今回、編集長アッキーが気になったのは、婦人靴で知られる「銀座かねまつ」。株式会社かねまつ・代表取締役社長の兼松真也氏に、商品の魅力を取材陣がうかがいました。
ヒールでも疲れず、おしゃれ 銀座かねまつの優秀パンプス 「LS-BH2319(3色展開)」 「LS-BH2313(3色展開)」
2023/03/22
株式会社かねまつ 代表取締役社長の兼松真也氏
―創業の経緯を教えてください。
兼松 私の祖父が戦後の1947年に東京・銀座の数寄屋橋に創業しました。当初は「太陽堂鞄店」という名前で、鞄だけではなく、傘や帽子なども含め、雑貨店のようなスタイルでした。翌年、「銀座かねまつ」の称号を変更しています。10年後に周辺の大規模工事のため立ち退きとなり、銀座四丁目に移りました。祖父は鞄店で修業して独立したのですが、鞄の販売がメインだと、お世話になった方々と競合になってしまいます。ちょうどその時代は女性の社会進出が進み、足元を支える靴が必要になると考え、鞄が7割だった状態から、婦人靴を7割、鞄を3割という業態に変更しました。
ハンドバッグと靴の素材を合わせて、コーディネートすることを目玉にしたのは第一の転機でした。これが1957年で、次の転機が1989年です。四丁目を本店としてきましたが、今の本店である六丁目に移して新しくお店を構え直しました。銀座の土地はとても高いのですが、当時の売上規模からするとありえないくらいのお金をかけて、本店を作りました。
そのときに「クチュリエ」というパターンオーダーを開始しました。お客様の足にあわせて、 260種類のパンプスから合う靴の形を定め、お客様のために一足ずつ靴をお作りするサービスです。そこで色々なお客様のお悩みを聞いていくうちに、新しいシリーズが続々と誕生しました。「SLENDER」は、足と靴のフィット感を高め、足の薄さに起因するトラブルを軽減します。
「WOMAN&MYSELF」は、最初から足になじむ履き心地を実現します。こういった今のラインナップのベースができたのは、1989年の本店竣工がきっかけです。
―創業者のおじい様からの教えなどはございますか。
兼松 私は生まれてからずっと祖父と一緒に暮らしてきました。そのため話す機会は非常に多かったのですが、世間一般でいう帝王学みたいなのは特に学んでおりません。ただ、「今、あなたの暮らしがあるのはすべてお客様のおかげなんだよ」とずっと言われて育ちました。
―家業に入社される前に、三越の婦人靴売場で販売を経験されています。
兼松 販売の修行をさせていただきましたが、女性はここまで靴にこだわりを持つのだという驚きがあり、一人一人のお客様の声を伺い、 思いを汲み取ることができないと、ちゃんとしたご提案はできないことを身をもって体験しました。
機能はもちろんですが、ファッション性の部分でのアピールも重要です。何か新しいものが欲しい、今シーズンはこれを履いていたら間違いないという安心感が欲しい、といったお客様に伝わる商品と接客でなければなりません。お客様の心を満足させることが非常に大事な仕事だと学びました。
―入社されてからは、自社ECサイト立ち上げに従事されています。
兼松 2010年の2月に入社し、通販サイト「シューズコンシェルジュ」のプロジェクトに5月から途中参加し、6月に新たに立ち上げたEC専門の部署のメンバーとなりました。オープンは9月でしたので、急ピッチで最後の作り込みをしなければならない状況でした。
大学時代にwebページの作成やプログラミングの経験がありましたが、面と向かってお話ができないお客様に、靴やハンドバッグの魅力をどうアピールするのか突き詰めていく作業が大変でしたね。
―コロナ禍の影響はいかがでしたでしょうか。
兼松 緊急事態宣言ですべてのお店を閉めるという経験は初めてのことでした。社会が変わるなか、5年、10年、20年先を見据えて会社をどう変えていくのか、そのかじ取りをするのはお前だと父から言われ、1年半前に社長に就任しました。今も組織を変えるために、色々と手を打っている最中です。
LS-BH2319。華やかなシーンにもぴったり。
―今回ご紹介させていただく商品「LS-BH2319(3色展開)」について教えてください。
兼松 甲が薄い方へ向けて開発した「SLENDER」シリーズの中で、お客様からの要望が強い、「ヒールでも疲れない」「ヒールでも痛くならない」という靴です。コロナ禍で外出機会が減り、全体的なカジュアルになっているファッション傾向の中で、ヒールを履く機会もどんどん少なくなっています。それでも華やかなシーンで、ぺたんこの靴ではなくヒールが履きたいという思いをお持ちの方がたくさんいらっしゃるので、グリッターにレースという華やかな印象の商品に仕上げました。
ブライダルゲストとして招待された際や、あらたまったレストランでの食事のシーンなどで、足の痛みを気にせずに履いていただけるようなものを開発しようというコンセプトです。こちらは今シーズン、新しく誕生しました。
甲ベルトによる安定感があり、ヒールがあっても疲れないのも魅力。
―「LS-BH2313(3色展開)」はいかがでしょうか。
兼松 こちらも「SLENDER」シリーズのポインテッドトゥの靴です。ふだん使いの中でヒールをお履きになりたいという方が、カジュアルダウンでも、かしこまった格好でも、どちらでもお使いいただける靴です。
靴の後ろがフラワーカットになっており、曲線のようになっていることで、脚のラインを綺麗に見せてくれます。ヒールは9cmくらいの高さのほうが脚は綺麗に見えるのですが、高くなればなるほど足に対する負荷は大きくなります。バランスを考えると、こちらの6.8㎝のヒールは、美しさと履きやすさの両立で、お客様の支持を得ています。
LS-BH2313。後ろ姿がキレイに見える塗装ヒール。
―お客様からの声などいかがですか?
