今回、編集長アッキーが気になったのは、飛騨高山で家具や木のおもちゃを製作する「オークヴィレッジ」。オークヴィレッジ株式会社・代表取締役社長の上野英二氏に、商品の特徴を取材陣が伺いました。
木と触れ合って想像力を育てる 「森のどうぶつみき」 持ち運びできて使い勝手がいい 「折りたたみ小机」
2022/11/21
オークヴィレッジ株式会社 代表取締役社長の上野英二氏
―創業の経緯を教えてください。
上野 当社は一言で言うと木工会社です。木を素材にして、いろんな生活に役立てていただくためのものをつくってまいりました。木造建築の建物、家具から小物まで木でのものづくりは多岐にわたります。創業は1974年です。先代社長が飛騨高山という森林資源がたくさんある場所で木工業を始めました。東京にいた若者5人の「山小屋をつくりたい」という思いから始まって、飛騨高山に移り住んで、技術を修得して、家具屋を始めました。それがオリジナル・ファイブと言われる創業メンバーです。その後、家具を使った方から「この家具をどんな家に置いたらいいんでしょうか?」というようなご質問も増え、家づくりも行うようになりました。
―飛騨高山とはどんなところでしょうか。
上野 ちょうど日本の真ん中に位置し、本当に山の中です。木がたくさんあり、昔から飛騨の匠などと言われるように、木工を得意とするような大工や職人が育ってきた場所です。また、飛騨の古い町並みは観光地になっていて、年間400万人以上の観光客が訪れます。後継者を育てるための学校、木工の道具屋、材木屋も周りにあります。
―上野社長の入社の経緯を教えてください。
上野 私はもともと飛騨高山で生まれ育ち、建築をやりたくて名古屋の大学に入りました。その後、設計事務所に就職し、マンションや倉庫、ビルなどの設計をしていました。あるとき名古屋の百貨店で家具の展示会をやっていて、先代社長の稲本と初めて会いました。話をすると「木造建築の設計士を探している」と言われ、私も木造をやりたいと思っていたところだったので、設計の仕事を受けることになったのです。名古屋で働きながら、夜は図面を書くという生活が始まったのですが、もともと実家も飛騨高山でしたし、戻ってオークヴィレッジで仕事をすることにしたんです。
―会社として大切にされている理念を教えてください。
上野 創業時から循環型社会を実現したいと考えており、自然との共生がテーマでした。木を使う以上、森からの恵みをいただくわけで、その資源は大切に使わなければなりません。家具の材料ですと、木が大きくなるのに100年くらいかかります。それを10年や20年で使わないようになってしまうと、資源はどんどんなくなっていきます。100年かかって育ったものを100年使えるものに変えていけば、木を切った時に植樹をして100年後はちゃんと森に資源ができていて、また次のものをつくることができます。木を大事にして、100年もつものをつくることを理念にしています。森から1本いただいたら、その木を1本返し、植樹をしないと、森にはなりません。森を育てていく意識が大切です。日本の森林ときれいな水は世界に誇れる資源なので、大切に守っていきたいという思いがあります。
子どもたちの想像力を育む、親子やつがいの動物たち。
―今回ご紹介させていただく「森のどうぶつみき」について教えてください。
上野 家具をつくったときに余った木を捨ててしまうのはもったいないので、何かできないかと考え、遊具や文具をつくるようになりました。森には動物たちが遊びに来る風景があります。その身近な動物たちを積木にして、子どもに自然のなりたち、命のつながりを感じてもらいたいという思いでつくりました。使用しているのは国産無垢材です。日本にはいろんな木があり、木目、色、香り、肌触りが異なります。5種類の木を使って、どの動物とどの木が合うか考えました。動物には樹種の焼き印を押しています。日本はこれだけ森林が豊かなのに、なかなか木と直接触れる機会がないので、まずは子ども達に触ってもらえば、将来、木のものを選んで使っていきたいと思ってくれるんじゃないかなと期待しています。木は不思議なもので使えば使うほど味わいが出てきます。お子さんが積み木を使わなくなっても、お母さんたちが自分の部屋にこれを並べてくださっているという話もよく聞きます。
木は国産サクラ、ホオ、クリ、カバ、ナラを使用。
樹種の焼き印がついているものもある。
―デザインは絵本作家のスギヤマカナヨさんですが、起用された理由を教えてください。
上野 気仙沼のカキじいさん(畠山重篤さん)という方が、「森は海の恋人」という本を書かれており、いろんな自然の生態に詳しい方です。絵本も作っておられて、その絵を担当されていたのがスギヤマカナヨさんでした。海を愛し、森を愛するカキじいさんの思いは、我々と共通するものがあり、交流もさせていただいています。そのご縁で、スギヤマカナヨさんにご依頼することになりました。
積木ピースにお名前や生年月日、メッセージをお入れすることが可能。
―次に「折りたたみ小机」について教えてください。
上野 小ぶりでいろんな目的に使えるもの、持ち運びができて、折りたたみもラクな家具をつくりたいと考えたとき、「二月堂机」が思い浮かびました。二月堂机は東大寺・二月堂のお坊さんが食事をするときの道具で、千年以上受け継がれてつくられているものです。「折りたたみ小机」は、国産のクリの木を使って丈夫で、持ち運びしやすいほどよい重量が特徴です。高さは33cmなので、大人でも足をいれて書き物ができます。
作業台、学習机として老若男女関わらず人気。
―金具を使ってないことにも驚きました。
上野 建築の技術を家具に持ち込んで、木だけで固定しています。季節により硬くなったり緩くなったりする、木の特性を見極めた仕組みです。木の経年変化も楽しめます。植物性オイルで仕上げているので、手触りも気持ちよく、使っている人との一体感がでてきます。私どもは家具をつくりますが、家具を育てるのはお客様だと思っています。本当の魅力が出てくるのはつくった時ではなく、使っていただいてからなんです。
金具を使わず、木でつくったオリジナルのストッパー。
折りたたんだ時の高さは約8cm、重さは約8kg。
女性でも持ち運びしやすい。
―素敵な考えですね。
上野 日本人は何千年もの間、木と一緒に暮らしてきた民族ですが、ここ100年ぐらいで、それがほかの素材にどんどん置きかわってきました。でも、元々は木が好きで、相性が合うと思うんです。家具に愛着が出てくると、壊れても修繕して使いたいと言う気持ちになります。そういった物を大切にする気持ちが人間の教育にもつながると思います。
-今後の展望をお聞かせください。
上野 日本が誇る豊かな木材を役立てて、皆さんに可愛がってもらい、長く使ってもらえるものを、これからも試行錯誤しながら世の中に出していきたいと考えています。
-貴重なお話をありがとうございました。
「森のどうぶつみき」
価格:¥13,200(税込)
店名:オークヴィレッジ
電話:0120₋009₋359(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.oakv.co.jp/view/item/001002000010
オンラインショップ: https://shop.oakv.co.jp/
「折りたたみ小机(ナチュラル・ブラウン)」
価格:¥51,700(税込)
店名:オークヴィレッジ
電話:0120₋009₋359(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.oakv.co.jp/view/item/027000000010?category_page_id=ct640
オンラインショップ: https://shop.oakv.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
上野英二(オークヴィレッジ株式会社 代表取締役社長)
1959年岐阜県生まれ。1983年に名古屋にある建築設計事務所に入社後、オークヴィレッジの創立メンバーで前代表の稲本正と出会い、1985年12月に入社。木造建築の設計、監理を主とし、家具の設計にも従事する。2015年より同社代表取締役社長に就任。
<取材/垣内栄 MC/柴田阿実 画像協力/オークヴィレッジ>