今回、編集長のアッキーが気になったのは、創業200年を超える株式会社丸庄。メイン事業は印刷ですが、「名刀 紙切丸」「切って 旅するスタンプノート」などユニークな商品を企画販売して注目を集めています。同社代表取締役社長の佐々木正一氏に、スタッフがお話を伺いました。
ユニークな紙製品が話題に!創業200年の老舗が作る「名刀 紙切丸」&「切って 旅するスタンプノート」
2022/12/02
株式会社丸庄 代表取締役社長の佐々木正一氏
―創業200年。佐々木社長が9代目ですね。
佐々木 創業は1818年、江戸時代です。本社のある東京都足立区千住は、日本橋から出発する日光街道の、最初の宿場町でした。旅籠屋が多かった賑やかな地で、初代庄兵衛が和紙問屋「丸屋」を始め、いつの日か「丸庄」と呼ばれるようになりました。1928年に、7代目が「これからは和紙の時代ではないだろう」と、和紙問屋の中に印刷部を設立しました。そして、私の父、8代目のとき、丸庄印刷株式会社になり、メイン事業は印刷になりました。私は、1995年に社長に就任し、9代目になります。2001年に、印刷以外の新しいことにも取り組んでいこうと、社名を横文字はやりの中で、あえて株式会社丸庄に変更しました。
―時代と共に、事業も少しずつ変化されていますね。社長に就任して、ご苦労は?
佐々木 私は大学を卒業して、1972年に入社しました。ですから、今年で50年になります。この50年で、印刷を巡る環境は激変しました。入社当時は活版印刷全盛でしたが、オフセット印刷に移行し、今はDTPに。私が社長になってから、デジタル化がさらに進みましたので、小さいながらもいち早くデジタル化に取り組みました。さらに、印刷通販の勃興、リーマンショック、東日本大震災、そして、コロナ禍など、次々と厳しい社会状況もありましたが、どうにか乗り越えてきました。
株式会社丸庄の注目商品「切って 旅するスタンプノート」。
新商品の開発には力を入れています。
―佐々木社長が大切にされていることは?
佐々木 ホームページにも載せていますが、弊社の社是は「社会正義のもとに矜持をもって営利を追求し顧客、協力会社、社員のしあわせを求めよう」です。矜持とは少し難しい言葉ですが、“自分の能力を信じて抱く誇り、プライド”という意味です。私は、長く営業を担当していましたが、印刷の営業は、お客様のところで頭を下げるのが仕事と言われることも多かったのです。でも、ただ、頭を下げるだけでなく、矜持を持ってお客様と対等でやっていこうと考えて仕事をしてきました。ですから、社員にも同じ思いで、仕事をして欲しいのです。社員が幸せに仕事ができることが、会社の成長に、そして、お客様の発展にも繋がっていくと考えています。
―今回、ご紹介する「名刀 紙切丸」の開発のきっかけは?
佐々木 社長に就任してから、印刷業だけでなく、どこにもない新商品を作って販売しようと考えてきました。ある時、本社のある足立区産業振興課様から、新製品開発講座への出席のお誘いを受けました。せっかくならと4名の社員が参加し、その時に生み出されたアイデアの1つが、「名刀 紙切丸」なんです。もちろん、物を1から創り出すなどは、初めての経験で、最初は、講師の先生から色々指摘が入りましたが、社内でブレーンストーミングをしながらブラッシュアップをしてやっと製品化に至った次第です。やればできるという思いは、その時皆に沸き上がったと思います。
「名刀 紙切丸」は刀に見立てたペーパーナイフ。
印象的なディスプレイを楽しめます。
―どのような商品ですか?
