【連載】グルメ散歩・福井 ~老舗グルメ(福井市)~
店の歴史はおよそ350年前、
福井の歴史食文化を支える老舗
福井城からそう遠くないエリアで、昔ながらの味を守りつつ、新しいことにチャレンジし地域を盛り上げる味噌店。この店では日本人の味覚を支える味噌の魅力が再認識できる。
永平寺の歴史ある味噌と、蔵特有の強い酵母菌
曹洞宗大本山・永平寺の味噌を預かる米五。この店の歴史は古く、米の扱いは348年前、味噌は185年前から。その長い歴史と信頼から、永平寺味噌蔵を預かる唯一の味噌屋です。食事も調理も修行、といわれるお寺の食事で、貴重なタンパク源である味噌。「永平寺の味を守り管理することは、とても栄誉のあるとだと思っています」と、現在、十一代目の多田和博(ただかずひろ)さんが話してくれました。
「蔵グセってあるんですよ。長い年月を経ている酵母菌が工場(蔵)に漂っていて、それが味を左右します」。米五の酵母菌は非常に強く、通常の空気中にある雑菌には負けないそう。工場に一歩入ると、ゆでた大豆とやさしい味噌の香りが広がっていて、どこか懐かしさ覚えるのは、日本人特有の感覚かもしれません。
長い歴史をもつ伝統の味や製法を守る一方で、早くからのインターネット通販、原料は100%国内産や福井の地産地消への取り組み、工場見学で子どもたちの教育に貢献など、新しい試みにも積極的に行っています。
徹底した温度管理で、より深みのあるおいしさを追求
現在、味噌は12種類。人気は、永平寺の味噌蔵の味噌を再現した『蔵』や、直販のみの『馬鹿ばやし』で、店舗では量り売りがされています。そのほか、予約受注分しか製造しない高級品もあり、いずれも丁寧に作っているため、大量生産はされません。販路が、店舗か通販のみという貴重な味噌が多いのも、特徴です。
「風味が際立った味噌でも、熟成期間を長くとるとコクが増します。うちでは熟成期間が長いタイプの商品でも、温度を管理しているので、コクと風味を合わせもっています」。また、一般的に赤味噌は蒸し大豆で、白味噌は煮大豆でつくるが、こちらは半々。赤の豊潤さと白のあっさり感を兼ね備えています。
味を楽しむだけでなく、事前に申し込めば工場見学ができるので、こちらもおすすめ。味噌の魅力や効果をより知ることができます。
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