もうすぐ花粉症の季節がやってきます。アレルギーに悩む人にぜひおすすめしたいのが、保湿成分を含みふんわりと肌にやさしいティッシュです。世界初の保湿ティッシュをアッキーこと坂口明子編集長も早速試して、その心地よさにうっとり。商品開発のヒストリーを河野製紙株式会社 代表取締役社長、河野晃久氏に取材スタッフが伺いました。
世界で初めて保湿ティッシュを作った会社のやわらかティッシュ。これで花粉症対策は万全!
2023/01/30
河野製紙株式会社 代表取締役社長の河野晃久氏
―御社は2022年に創業130年を迎えられました。
河野 当社は初代が手漉き和紙の生産に携わった1892年を創業年としています。もともと高知は四万十川や仁淀川のきれいな水で漉く、平安時代から1000年の歴史を持つ手漉き和紙の産地として名高い地域です。明治期に創業した当社は時代の流れ、技術の進歩とともに和紙から機械を使った製紙業に切り替え、1961年には河野製紙株式会社になりました。
日本の高度成長とともにティッシュペーパーはボックスティッシュに代表されるように生活必需品として廉価に大量生産されるようになりましたが、当社は紙質のバランスが取れた美しい紙を消費者の方にお届けしたいと思っています。手間やコストがかかっても職人が手加工で仕上げ、手で触って触感を確かめて検品するなど手づくり感のある製品づくりをしています。
河野製紙は世界で初めて保湿ペーパーを開発、特許を取得した。
―御社は世界で初めて保湿ティッシュを開発したのですね。
河野 開発を始めたのは1991年です。当時、春に花粉症にかかる人が増えていました。当社の4代目社長、現会長の河野矩久も鼻炎に悩んでいて、「肌の弱い方、頻繁に鼻をかむ方に安心して使えるやさしい紙を作りたいものだが」と当社の谷口健二研究員に相談しました。大手製紙会社がひしめく中で戦っていくには、消費者の方に寄り添った特徴のある商品を作りたいという思いもありました。そこから開発を始め2年かけて発売にこぎつけました。
河野製紙の保湿ペーパーは1つ上の触感を求める人に支持されている。
―世界初ですから試行錯誤があったことと思います。
河野 最初は柔軟剤を入れてみました。ただ私たちが求めているやわらかさまではいかないし、入れ過ぎると紙にならずぼろぼろになってしまいます。試行錯誤しながらたどり着いたのが水分をプラスする方法です。やわらかくて強度が残る水分率を求めて、手で乾かして水分量を測っていくアナログな方法で試していくと、普通のティッシュの水分量7%の2倍、14%の水分量がいいとわかりました。
しかし、水分を入れてもすぐに乾いてしまいます。そこで、空気中の水分を紙に吸いつける方法を模索しました。空気中から水分を吸湿し保湿するためには何がいいか、安定していて安全な物質を研究した結果、グリセリンとソルビットが適しているとわかりました。グリセリンは吸湿性が強く、ソルビットは一度引きつけた水分を保持する力が強い物質です。これらを含ませると通常のティッシュの約2倍の水分が含まれ、しっとりとやわらかな紙になりました。また、触感を安定させるための油分を入れ、1年中使っても手触りが変わらないように工夫しました。
第1号ブランド「アヴォンリー・キースの保湿ペーパー」。
鼻炎に悩む人にプレゼントしたら喜ばれること間違いなし。
―それで完成ですね。
河野 その後、実際に工場で製造できるようにするときも課題がありました。やわらかい紙はコンベアベルトから落ちてしまったり、裁断しにくかったりするので調整に時間がかかりました。保湿剤を利用してやわらかな紙を作る研究をしましたが、当社は紙の作り方自体にも特徴があります。ティッシュの原料は良質のパルプを使い、樹木の種類や産地を検討して配合も工夫しています。当社では機械を低速で動かしてゆっくり漉くため、原紙に空気が含まれてふんわり感がでます。のんびりゆっくり作った紙のやわらかさやふっくら感に、さきほど言った保湿剤が配合され、大量生産製品にはない、一味違う商品ができました。
―発売しての反響はいかがでしたか。
河野 最初にポケットティッシュを出しましたが発売当初から反響がありました。見た目は変わらなくても、使ってみると従来のティッシュと触感、使い心地がまったく違うということで、問い合わせが多く注文も殺到したので、数年かけて工場のラインを整えて対応しました。保湿ティッシュは今も増産が続いています。
パッケージは日本語表示と英語表示が裏表になっているので、インテリアに合わせて楽しめる。
