椿油100%の「大島椿」は、昭和世代のアッキーこと坂口明子編集長もお馴染みの商品。最近、SNSや美容雑誌でブレイクしていると聞いて、改めてこの商品の魅力を知りたいと思いました。移り変わりの激しい時代に1世紀近くも不動の位置を占めるロングセラー商品の秘密を、大島椿株式会社 代表取締役社長 岡田一郎氏に取材スタッフが伺いました。
95年間愛され続けてきた「大島椿」。1~2滴で髪と肌にうるおいを与え、つや髪、美肌を作ります。
2022/11/17
大島椿株式会社 代表取締役社長の岡田一郎氏
―「大島椿」はコスメ界のロングセラー商品ですね。
岡田 私の祖父岡田春一が開発しました。祖父は広島県出身で政治家を志して上京、大学の卒論のテーマを探そうと日本中を旅していましたが、たまたま訪れた伊豆大島(東京都)で、雄大な自然と共に女性の髪の美しさに感動しました。髪の美しさの秘密が椿油と知り、この島の特産品で島を豊かにしようと決心し、1927年に伊豆大島に大島椿製油所を興します。
ヤブツバキの花。ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑樹。
―まだ町おこしという概念がない時代のことで先駆的でした。
岡田 そうですね。また、戦後、類似品が出回った時期には、伊豆大島のあんこさん(大島では女性をあんこさんと呼びます。)たちと一緒に大型バスで全国をまわり、大島の歌と踊りを披露しながら販売する東京都公認のキャラバン活動を展開しました。各地の問屋さん、小売店を大島に招いて工場見学をするなどもしました。テレビも少ない、インターネットもない時代ならではのPR活動でした。
―宣伝活動も先駆的ですね。通信販売も早くから始めていたそうですね。
岡田 通信販売は商品が欲しいけれど近くに店舗がないお客様のために実施していました。椿油は高価だったので訪問販売による少量での量り売りなどもしましたし、早くから海外での販売もしていました。 60年以上前からハワイのオアフ島のレコード屋さんの一角で雑貨を取り扱うコーナーがあり、そこにも大島椿を置いてもらい、ハワイ在住の日系2世の方などが利用されていたそうです。店舗で購入できる環境を整えつつ、お客様が利用しやすい細かな販売方法を実施して販路を広げていったのです。
上・ヤブツバキの種子は圧搾法という昔ながらの手法で搾る。
下・原料調整、温度管理など熟練の製造工程を経て製品化される。
―95年間支持されてきた理由は何でしょう。
岡田 それは品質の管理だと思います。原料、製造工程すべてにこだわり、厳しい自社基準をクリアした商品を届け続けてきた結果だと考えています。
原料の椿油は、伊豆大島のほか長崎県など国内外から厳選したヤブツバキ・ヤブツバキ近縁種の種子から採られたものを使用しています。自社の基準を設け基準に合致したものだけを購入しています。椿の種子から油を取るのは溶媒を使って工業的に抽出する方法もあるのですが、当社では、押しつぶしながら搾る「圧搾法」という昔ながらの方法で行います。さらに椿油独特のにおいを取り、酸化を防ぐために夾雑物を取り除きます。当社では香料や保存料は使いません。精製の工程を経て製品が安定し、においやベタつきがない高品質の椿油ができあがります。
「大島椿」はベタつかずさらっと肌になじむ。
―今回、「大島椿<椿油100%>」を紹介くださいましたがこの商品はなぜ使いやすいのでしょうか。
岡田 椿油には人間の皮脂にも含まれるオレイン酸トリグリセリドという成分が多く含まれているため、肌になじみやすく保湿・保護効果が高いのが特徴です。髪だけでなく頭皮、スキンケアなど体全部に使用できます。常備しておいてくださると幅広く使えるのも特徴です。
―改めて使い方をご紹介ください。
岡田 ヘアケアの場合、シャンプーしてタオルドライした後、1~2滴取って手にのばし、手櫛で髪全体につけた後、ドライヤーで乾かします。髪をダメージから守り、髪をつややかにします。
また、シャンプー前に5~10mL程度を乾いた髪になじませてオイルパックをしたり、乾いた頭皮になじませて頭皮ケアをしても効果的です。
私も毎日使っていますが、手のひらにのばして髪につける前に両ひじにつけてひじも保湿しています(笑)。椿油はよくのびるので1回の使用量が少なくて済むのでコストパフォーマンスがよいとお客様から褒めていただいています(笑)。
―「大島椿ヘアスプレー」はどんな商品ですか。
岡田 これは23年前に開発された製品で、「大島椿<椿油100%>」と同じものが入っています。スプレーなので髪に軽くのり、椿油を出し過ぎることがないので椿油の初心者の方に適しています。創業者の時代には香りつきのヘアスプレーがありました。椿油スプレーの元祖と言えるかもしれません。
昭和中期に販売していた香りつきの椿スプレー。容量420mLでブリキ製の容器が使われていた。
―最近はまた美容雑誌やSNSで取り上げられていますね。
岡田 もともと椿油はその時代の若い方たち、中でもファッションリーダー的なおしゃれに敏感な方たちに支持され、口コミで広がってきた商品です。
1つはおばあちゃんからおかあさんへ、おかあさんから孫へという世代をわたった口コミで、私たちは縦の口コミと呼んでいます。そして、使った方がお友だちや同僚などに良さを伝える横の口コミがあります。インターネットの時代になり、SNSで書き込まれて伝わっているのも、今の時代の横の口コミだと思います。当社はテレビコマーシャルなどの派手な広告宣伝をしてきませんでしたが、お客様の口コミに支えられてきたのはありがたいことだと思います。
ヤブツバキは植栽から実が採れるまで20~30年かけて成長する。
―今後の展望をお聞かせください。
岡田 これからも安心・安全をこころがけ、お客様に喜んでいただける製品を作りたいと思います。また、当社の原点である伊豆大島の魅力をさらに発信していきたいと思っています。当社が保有する椿の森を拠点に「伊豆大島つばき座プロジェクト」を立ち上げ、島の住民と社員がともに活動しています。世界に誇れる椿園が3つもあり、日本で唯一の砂漠があり、おいしい牛乳、バターが取れるなどまだ知られていない島の魅力をしっていただけたらうれしいです。
―椿油をきっかけに旅をするのも楽しいですね。本日はありがとうございました。
「大島椿<椿油100%>」(60mL)
価格:¥1,650(税込)
店名:大島椿公式オンラインショップ
電話:0120-457-255(9:00~17:00 土日祝日・年末年始除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://ost.oshimatsubaki.co.jp/products/oshimatsubaki/
オンラインショップ:https://www.oshimatsubaki.com/
ほかに40mL ¥1,210(税込)、公式通販限定の120mL ¥2,530(税込)も。
「大島椿ヘアスプレー」(140g)
価格:¥1,320(税込)
店名:大島椿公式オンラインショップ
電話:0120-457-255(9:00~17:00 土日祝日・年末年始除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://ost.oshimatsubaki.co.jp/products/hairspray/
オンラインョップ:https://www.oshimatsubaki.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
岡田一郎(大島椿株式会社 代表取締役社長)
1968年東京都生まれ。アメリカ、カナダでの学生生活、商社勤務を経て1997年大島椿株式会社に入社、2012年代表取締役社長に就任。「椿油専門メーカー」であると同時に、椿と椿油から生まれる文化を守り、育て、後世に大切に受け継いでいく「椿守カンパニー」として、創業の地である伊豆大島で椿のある景色や文化を守り、育むための共創活動にも注力している。
<文/今津朋子 MC/和田英利 画像協力/大島椿>