今回、アッキーこと坂口明子編集長のテンションを上げたのは、広島県の印刷会社が開発したブックマーク。「ここまで読んだ。」「読むのが苦痛。でも読む。」などクスッと笑える文言がフォントごと切り取られていて、読書が楽しくなること間違いなし。この商品開発のきっかけを株式会社正文社印刷所 代表取締役、市川敏幸さんに取材スタッフがうかがいました。
クスッと笑えるブックマーク「文字のしおり」で、読書タイムをより楽しく
2024/01/24
株式会社正文社印刷所 代表取締役 市川敏幸氏
―御社は印刷が本業ですね。
市川 私の祖父・市川虎松が1947年に興しました。以来、広島県の印刷会社としてカタログや冊子などを受注し、企画提案、デザインから最終加工までの一貫生産ラインを構築し、事業を拡大してきました。虎松の妻・安子、私の父・市川卓治が継ぎ、私で4代目になりますね。
現在は印刷とデジタルを融合させたデジタルスタンプラリーなどのコンテンツを制作しているほか、ドローンを使っての空撮や農業の薬剤散布をする事業も始めています。
「文字のしおり」は、「ご当地のしおり」「愛のしおり」「橋のしおり」シリーズがありバラエティ豊か。
―その会社がなぜブックマークを作ることになったのですか。
市川 レーザーカッターという機械を導入したのがきっかけです。2020年、コロナ禍でダメージを受けている企業に商品開発など新事業展開を模索するための補助金が出ることになり、当社も設備投資としてレーザーカッターやUVプリンターを購入しました。そのときはそれで何を作るかは決めていなかったので、まずハードが先行した形になりますね。
いろいろと試行錯誤をし、当時、アクリルスタンドが話題になっていたのでそれも考えたのですが、やはり2番煎じではおもしろくありません。そこで40名ほどの社員を4~5人のグループに分け毎月1つ以上の商品企画を出すようにしました。そこで上がってきたアイディアの1つがこの「文字のしおり」です。若手の女子社員の発案です。
最初、電子書籍が隆盛になりつつある時代に、本のしおりというアナログなグッズが世の中で受け入れられるのか心配したのですが、売れるか売れないはやってみないと分からない、まず一歩踏み出してみようと思い、2021年に発売開始しました。ただ、当社は印刷会社ですからこのような雑貨の販売チャネルがありません。大々的に広告を打つわけでもなく、プレスリリースを出したときにメディアに取り上げていただきそのとき少し売れる…という状況でした。
「文字のしおり『ここまで読んだ。』」その通りの文言に癒される。
―多くの方に知られるきっかけは?
市川 私は広島東洋カープが大好きでしてね。これをカープグッズとして販売できないかと思い、球団のライセンスを扱っている部門に問い合わせしました。すると、面白いと言ってくださり、2022年に広島東洋カープ承認グッズとしてマツダスタジアム内の売店、球団のサイトでも取り扱っていただけるようになりました。これをきっかけに販売量が増えましたし、地元の書店さんなどでも扱っていただけるようになり、販路が広がり手応えを感じるようになりました。
「文字のカープのしおり『たのむぞ!!新井さん。』」
「文字のカープのしおり『菊池さんそこ捕ります!?』」。「文字のしおり」のカープシリーズは赤い文字で抜かれている。
―カープシリーズだけではなく阪神タイガースのシリーズもありますね。
市川 2023年は阪神タイガースが優勝しましたので売れ行きもよく、ありがたいことです。ありがたいことなんですが……来年は、カープにもがんばってもらいたいです…(苦笑)。ただ、「文字のしおり」が日本の野球界を少しでも盛り上げる一助になったらという思いで球団を限定することなく今後も展開していければと考えています。
文字のしおり「読むのが苦痛。でも読む。」は難解な本、勉強の本に使うと励みになりそう。
―ファン心理としては複雑なところですね(笑)。「文字のしおり」には文言が正統派のものと、クスっと笑えるものがあります。
市川 「ここまで読んだ。」「明日はここから。」「おつかれさま。」などの真面目な文言は、赤い紐がついているシリーズです。