―反響の大きさがわかりますね。最初に発売した商品が「アヴォンリー・キースの保湿ペーパー」ですね。
河野 1993年に発売した保湿ティッシュの第1号ブランドで、「保湿ティッシュ」に関する特許も取得しています。発売当初は鼻をかみすぎて起きる赤い鼻をイメージしたデザインで、アヴォンリーは小説「赤毛のアン」の舞台になった地名、キースは語源に北風の意味を持つスコットランドの地名を組み合わせました。パッケージやキャラクターは変更を繰り返していて、今は6代目です。保湿の王様、アヴォンリー・キースと愛犬・パルプが鼻のかみ過ぎによる赤鼻を撲滅する使命を持って活躍するという設定になっています。
新発売の「絹雲(KINUKUMO)」は従来の保湿ペーパーのさらに上をいくしっとり感。
―「絹雲(KINUKUMO)」は新しく発売された商品ですね。
河野 2022年の3月に発売開始しました。従来の保湿をさらに超えるという意味で“新保湿”と呼んでいますが、絹のような肌ざわりで雲のようなふんわり感がある当社の自信作です。より保湿効果を高めるために、オイル成分と、詳しくは言えませんが植物性のパウダーを最適なバランスで入れています。紙の表面のパルプの繊維が立ち上がることで絹のようななめらかさが生まれます。また従来は2枚重ねの紙を3枚重ねにして、シート間の空気層が弾力性と吸水性を高め、雲のようなふんわり感を出しています。この製法も特許を取得しています。
3個組みのパッケージはそれぞれ明け方から日暮れまでの陽の移り変わりを表現したシックな色合いが特徴。
―お取り寄せして購入されるお客様が多いのでしょうか。
河野 当社の製品はスーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニなどでお買い求めいただけますが、大手通販サイトに直営店がありそこでもお買い求めいただけます。わざわざ通販サイトからお取り寄せしていただいて、大事に使っていただけているお客様が多く、ご注文の際には一言コメントが添えてあるなど温かなやり取りをさせていただいています。贈答品としても適していると思いますので、それも含めて息長く愛していただけるような商品でありたいと願っています。
―今後の展望についてお話くださればうれしいです。
河野 今までと同じようにお肌にやさしい紙を作り続けていきたいと思います。そして、保湿ペーパーがそうだったように、お客様が驚いて喜んでいただける新しい商品を常に作っていきたいです。当社のホームページで掲げているように「次の心地よさを創る」が目標です。これからも大量生産で作る紙とは一味違う、うちにしかできない、お客様に本当に必要とされるような紙を作っていきたいと思っています。
―本日はありがとうございました。
「絹雲(KINUKUMO)」(3箱×5パック計15箱)
価格:¥4,400(税込)
店名:河野製紙直営ショップふんわり
電話:0120-669-211(9:00~17:00 土日祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kawano-p.co.jp/kinukumo/
オンラインショップ:https://item.rakuten.co.jp/funwari/kinu1/
「アヴォンリー・キース保湿ペーパーBOX」(20箱)
価格:¥6,241(税込)
店名:河野製紙直営ショップふんわり
電話:0120-669-211(9:00~17:00 土日祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kawano-p.co.jp/keith/
オンラインショップ:https://item.rakuten.co.jp/funwari/hb004-20-rn/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
河野晃久(河野製紙株式会社 代表取締役社長)
1972年埼玉県生まれ。慶應義塾大学卒業後、株式会社ネピア(現:王子ネピア株式会社)での約3年間の修行期間を経て1999年に河野製紙株式会社へ入社。20年以上にわたり営業担当としてお客様や現場の声を聞き、2021年に同社代表取締役社長に就任。2022年の創業130年を機に、新たな企業ビジョンとして「次の心地よさを創る」を掲げ、今まで以上にお客様から愛される製紙会社を目指している。
<文・撮影/今津朋子 MC/和田英利 画像協力/河野製紙>