レトロなこけし、自転車に乗った猫、丸いフォルムの可愛いパンダなど、ポップでカラフル、眺めているだけで楽しくなるような絵柄をあしらったマグカップやお皿たち。これらを手掛けているのが、名古屋に本社を置くジュエル商事株式会社です。陶磁器を中心とした商品を輸出している商社ですが、最近では海外向けに作ったオリジナルの「JEJP」シリーズを国内でも販売し、ファンを増やしています。今回編集長アッキーこと坂口明子が気になった2代目で代表取締役社長の河和秀美氏に、商品開発のエピソードやこだわり、思いなどを伺いました。
シリーズで集めたくなる、ポップでおしゃれな絵柄が楽しい「自転車ねこ マグカップ」「キャットアイズ 小皿セット」
2023/12/28
ジュエル商事株式会社 代表取締役社長の河和秀美氏
―ご創業は何年ですか。
河和 1964年11月です。商社に勤めていた今の会長が独立し、陶磁器を主体に輸出を行う商社として誕生させたのが始まりです。今も輸出向けの陶磁器を一番の強みにしており、今回ご紹介する商品も海外のティーショップ向けに開発されたものです。
開発のきっかけは、アンビエンテというフランクフルトで行われる消費財の見本市で、当社は30年ほど出展をしていて。初めの頃は日本の商社の出展も多く、その中でなかなか特徴を出せずにいました。それで、何かオリジナルのものを打ち出していかないといけないんじゃないかと。その頃ヨーロッパのマーケットではお茶が文化としてあり、日本茶の認知度が高く日本の茶器も好まれていることから、定番の形状のものにオリジナルの絵柄をつけることにしたのです。私が関わり始めて3年ぐらいの時だったと思います。
ヨーロッパでの販路開拓につながったという自社オリジナルの「JEJP」シリーズ。
メーカーの既製品のみを扱っていた同社が初めて手掛けたのは、写真の招き猫の絵柄だった。
デザイナーの姉に頼んでまずオリジナルの絵柄のものを2点作りました。それが展示会でお客様から好評を得て成約に結び付き、そこからオリジナルを増やしていきました。当初は招き猫や着物など日本らしいモチーフをアレンジした絵柄で、ポップだけれど大人の方でも使っていただける世界を目指しながら、海外の傾向も加味した商品開発を進めていきました。この「JEJP」シリーズを作ったことで輸出の窓口が広がり、ヨーロッパ進出への大きなきっかけになったと思います。
―ご紹介の「キャットアイズ 小皿セット」開発のきっかけは?
河和 あるとき「和柄ばかりでなくてもいいのでは」という話が出て、和柄でないものをデザインしてもらったのが「キャットアイズ」のマグカップです。これを見て、猫の顔を描かいた丸の部分がそのままお皿になってもかわいいよね、という話になり、試行錯誤を重ねながら小皿を作っていきました。
これをフランクフルトの展示会に出したら、足を止めて下さるお客様がすごく多くて。一人のドイツ系男性が小皿をずっと見ているので話しかけてみると、「私は猫が嫌いだ。でも、この猫は好きだ」と言ってニコッと笑われたんです。年齢、性別、国を問わず受け入れてもらえるデザインの力を感じて、うれしくなりました。
くるくると変化する猫の瞳に注目してデザインされた「キャットアイズ 小皿セット」は、
猫の5つの表情が楽しめる。「キャットアイズ」のシリーズが
日本の百貨店のバイヤーの目に留まったことで、日本向けに商品を販売することに。
「キャットアイズ 小皿セット」開発のもととなったマグカップ。
猫好きのデザイナーによって描かれたさまざまな猫の表情が楽しい。
「この柄がお皿になったときに可愛く見えるサイズ感」にこだわって小皿作りが進められた。
―おすすめの使い方は?