佐々木 紙製のペーパーナイフです。印刷がメイン事業で紙は得意分野ですので、そこにこだわったのが「名刀 紙切丸」です。素材に使ったのは、高純度のパルプ繊維原紙を積層することで作られる硬質繊維ボードで、一般的な紙にはない強さと耐久性があります。金属製に比べて軽く危険性が少ないし、プラスチック製にはない、温かみがあります。自然素材を使った、環境に配慮した商品です。TASKものづくり大賞(台東区・荒川区・足立区・葛飾区の企業、個人のものづくりを応援する賞)で、2018年に優秀賞を受賞しました。おかげさまで、その後もNHKおはよう日本「まちかど情報室」やテレビ東京の「WBS」に出させていただいたり、新聞、雑誌などでも取り上げていただき、話題になりました。
鞘を抜いて、刃の部分で紙を切ります。
紙製なので、安心して使えます。
―ユニークな見た目は、海外の方に人気が出そうですね
佐々木 そうですね。日本を旅行する外国人観光客にも人気が出るかなと思いました。使うのはもちろんですが、飾っておくだけでも日本を思い出す商品です。さらに、紙製なので軽くて持ち運びやすいので、お土産にぴったりです。金属製ではないので、飛行機の持ち物検査に引っかかることもありません。コロナ禍で予定通りにはいかなかったのですが、最近は、ようやくインバウンドの復活の兆しがありますので、社内でも期待が高まっています。
―「切って 旅するスタンプノート」は、どのような商品ですか?
佐々木 観光地にあるスタンプを押して、旅の思い出と共に保管するスタンプ帳です。押してすぐにノートを閉じても裏づきしないように、間に1枚ずつ薄紙が挟んであります。スタンプマットがないときのために、専用の台紙もついています。切り離せば、ハガキとして送ることもでき、色々な楽しみ方ができる商品です。
薄紙が挟んであるので、スタンプが裏づきしにくい。小さな工夫がうれしい!
切り離ししやすいように、ミシン目つき。ハガキとして送れます。
佐々木 これは、旅行好きの社員のアイデアで、「自分が使うならこういうものが欲しい」というお客様目線の商品です。実際に、お客様からは「ミシン目が入っていて、友人にハガキを出しやすい」「1枚ずつ切り離して、地域ごとにファイルしています。後で、見返すのが楽しみ」など、色々な使い方をしているというお声が寄せられています。
旅の思い出を記入して、地域ごとにファイリングしても。
旅を振り返る楽しい時間です。
―新鮮なアイデアは、どのように生み出していますか?
佐々木 弊社には商品開発部はありませんが、新商品などのアイデア出しをするために、社員をグループ分けしています。本業は、営業、デザイン、工場など全然違う仕事をしているメンバーを、あえて同じグループに入るように編成しています。普段の仕事では話さないようなメンバーとのコミュニケーションによって、楽しみながら新しいアイデアが生まれています。「切って 旅するスタンプノート」は、このチームの中から生まれました。他にも、紙袋を肩からかけられるようになる「ショルダーストラップ」、紙でできたネクタイに絵が描ける「お父さんを『笑顔にしタイ』」など、ヒット商品が出てきました。
「ショルダーストラップ」は、紙袋に取り付けると、肩からかけられます。
「お父さんを『笑顔にしタイ』」は、絵を描いて組み立ててネクタイに。着用もできます。
―今後の展望は?
佐々木 印刷が弊社のメイン事業ですので、得意分野はしっかり守りながら、新しい分野にも挑戦していきたいです。今までは、頼まれて商品を製造することが多かったのですが、今回ご紹介した商品のように、自分たちで新しい商品を企画、製造、販売をするような、製造業になっていきたいと思っています。また、印刷を通して培った、色々な業種のお客様との信頼関係が私たちの強みです。今後は、印刷だけでなく、お客様同士を繋げてハブ企業になることも目標の一つです。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました。
「名刀 紙切丸」(ハイグレードタイプ)
価格:¥11,800(税込、送料込)
店名:株式会社丸庄
電話:03-3881-2131(9:00~12:00、13:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.msmarusho.co.jp/information/20190807.html
(在庫限りで販売終了)
「切って 旅するスタンプノート」
価格:¥880(税込)
店名:株式会社丸庄
電話:03-3881-2131(9:00~12:00、13:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.msmarusho.co.jp/info/stampnote.html
オンラインショップ:https://www.amazon.co.jp/dp/B08MCYFKT7?ref=myi_title_dp
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
佐々木正一(株式会社丸庄 代表取締役社長)
1947年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後1972年に入社。1995年に同社代表取締役社長に就任。
<文・撮影/大橋史子(ペンギン企画室) MC/升谷遥香 画像協力/丸庄>