在宅ワーク中にシュッとひと吹きリフレッシュ。キャンプでの虫除けやマスクの消臭、お掃除など幅広く活躍してくれるのが、株式会社北見ハッカ通商の「ハッカ油スプレー」です。「見た目も香りも北海道」と編集長アッキーが話す名物アイテムが、北見で生まれ、長く愛されてきた理由とは?代表取締役の永田裕一氏に、今まさに役立つ使い方もあわせ、お話をうかがいました。
アウトドアやリフレッシュ、虫除けに。世界一を誇った北見ハッカの歴史をつなぐ天然成分100%「ハッカ油スプレー」
2022/11/10
―現会長であるお父様が1984年に創業、永田社長はその頃から家業に?
永田 はい、私は2代目ながら創業者の1人でもあり、設立と同時に仕事人生が始まったようなものです。当初は自宅が社屋で、近所の方々と数人でハッカを瓶詰めし、観光地に売りに行くという規模でした。観光バスがたくさん来ていましたから、国道沿いのドライブインに張り付き、売れた分を補充して行くような商売でした。そうするうちに大手の百貨店からお話をいただいて、物産展に商品を出すようになったんです。
―出展をきっかけに広がって?
永田 90年代以降、物産展は年間百数十回、さらに頻度も期間も増えて、徐々に認知されるようになりました。物産展は生産者が直接お客様とつながってお声をいただける場なので、それが商品開発にもつながりました。社員全員が物産展に関わっており、誰もがご質問やご注文に対応できるという体制もできましたね。
観光地や北海道物産展では見かけた方も多いはず。
人気アイテム「ハッカ油」シリーズ。
―北見から全国へ。起業のベースにはやはり北見のハッカを伝えたいという思いが?
永田 そもそも我々がハッカを売っていこうとしたのは、北見のハッカと歴史あってのことなんです。かつて北見地方の天然ハッカは、世界一のシェアを誇っていました。精製工場が北見にしかなく、全国から北見ハッカを買い付けに来て、それを国内外に出していた。最盛期、北見のハッカ畑は21,000ヘクタールにのぼったそうで、いま生産量日本一という北見の玉ねぎが7,000ヘクタールですから、その3倍、北見じゅうの畑がハッカだったんですね。このような歴史をバックボーンとして伝え続けないといけませんし、それが使命だと考えています。富良野でも札幌でもなく、北見で、ハッカで、それをどう展開していくか常に考えています。
―会社のお名前に表れていますね。
永田 欲張りですが全部入れました(笑)。北見、ハッカとその流通は切り離せませんから。そして今は、畑の事業も継続できています。うちでは輸入原料も多く扱っていますが、お菓子やオイルの一部には地場原料を使っているんですよ。社名は父が「薄荷」の文字を付けていましたが、多くの方に伝わるように、私が就任後「ハッカ」に変えました。
―「ハッカ油スプレー」発売の経緯を教えてください。
永田 もともと父は祖父が営む飴の会社で働いていたのですが、北見のハッカが衰退し、唯一の工場「ホクレン北見薄荷工場」も閉鎖という時に、このままハッカをなくしてしまってはいけないという思いで、引き継ぐようにハッカ油を売ることを決めたんです。でも、祖父は大反対。ハッカを売るなら自分でやれと、飴屋を辞めさせてしまいました。それで1984年に会社を作り、翌年発売したのが「ハッカ油スプレー」です。当初はこれと詰替ボトルの2アイテムのみ。お客様に分からないハッカ油を売るのはとにかく大変で、実は飴屋のハッカ飴を抱き合わせにして、なんとか買ってもらうという状態でした。
かつて世界シェア70%といわれた、北海道・北見のハッカの歴史を伝える品。
―それが今やロングセラーですね。
永田 お話したように物産展に出るようになってから、物産展に参加する、すなわちエンドユーザーと対話する前の環境づくりに努めました。お客様が口コミで広げてくださるので、価格も内容もパッケージも変えずにいると、「あ、また出てる」とわかっていただけて…。ずっと中高年の方をターゲットにしてきましたが、当時お子さんだった方が今買ってくださるんですよ。新しいパッケージも考えたことはありますが、似た商品と思われてしまうので変えないことにしました。その後も主軸になるアイテムを同じデザインで揃えたことで、会社や商品のイメージが伝わりやすいように思います。
楊枝の先ほどの量を紅茶やリキュールに使うなど、食品の香料としても利用可能。
―2016年の社長ご就任後、企業として変わらず大切にされていることは?
