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作って楽しく、愛着も持てる! 簡単キットで挑戦してみませんか?

2023/01/31

新しい年を迎え、今年こそ何かにチャレンジしたいと考えている方へご提案。「レザークラフト」や「染色」を始めてみませんか? 一見難しそうに思えるこれらですが、実はとても簡単に取り組めるキット・材料があるのです。今回は、初心者からプロレベルまで、幅広い層に向けたレザークラフトや染色の材料開発、販売、そして教室を運営している株式会社誠和の代表取締役社長、村山伸一氏にお話を伺いました。

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株式会社 誠和 代表取締役社長の村山伸一氏

―御社の沿革について教えてください。

村山 弊社は1939年に染料と化学工業薬品の卸から始まった会社です。その後、オリジナル商品の開発などを進め、1954年に「ろうけつ染め」の教室を開設しました。当時、生け花や茶道といった教室は存在していたようですが、染色を楽しめるような教室は非常に珍しく、どんどん評判が広がったと聞いています。昭和30年代にはレザークラフトの教室も始めました。昭和50年代には、原宿でものすごい人気を博したレザークラフトの店『ゴローズ』の創業者、高橋五郎さんに講師をしていただいたこともありました。

―染色から、なぜレザークラフトも始められたのでしょうか。

村山 染色の中に、皮を染色するジャンルがあり、そこからレザークラフトへと繋がっていきました。当時、レザークラフトが最も進んでいたのはアメリカで、様々な技術がありました。弊社もそれを研究し、教室を開きました。

―村山社長は小さい頃から会社を継がれるおつもりだったのですか?

村山 そうですね。私自身はクラフトではなくデザインの道に進んだのですが、会社を継いでいた兄が、2007年に急逝してしまったのです。とはいえ私はデザインの会社を畳むわけにはいかなかったので悩んだのですが、弊社の商売は非常に魅力的だと感じ、二足のわらじを履くことにしました。

―どんなところに魅力を感じたのでしょうか。

村山 例えば友禅染めなど、日本の伝統工芸、染めの世界には美しいものがたくさんあります。それらは非常に魅力的。その火を絶やしたくないと思ったのです。「誠和」が辞めてしまうと、日本の文化のどこかが欠けてしまうと。

江戸時代には女性たちが着物を着ていましたが、明治になって西洋化してくると着物を着る人は少なくなりました。その後も、着物文化はどんどん衰退しています。着るのに手間もかかりますし、値段も安くはありませんので理解できるのですが、放っておくと、染色の美しい世界も衰退していくと思いました。

今の若い方はあまりご存知ないかもしれませんが、友禅染めは、世界でもトップクラスの染め物。だから、これをなんとしてでも守り、もっと世界の方々に見て頂かなければなりません。私はデザインという商業的な部分を持つ分野に関わってきましたので、その経験を、伝統を広く伝えるということに活かせるのではないかとも思いました。そこからは、戦いの連続となりましたけどね(笑)。

―例えば、どんなことでしょうか?

村山 うちのような会社は、世の中でも非常にレアです。要はメジャーじゃないということ。マイナーなものを世の中に広めるのは非常に大変です。競争の激しいジャンルであれば、「相手がこうやったから、うちはこうやる」とかいうやり方があるのかもしれませんが、私たちの場合は、全てが自分たち次第。その中でいかに新しいものを作り、世に広めていくかにとても苦労しました。

―社長は、革の魅力をどんなふうに捉えていらっしゃいますか?

村山 染色とレザークラフト、素材で言うと布と革を扱っていますが、布と革に接しない人なんてまずいませんよね。どちらも人ととともに歴史がある素材です。中でも革は、自然が作り出した本当に素晴らしい素材だと思います。使えば使うほど自分に馴染みますし、かつ丈夫。そういう素材って、他には無いように思います。

財布やバッグなどは使うほどに手に馴染んできますし、10年経っても20年経っても使えます。また革には、スレやキズなどが残ったものがあるのですが、そうした個性に愛着が湧くというか。動物たちが生きた証というのですかね、大切なものを預かっているのだという実感が湧きます。

―そんな魅力的な革を使ったクラフトを手軽に楽しめる「makeU」が生まれたきっかけについて教えてください。

村山 レザークラフトには道具が必要です。例えば、革に事前に穴を開け、針を通すための道具などですね。ですが、道具を揃えなければと聞くと、ちょっと億劫になってしまいます。そこで、最初から革に穴が空いており、買って帰ったらすぐに縫い始められるものがあれば、もっとたくさんの方に楽しんでいただけるのではないかと考えました。発売当初は、化粧筆やペンなどを収納できる「クルクルケース」など、女性向けのアイテムが中心でした。でも革製品には男性も女性も関係ありません。そこで、今はどなたでも楽しめるアイテムが揃っています。

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革はもちろん、針や糸などもセットに。
すぐにレザークラフトが楽しめる。
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不器用なライターも、それぞれ1時間程度で作ることができました。

