今回、編集長アッキーが気になったのは、環境に配慮し、洗い上がりも抜群の洗濯洗剤ですパッケージも素敵な商品を開発したTHE株式会社 代表取締役社長 米津雄介氏に、商品の魅力について取材陣がうかがいました。

THE株式会社 代表取締役社長 米津雄介氏

―会社を設立された経緯を教えてください。

米津　もともと大学ではプロダクトデザインを学んでいました。懇意にしていた教授が20年前では非常に珍しいサスティナブルデザイン学科を作ろうとしていて、サスティナブルデザインという考え方に感銘を受けました。その後、文房具メーカーのプラスに就職しましたが、入社を決めた理由は社内ベンチャーで生まれた会社にアスクルがあったことも大きいです。アスクルが非常に環境意識の高い会社だったのです。

一方、文房具は大量生産、大量消費の最たる世界です。新学期になると文房具を買い替えるのが日本の習慣であり、古い文房具は大量のゴミとなることに疑問を抱くようになりました。自分たちが作ったものが捨てられるのは、いい気持ちがしないですよね。すごいスピードで消費されていくのは、資源の無駄遣いで文化としてもあまりいいことじゃないという思いがありました。そこで会社は退職し、2012年に、くまもんのデザインでも有名なデザイナーの水野学氏、中川政七商店の社長である中川政七氏、プロダクトデザイナーの鈴木啓太氏とともにTHEを立ち上げました。

最初はグラスと漆のお椀、Ｔシャツの3つの商品からスタートし、日本全国の各専門分野のメーカーさんと一緒に共同開発をして、商品を作ってきました。現在は渋谷と東京に直営店があります。また、全国のインテリアショップやアパレルショップに卸販売をしています。

赤ちゃんの肌着にも安心して使える洗濯洗剤。

―会社のコンセプトを教えてください。

米津　捨てないもの、「THE」と言われる未来の定番商品を生み出していくのがコンセプトです。捨てる理由として「壊れるまで使った」という方は珍しく、「飽きてしまった」「より魅力的な新商品が出た」という理由で商品が寿命を終えてしまうケースが多いと思います。そのため飽きないデザイン、心理的に長く使えるモノを提供することはメーカーとしての一番の責務だと考えています。ビジョンは「最適と暮らす」で、誰にとっても、地球環境にとっても最適とは何かを考え続けていきます。

そこにはTHE5箇条と呼んでいる5つの指標があります。1つ目は形状で、未来の定番として飽きずに長く使える素直な形状であるかを重視しています。

2つ目は歴史に裏打ちされた商品ストーリーです。どういう変遷をたどってその形になったのか、今の文化になったのかみたいなことを調べて、ストーリーの一貫性に我々が作ろうとしている定番というものは合致するかを見るようにしています。

3つ目は素材で、その商品に適した素材で、その素材はちゃんと未来をいいものにしてくれますか？ということを考えるようにしてます。

4つ目は機能で、なんでもかんでもつければいいというわけではありません。基本機能で見過ごされているところがないか、高い次元で備っているかを指標にしています。

5つ目は環境で、未来の地球環境にとって悪い影響を与えないこと、うまくいけばいい影響を与えれることです。

これらの5つを指標にして、20ぐらいのプロジェクトを動かしながら、定番商品を開発しています。

海洋タンカーの事故処理研究を応用し、
界面活性剤を微粒子化する技術を導入することにより、
少量でも優れた洗浄力を発揮。

―今回ご紹介させていただく洗濯洗剤はどういう経緯で作られたのでしょうか。

米津　福岡にある「がんこ本舗」という洗剤の研究開発メーカーと一緒に作りました。この会社のビジョンは「海をまもる」です。我々のビジョンに合致する最適な洗濯洗剤はないかと、いろんな洗剤を試してみて、「がんこ本舗」の「海へ」という洗剤がとても素晴らしいことがわかりました。木村社長に会いに行って意気投合し、共同開発に至りました。2014年に発売しましたが、今年の8月に「Think Nature」という名前でリニューアルしました。「より環境に対して強いコミットをしていきます」という意思表示です。当社でも一番の人気の商品です。

綿、麻、化繊、ウール、シルク、ダウン素材やレインウェアなどの
防水透湿性素材まで、これ1本で洗える。

―リニューアルでどのように変わったのでしょうか。

米津　既存商品と比較して更に生分解性を高めることができたことに加え、水をいかに使わずに洗濯するかを追求しました。縦型で洗濯槽6分目以下の場合、すすぎ0回でも洗剤残りが少なくなっています。水不足になったときや、災害で水が多く使えないときなどは、洗剤離れがよくて、キレイに汚れも落ちる洗剤が必要とされます。普段使いでも、電気や水の節約に加え、洗濯時間の短縮もメリットです。木村社長とも話して、すすぎ回数を減らしても大丈夫な洗剤を実現しました。一方、価格上がってしまうので、勇気のいるリニューアルでした。以前の商品をお使いいただいているお客様が戸惑わないよう、すぐに切り替えるのではなく、以前の商品の在庫を確保した上で、リニューアル商品を販売しています。

柔軟剤なしでも繊維一本一本が立ち上がり、衣類がふんわり仕上がる。

―お客様からの声はいかがでしょうか。

米津　洗剤の状態だとラベンダーから取れた精油の香りが強いですが、揮発するので、乾いた後は香りが残りません。つまり洗浄成分が残っていないという状態で、お客様にも喜んでいただけています。品質のいい精油を使っていて、香りだけでなく、しっかり汚れを落とすことで生地本来の柔らかさを引き出すという面でも効能を発揮しています。現在、お客様の層は30代～40代が7割を占めます。もっとたくさんの層の消費者に届けていきたいと考えています。

―最後に今後の展望をお聞かせください。

米津　今回の商品リニューアルは当社にとっても大きなチャレンジで、意思表示でもあります。商品を発売した10年前と比べて、ここ2、3年は、SDGsやサスティナブルといった言葉を世の中で聞く機会が増えました。一方で、本質的にちゃんと環境への負荷を減らせているのかを考え、もっともっと強めていかなければと思っています。その意思表示する意味でも「Think Nature」というネーミングをつけました。来年は洗剤以外でも「Think Nature」シリーズの展開を予定しています。

―貴重なお話をありがとうございました。

「THE 洗濯洗剤 [Think Nature]」（ボトル 500g / レフィル 450g / トライアルセット 5gx6パック）
価格：【ボトル】¥3,480（税込）
【レフィル】¥2,980（税込）
【トライアルセット】¥660（税込）
店名：THE
電話：03-6452-6221（10:00～17:00 土日祝除く）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://the-web.co.jp/products/the-laundry-detergent-think-nature
オンラインショップ：https://the-web.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
米津雄介（THE株式会社 代表取締役社長）

東京造形大学卒業後、文具メーカーにて商品開発とマーケティングに従事。2012年に「THE」の立ち上げに参画し、全国のメーカーを回りながら、商品開発・流通施策・生産管理・品質管理などプロダクトマネジメント全般と事業計画を担当。2015年3月に代表取締役社長に就任。THEではD&AD Awards 2016、ADC Awards2020など受賞。共著に『デザインの誤解』（祥伝社）。

＜文・MC／垣内栄　MC／菊地美咲　画像協力／THE＞