兼松 もうずっとロングセラーで「この木型の靴しか履けない」という方もいらっしゃいます。初めて買われる方も、お試しいただくと、非常にもご満足いただけます。まさにお客様に育てていただいた木型の靴です。
かかとのウェーブラインとトップラインのVカットで女性らしい仕上がり。
―商品のアイデアはどこから生まれるのでしょうか?
兼松 ヨーロッパのトレンドなどをベースにしつつ、日本のお客様、日本のトレンドにその要素をどのように落とし込むかという考え方です。より日本市場にフィットしたデザインであったり、素材感であったり、色味などを意識して落とし込んでいます。
ただ、商品の開発会議の際は、私は口をはさまないようにしています。デザインを構想してから、実際に商品が店頭に出るまでに最長で8カ月ぐらいかかりますが、売れるかどうかの判断はデザイナーや、ユーザーぐらいの年齢の女性社員たちのほうが見えているところが多いと思っているので。個別デザインについては、私は基本的にノータッチです。
―お客様とのやりとりで心に残っているエピソードはございますか?
兼松 当社ではハンドバッグや靴の下取りを行っています。コロナ前のことですが、社員のほとんどの人が初めて見るバッグを持ってこられたお客様がいました。バックの中に型崩れを防止する新聞紙が入っていたのですが、それが30年以上前の新聞で驚きました。
下取りしたバッグはすごく綺麗で、大事に使っていただき、最後を私たちに預けていただいたことにとても感動しました。その方の人生の一部として、当社の製品が歩んでいたことを知り、こだわりながらものづくりをしてきてよかったと思いました。
―素敵なお話ですね。最後に今後のビジョンをお聞かせください。
兼松 今回コロナを経験して、何が起こるかわからない中、銀座かねまつというブランドが今後も明日につながっていくためには、サステナビリティにも取り組んでいかねばならないと考え、「KANEMATSU Lab.」を立ち上げました。
私たちのビジネス自体が持続性を持ったものであること、お客様がサステナブルな生活をするお手伝いをすることを二軸に、工場やベンダーさんからもより長くお付き合いをしたいと思えるような会社であり、個人であり続けるためにできることに挑戦していきます。
―貴重なお話をありがとうございました。
「LS-BH2319」
価格:¥24,200(税込)
店名:シューズコンシェルジュ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.shoesconcierge.jp/shop/search/detail?g=4120232LSBH2319–45030900
オンラインショップ:https://www.shoesconcierge.jp/shop/
「LS-BH2313」 ブラック・ベージュ・シルバー
価格:¥22,000(税込)
店名:シューズコンシェルジュ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.shoesconcierge.jp/shop/search/detail?g=4120232LSBH2313–03000900
オンラインショップ:https://www.shoesconcierge.jp/shop/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
兼松真也(株式会社かねまつ 代表取締役社長)
1981年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、米国に留学。帰国後、婦人靴工場にて製造の勉強。その後株式会社三越に入社。約3年間婦人靴売場にて販売を経験。2010年に当社に入社。自社工場、物流センター、数店舗での勤務後、自社ECサイト立上げに従事し、立上げ後のEC運営にも携わる。2021年に代表取締役社長に就任。社業だけでなく、銀座の活動にも精力的に参加している。
<文/垣内栄 MC/鯨井綾乃 撮影/坂口明子 画像協力/銀座かねまつ>