永田 出した製品はなくさないということ。廃番という概念はなく、出せば常に定番にするんです。仕入先等の事情以外でやめてしまったものはありません。また、エンドユーザーとの接点もなくさないこと。ハッカ飴を水色に着色するのをやめるなど、お客様のご意見から商品をよりよいものに変えています。
―では、新しく取り組まれたことは?
永田 ひとつは製造環境の整備ですね。じつは承継の時期が予定より遅れる間に、社会も企業も新しい動きが出てきて、ファンドや新商品など日々追われていたんです。その中で、うちはずっと手作業でしたから、どこかのタイミングで機械化をはからなければ対応しきれなくなると思っていました。機械展などを見て回るうちに、2020年、コロナ禍で仕事が減った時に、ネット販売で商品が動き始めました。製造が間に合わない事態になり、ネットを通じてつながったメーカーさんに相談し、設備を整えました。2019年に新社屋は完成していたので、見直しもしながら整備ができ、生産性は1.5倍にアップしました。開発面では、2019年から「ハッカラボ」として北見工業大学との共同研究室を持ち、ハッカの特性をどう引き出し何に使うかを、科学的見地からあらためて研究しています。畑でどう効率よく栽培するかとか、冷感はあるけれどサーモグラフィではどうなのか、とか5、6人の先生方とさまざまな研究を継続しています。
―「ハッカ油」のおすすめの使い方は?
永田 リモートワークで長時間パソコンを見て頭痛や肩こりがある時などに、手にとって後ろの首筋につけてみてください。メントールの香りや刺激が気持ちよく、スッキリします。よく歩いた時にはふくらはぎに塗るのもいいですよ。虫除けにかなり効果があるのでキャンプにも。私は庭でバーベキューをする時も全身に塗ります。もし刺されることがあってもかゆみが出にくいんです。
手のひらサイズで携帯しやすい。
虫除けにも効果的なので散歩のお供にも。
―「ミントシャワー」はいかがですか?
永田 これは衣類や寝具の消臭に。スッキリ感だけでなく、実際に表面温度も変わるので、暑い時はもちろんですが、重ね着をする季節にも便利なんです。
衣類や寝具にシュッ。
気になるにおいもリフレッシュ。
―今後の展望をおきかせください。
永田 かつてたとえば「キンカン」や「仁丹」がどこのご家庭にもあったように、うちの「ハッカ油」もお家に必ず1本あるという一品になれたらと思います。そういう存在になったら、札幌や東京にショールームを開きたいですね。スポーツの場でもお客様との接点を持って、距離を近づけていけたらと考えています。
―お話のとおり、常備したくなりました。貴重なお話をありがとうございました。
「ハッカ油スプレー」(10ml)
価格:¥1,080(税込)
店名:北見ハッカ通商 公式オンラインショップ
電話:0157-66-5655(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://e-hakka.com/products/detail/3
オンラインショップ:https://e-hakka.com
「ミントシャワー」
価格:¥1,188(税込)
店名:北見ハッカ通商 公式オンラインショップ
電話:0157-66-5655(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://e-hakka.com/products/detail/389
オンラインショップ:https://e-hakka.com
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
永田裕一(株式会社北見ハッカ通商 代表取締役)
1965年北見市生まれ。明治大学公共政策大学院修了。1985年会社設立と同時に入社。2013年株式会社北見ハッカ研究所、台湾北見薄荷通商有限公司、2021年株式会社北見ハッカHD設立各代表となり、2016年より現職。北海道貿易物産振興会理事、北見市国際親善交流委員、北見日台親善協会副会長、北見物産協会会長、北見観光協会副会長、北見工大HAKKA LAB研究員、明治大学MOS研究所客員研究員。
<文・撮影/大喜多明子 MC/升谷遥香 画像協力/北見ハッカ通商>