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ものづくりへの思いが伝わる 織りやデザインに意匠をこらした スタイリッシュなわた入れ半纏 「狐火袢天」

2022/10/31

今回、編集長アッキーが気になったのは、おしゃれで丁寧に作られたわた入れ半纏。宮田織物株式会社・代表取締役社長の吉開(よしがい)ひとみ氏に、商品への思いを取材陣がうかがいました。

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宮田織物株式会社 代表取締役社長の吉開ひとみ氏

創業の経緯を教えてください。

吉開 福岡の筑後という地は古くから有馬木綿の産地で、創業者の宮田サカエが久留米絣の機織りを始めたのがきっかけです。創業は1913年で、1955年代から広幅織物の機織も導入し、作業着の縫製も行うようになりました。私はシャトル織機のガチャガチャという音の中で育ちました。幼少期は叔母がうちで織った生地で洋服を作ってくれていて、周りから「素敵!」と褒められました。私もうれしいですし、叔母もうれしいですし、ものづくりは着る人も作る人も周りの人も笑顔にするんだなというのが私の原体験です。

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織物デザインのあと、糸から織布へ。
商品デザイン、製作まですべて自社生産。

会社として大切にされているのはどんなことでしょうか。

吉開 父である会長が経営理念を作る際、「一隅を照らす」という言葉を入れました。「あなたの置かれた場所や立場でベストを尽くして、まわりを照らしてください」「一つ一つの光は小さくとも、集まれば大きな光となって街や社会や、やがて地球を照らします。一隅を照らしていきましょう」という意味です。この思いは社員にもいろんな角度で伝わっていると思います。

御社のものづくりの特徴を教えてください。

吉開 糸を選ぶ所から始まり、デザイン、織り、縫製まで、ほぼ一貫生産です。繊維業界では非常に珍しい形だと思います。それぞれのスタッフがひとつの工程から次の工程へ渡す時に、お客様のことを考え、同時に次の工程のスタッフのことを考えて渡すことで、その思いが足し算になって、できあがりがすごく良くなると思っています。自分ひとりではものづくりはできませんが、みんながいるからこそできるという思いも強くなります。

100年以上に渡ってお客様から愛される秘訣はどこにあるのでしょうか。

吉開 会長の信念は「見えないところに手を抜かない」です。今回ご紹介するわた入れ半纏の中綿(なかわた)は外からは見えませんし、針目も見えません。中綿の品質を落としたり、針目を荒くすれば、安く仕上げることはできますが、暖かさや長持ちという点で劣ります。ですから、安さを要求され、しかも価格競争に巻き込まれる大量生産品はやめました。高価格になっても「見えないところに手を抜かない」という信念を貫き、長く暖かく着られることをお客様に支持していただいています。

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半纏を作るために織り上げた1柄が約130cmに渡る特別なテキスタイル。

商品に使われているオリジナルのテキスタイル「和木綿」とはどんなものでしょうか。

吉開 和木綿は、久留米絣の流れを引いており、フラットではなく、柄に揺らぎがあり、生地の表面に凹凸があったりする、ニュアンスのある織物です。半纏に使われている「狐火(きつねび)」という生地も無地にみえますが、光沢があって、光によってグラデーションが浮かび上がります。さらに最近は、綿入れ半纏の織り糸の残ったものを使って、軍手や靴下を作っていますけが、意外な人気です。こういったアップサイクル商品にもスタッフと力を入れています。

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七宝を浮かび上がらせる柄糸の色合いの組み合わせを数十パターン試し織りし、
ベストな色の組合せを追求。

半纏 [狐火袢天]はどういった商品でしょうか。

吉開 半纏に古臭いイメージを持っている方も多いですが、うちの半纏を見ていただくと皆さんびっくりされます。「狐火」はちょっと細めで長めに作っていて、Tシャツとジーンズの上にはおっても粋で、リバーシブルになっているのも特徴です。妖しく燃える狐火が暗闇に浮かぶ様子をイメージし、七宝柄を浮かび上がらせるデザインを施しています。裏地の和木綿「麻の葉(あさのは)」は、吉祥文様としても有名な麻の葉文様をモチーフにしました。織りやデザインにこだわっている分、高価ですが、長く、暖かく着られるので、毎年完売する人気商品です。「狐火」以外にもいろんな生地で半纏を作っているので、うちのホームページでは、選ぶ楽しさもあります。

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裏地は細やかな織柄で麻の葉を表現。

半纏に対するイメージが変わりますね。

吉開 スローガンは「日本の冬を暖かく。春夏秋を心地よく」です。半纏は重たいイメージがありますが、できるだけ軽いものを作ってます。綿(めん)は天然の空調と言われ、保温力があると同時に気化熱を奪うので、暖かいけれども、暖かくなりすぎないのが特徴です。化学繊維のカチッとした暖かさではなく、自分の熱で自分を暖かくするやさしい暖かさなのです。ほぼフリーサイズでパッと羽織れるので、家の中に置いておくと、誰かが着ているということも多いです。お客様から「祖母が作ってくれた半纏に出会えた」「着るお布団だ」と喜びの声もいただいております。

お手入れはどうすればよいでしょうか。

吉開 ときどき裏返して日光浴させてあげると中綿がふっくらとよみがえります。洗うときも、その前に日光浴させると長持ちします。

今後のビジョンや展望を教えてください。

吉開 200年企業をめざして、着る人はもちろん、作る人、周りの人も笑顔にするような製品を作り続けていきたいです。日本はもともとものづくりの国ですし、ものづくりの地位がもっと上がることも願っています。そのためにも、ものづくりはいい仕事だということを発信していきたいですね。

素敵なお話をありがとうございました!

宮田織物_商品

「半纏 [狐火袢天]」
価格:¥27,500(税込)
会社名:宮田織物
電話:0942-53-4550(9:00~16:00 土日祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.miyata-orimono.co.jp/view/item/000000000207?category_page_id=25
オンラインショップ:https://shop.miyata-orimono.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
吉開(よしがい)ひとみ(宮田織物株式会社 代表取締役社長)

木綿織物の里、福岡県筑後市生まれ。幼少期から機(はた)の音を聞いて育つ。1980年4月、実家の宮田織物株式会社に入社。CADを使ったテキスタイルデザインに従事し、1998年からはインターネットでの自社販売をスタートさせる。2013年6月、代表取締役就任。最近は産地活性化「筑後織プロジェクト」に参加中。200年企業を目指す。

<取材/垣内栄  MC/津田菜波  画像協力/宮田織物>

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