。黒七味カレーは黒七味が香るピリッとした中辛。
八坂神社 「祇園さん」の呼び名で親しまれる祇園祭で知られる神社。夜には境内の提灯に日が灯り幻想的。
南座 年末の「吉例顔見世興行」や京都の五花街が揃って舞を披露する「都の賑い」など数々の演目を公演。
祇園の切通し 祇園には風情ある路地や石畳の小路がある。行燈の灯る夜の風情も美しい。
白川通り 祇園を散策しているとお稽古帰りやお座敷に向かう舞妓さんに出会う。普段着の舞妓さんも可憐。
黒豆たっぷりヘルシーランチ
文久2年創業。黒豆や小豆を商う「北尾」が開く食事と甘味の店。京都丹波産の黒豆「新丹波黒」を堪能できる「黒豆御膳」や「黒豆ハンバーグ御膳」を味わえる。
写真の商品以外にも、煮豆やおばんざい、アイスクリームなどさまざまな商品を取り寄せることができる。ギフト商品も充実しているので、要チェック。
髪と肌をつばき油で美しく
慶応元年の創業時にはかづらや簪を販売。今も椿油やつげ櫛のほか女性の髪まわりの小物を中心に扱います。「純粋椿油」を使ったオリジナルの化粧品やヘアケア商品は、肌にやさしく上質と評判です。
椿油や櫛、季節ごとの髪飾りや花簪、和装小物なども並ぶ店内。「純粋椿油」は、吸収五島列島のヤブツバキの実を一つひとつ収穫して自社工場で搾油したもの。
新発想であんを和洋菓子に
昔ながらの豆の味を大切にと、長年培ってきた「あんこ」づくりの技法を軸に、和洋折衷の新しいお菓子をつくります。茶寮では「京おはぎ」600円(2個)など甘味と共に、丸久小山園のお茶を味わえます。
「京おはぎ」は、くろあん、しろあん、きなこ、まっちゃ、赤飯の5種から2種を選べる。「あんえくれあ」や「あんたると」「あんです」もおすすめ。
祇園祭で知られる八坂神社は、厄除けや商売繁盛の神でもあります。せっかくの祇園ですから、立ち寄ってお詣りしませんか。昼は朱色の門が緑に映えて目を引きますが、夜に訪れるのもおすすめです。境内の舞殿につるされた提灯の灯や、ふわりと輝く灯籠が並び幻想的。
祇園といってまず思い浮かぶ巽橋や辰巳神社、花見小路も見所です。犬矢来や紅殻格子など、伝統的な意匠を残す町家が連なる町並みは、見ていただきたいもののひとつ。石畳の道を歩き、記念撮影をして旅の思い出をつくるのもいいでしょう。
鷹の爪の10倍の辛味成分を持つといわれる唐辛子を国内の農家で栽培。南座からもすぐ、縄手通りに面した店舗には、辛さや味わいの違う一味・七味がずらりと並ぶ。
日本一辛い薬味の数々
江戸中期の書物にも残る「黄金」と呼ばれる黄色の唐辛子を用いた「黄金一味」870円は、「日本一辛い」というキャッチフレーズでおなじみ。強烈な辛さとその辛さに負けない独特なうま味が評判です。
お目当ての祇園名物を手に入れたら、この旅の魅力でもある、夜の食事処へ。「ぎをん 八咫」では、元はお茶屋だった町家の造りに触れられます。お料理はいずれも、手をかけすぎず素材の味を生かした京料理。淡麗なおだしのおいしさや美しい盛り付けに、花街の品格があらわれています。
京の美味を少しずつ味わって
町家料理店の先駆けとして知れる店。「花街の雰囲気を感じつつリーズナブルに寛げる場所を」と1996年に開店。名料亭出身の遠藤料理長がつくる料理は品のよい味わいと美しい盛り付けが光ります。
写真の小皿料理は右下から時計回りに、芋蛸南京500円、モロッコ豆と生麩の胡椒和え400円、渡蟹と焼きナスの酢の物1,100円、松茸のパン粉揚げ1,800円、いちじくとくるみの白和え500円。鯖寿司や鱧寿司など京都らしい味も。2階には本格派バーもある。