―私にもできるのかな?と思ったのですが、動画も用意してあり、とてもわかりやすかったです。

村山 それは良かったです。動画は今後も積極的に作っていけたらと思っています。

―こちらで楽しみを覚えて、本格的にレザークラフトを始める方も多そうですね。

村山 おかげさまで、「深みにはまった!」という方もいらっしゃるようです(笑)。簡単だけど作ることで満足感が得られる。それが喜びになるのでしょうね。上手く作れるようになると、自分でさらに加工したり、色をつけたり、だんだんオリジナリティも出てきます。革自体は、こだわりによって価格にも幅がありますが、1度道具を揃えれば釣りや車ほどお金もかかりませんし、続けやすい趣味だと思います。

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使うほどに味わいが増しそうなレザーアイテム。

―最近は、染色の素材にも画期的なものを開発されたとか。

村山 そうなんです。もともと染色はややハードルの高いものだったのですが、そこを乗り越えられるアイテムとして、樹脂顔料の「FABRIER(ファブリエ)」を開発しました。これは筆を使って、絵を描くのと同じ感覚で布を染められる顔料で、たとえ背景が黒であっても色がちゃんと出るところが魅力です。タイダイ染めのTシャツも簡単に作ることができるのですよ。

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カラーバリエーション豊富な樹脂顔料「ファブリエ」。
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発色も美しく、上から色を乗せて楽しむこともできる。

―どうやって作るのですか?

村山 シャツをくるくる巻いて輪ゴムで止めて、タライの中に入れます。そして10〜20倍ぐらいに薄めたファブリエを、ドレッシングボトルのようなものに入れて、Tシャツに適当にかけていきます。かけ終わったら広げて、アイロンかけて色を定着させます。そうすると、洗濯しても大丈夫。すごく簡単でしょう。ファブリエであれば、テーブルの上で誰でも染色を楽しむことができます。完成までには非常に時間がかかりましたが、とてもいいものができたと思っています。

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ファブリエで簡単にタイダイ染めのTシャツが完成。

―なぜこうしたアイテムを作ろうと思われたのですか?

村山 今は、ファストファッションなどが全盛になり、マーケティングの結果で流行色が決まる時代。昔に比べて世の中に色が少なくなったと感じています。そんな中、もっと色を楽しんで欲しいという気持ちがあり、作りました。それに、使わなくなったTシャツなどを染め直して楽しむなどすれば、とてもエコですよね。SDGsの考え方にも当てはまると思います。

―素敵な考え方ですね。それでは、今後の展望についても聞かせてください。

村山 昔は教室を開けば生徒さんがどんどん集まってきました。今後はそれをWEBの中で展開し、クラフトの輪を世界中に広げられたらと思っています。というのも、弊社にはレザークラフトで使用する「トコノール」というロングセラー商品があるのですが、これが今、世界中で売れていまして。宣伝もしていないのになぜだろうと思ったら、レザークラフトを趣味にする人たちが、SNSやYouTubeで、「これを使ったらいい」と紹介してくれているのです。教室に関しても、世界中にニーズがあると考えています。

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世界でヒット中。「誠和」のトコノール

それから、私たちは小学校や中学校に出向いて、子供たちにハンカチの藍染などを教えたりする機会があるのですが、彼らが作る作品が非常に素晴らしいのです。大人になると、誰もが慎重になり、無難なものづくりをしてしまいがちですが、固定概念のない彼らはすごい作品を作ります。そんな彼らに、創作活動を楽しめる環境をもっと作ってあげられたらいいですね。そして笑顔の輪を、どんどん広げられたらと思います。

「毎日の生活をイキイキと楽しく。遊びながら創造性を養えるクラフトをもっと広めていきたい」と熱く語ってくださった村山社長。お話をありがとうございました!

誠和_商品1

「makeU」シリーズ
価格:¥2,200(税込)〜
店名:SEIWA
電話:03-3364-2112(10:00〜17:00 土日祝日除く)
定休日:日、祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://seiwa-net.jp/ap/NList02.dll/?No=NS016610&ctg=1&HF=&c=100
オンラインショップ:https://seiwa-net.jp

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「樹脂顔料 FABRIER」
価格:¥616(税込)〜
店名:SEIWA
電話:03-3364-2112(10:00〜17:00 土日祝日除く)
定休日:日、祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://fabrier.com/
オンラインショップ:https://seiwa-net.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
村山伸一(株式会社 誠和 代表取締役社長)

1981年、多摩美術大学卒。同年、株式会社誠和入社。デザイン、ソフトウエア開発に従事。デザインでは様々な賞を授賞。多方面から評価を得て仕事の幅が広がり、独立することを決意し、1998年、ブランディングを軸にグラフィックデザイン、ソフトウェア開発を行うことを目的とするデザイン事務所sim co.,ltd.設立。現在もモータースポーツプロモーションを中心に、国内レース、主要サーキット、大手自動車会社のデザイン・Web運営を行っている。その後2007年に株式会社誠和 代表取締役に就任。最初に事業計画を計画する際に、あらためて染色という日本の伝統芸術の素晴らしさを再認識し、これを事業の柱として、現代に合う商品として一般の方々に楽しんでいただくことを決意して現在に至る。

<文・撮影/鹿田吏子 MC/橋本小波 画像協力/誠和>

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