これに対して「読むのが苦痛。でも読む。」「もう2度と読まないかも。」「ここは俺にまかせて早く逃げろ。」などエッジを効かせたシリーズには青い紐がついています。真面目な文言は真面目なスタッフが、エッジの効いた文言はエッジの効いたスタッフが考案しています(笑)。カープのしおりだけは最終的に私がいろいろと口を挟みます(大笑)。
「文字の真田紐のしおり『合格祈願。』」。真田紐に願いを込めて。
―日本の伝統的な紐を使用している「文字の真田紐のしおり」シリーズの強く美しい凛としたその姿には、和のこころと彩りがあります。真田紐にこだわりがあるのでしょうか。
市川 いえ、昨年、岡山の展示会に出展したとき、たまたま隣が倉敷の真田紐を作る会社で、そこでお話して御縁がありその会社の真田紐を使うようになったのです。今後はいろいろな真田紐を使った展開を考えています。
―いろいろな偶然が重なって商品開発されているのですね。この材質は何でしょう?
市川 紙ですね。ただ一般に使われるような紙ではなく車の内装に使われるなど工業製品として使われる硬い紙を使っています。紙製ですからどうしてもデリケートな商品になりますが、環境への負荷も少なく、紙独特の手触りがいいという評価もあり、紙製にしてよかったと思っています。
―いろいろな文言があり楽しめますが、オリジナルブックマークを作ることも可能ですか。
市川 はい。今後は受注生産にも力を入れたいと思っています。現在は100枚以上からの受注になりますが、会社の創立記念などの記念誌に添えられたり、また個人の方も還暦祝いなどで作られるのもいいかと思います。
―今後の展望についてお聞かせください。
市川 多くの方に文字のしおりを知っていただけるようになりましたが、まだまだ世の中の認知度は低いと思っています。2024年からはインバウンド需要も含め、さらに消費者の皆さまの目に触れる機会を増やしていきたいと思っています。また、自社サイトのより一層の充実、主要ECモールへの展開、海外進出も視野に入れて、様々な角度から文字のしおりを拡販できる仕掛けをワールドワイドに考えています。
―素敵な言葉がより多くの方の心に響くといいですね。本日はありがとうございました。
「文字のしおり『ここまで読んだ。』」
価格:¥1,000(税込)
店名:文字のしおりオンラインストア
電話:0865-66-1687(9:00~17:45)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL: https://mojino-shiori.com/?pid=158166414
オンラインストア: https://mojino-shiori.com/
「文字のしおり『読むのが苦痛。でも読む。』」
価格:¥1,000(税込)
店名:文字のしおりオンラインストア
電話:0865-66-1687(9:00~17:45)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://mojino-shiori.com/?pid=158069496
オンラインストア: https://mojino-shiori.com/
「文字の真田紐のしおり『合格祈願。』」
価格:¥1,200(税込)
店名:文字のしおりオンラインストア
電話:0865-66-1687(9:00~17:45)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://mojino-shiori.com/?pid=173073560
オンラインストア: https://mojino-shiori.com/
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市川敏幸(株式会社正文社印刷所 代表取締役)
1963年広島県生まれ。関西学院大学でジャーナリズム論、メディア論を専攻。卒業後、日本プリンティングアカデミーに進学。その後、フォントメーカー勤務を経て正文社印刷所に入社。2006年に同社代表取締役に就任する。近年ではドローンビジネスにも注力し、2019年には「官・民・産・学」の連携を図りドローンの普及と地域社会の発展に寄与することを目的に、瀬戸内ドローン推進協議会を立ち上げ代表理事も務める。
<取材・文・撮影/今津朋子 画像協力/正文社印刷所>