河和 食品に限らず、玄関先に置いて自転車や家の鍵を入れてもいいし、お香立てやアクセサリートレーのように使う方も。また机の上にクリップなどを入れて置き、仕事で疲れたときに猫の顔を見て心がほっこりする、そんな日常の中に取り入れて使っていただければ。
料理やお菓子を入れたり、小物を入れたり、多様な使い方ができる小皿たち。
マットなゴールドがリッチな印象を与える。
「角砂糖や高級チョコレートなどを添えてお茶の時間を楽しんでいただいても」と河和社長。
「キャットアイズ」をはじめ、さまざまな絵柄の小皿があり、それらを集めるのを楽しみにしているファンも。
―メタリック調で高級な感じもしますね。
河和 少し高級感を持たせたくて金箔に見える素材を使いました。傷がつきやすくなるのでメーカーさんからは嫌がられるのですが、そこは譲れないので。
―では「自転車ねこ マグカップ」開発のきっかけは?
河和 「キャットアイズ」のヒットを受けて猫シリーズを増やしていくことになって。デザイナーに自由にラフスケッチを描いてもらい、どんなテーマにするか打ち合わせを重ねていく中で生まれたのが、このシリーズです。猫が自然の中を走るとか街の中を走るとか、4つのテーマで描いた4種類を展開しています。
街の中を自転車で軽快に走る猫のイラストがおしゃれな「自転車ねこ マグカップ(グレー)」。
自転車ねこシリーズは色とデザイン違いの4種類が揃う。
イラストが蓋や持ち手の部分に配されているなど、細部までこだわりが。
絵柄を印刷した薄いフィルムを貼りつける技法が用いられており、
特に持ち手の下まで柄を続けるのは手間がかかるという。
―ヨーロッパっぽい雰囲気もある、大人っぽいデザインですね。
河和 デザインする際は、あまり子供っぽくなりすぎない絵柄の配置や色合いを大事にするとともに、笑みがこぼれ、心が楽しくなるようなものを心がけています。個性を放ちつつも奇抜になりすぎない、日常的に楽しんでいただけるような食器にするために何回も試作を重ね、いいと思えるものを展示会で発表しています。
商品の企画から完成まで大体3ヶ月程度。
河和社長は生産現場へ頻繁に足を運び、メーカーとの信頼関係を築きながら
より良い商品作りに取り組んでいるという。
―どんな点がおすすめですか?
河和 茶こしと蓋がついていて、個々に違う種類のお茶を楽しむこともできますし、これ一つで完結してくれるので、洗う手間も少なくなります。また、蓋をすれば冷めにくいという点でもおすすめです。
―今後の展望について教えて下さい。
河和 お客様の要望をいち早くくみ取り、欲しいものを供給できるような商社でありたいですし、オリジナルのシリーズも買われた方の日常が少しでもハッピーになる商品にしたいという気持ちで作っています。今後の目標として、輸出を伸ばしていくとともに、JEJPシリーズもより国内のお客様に知っていただけるよう努力を重ねていきたいですね。
男女問わず人気のJEJPの商品は、公式オンラインショップでの販売のほか、
名古屋にある直営ショップ「mocamoca(モカモカ)」でも扱っている。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!
「キャットアイズ 小皿セット」(5枚/直径9cm)
価格:¥2,200(税込)
店名:JEJP
電話:052-526-0080(直営店モカモカ 11:00~19:00 水木を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://jewel-japan.ocnk.net/product/329
オンラインショップ:https://jewel-japan.ocnk.net/
「自転車ねこ マグカップ(グレー)」(茶こし付き/高さ9cm・直径7.5cm)
価格:¥1,650(税込)
店名:JEJP
電話:052-526-0080(直営店モカモカ 11:00~19:00 水木を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://jewel-japan.ocnk.net/product/245
オンラインショップ:https://jewel-japan.ocnk.net/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
河和秀美(ジュエル商事株式会社 代表取締役社長)
1965年愛知県生まれ。
津田塾大学卒業後、3年間百貨店特選洋食器売場にて修業、その後1年半の英国留学を経てジュエル商事に入社。
留学時代より社の海外販路開拓事業に参画。
雑貨輸入、仲介貿易等、諸部門の経験を経て2021年社長に就任。
“日本の良いモノを世界へ“をテーマに掲げ、輸出を軸に自社サイトでの販路拡大にも注力している。
<取材・文・撮影/山本真由美 画像協力/ジュエル商事>