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こんなのが欲しかった!レトルトパウチ開封時のモヤモヤを解決する「れとらくはさみ」

2024/02/08

熱々に温めたレトルトパウチを開け、中身をキレイに取りだすのは至難の業です。手でうまく開けられなかったり、中身が周りに飛び散ったりと毎回モヤモヤ。そんなお悩みを解決するのが「れとらくはさみ」です。今回編集長アッキーこと坂口明子が気になった、株式会社ヤクセル 代表取締役の山田義久氏に取材陣が伺いました。

株式会社ヤクセル 代表取締役の山田義久氏
株式会社ヤクセル 代表取締役の山田義久氏

―創業の経緯を教えてください。

山田 創業は1932年です。この年、米穀店を経営していた祖父が相談を受けて、ポケットナイフの生産を始めました。米穀販売とナイフ製造では分野が違いますが、機械はお米を保管するための建屋に設置できましたし、地場産地ですから技術・経験を持った人も採用しやすいので、新規事業であっても成算はあったようです。

その後、ポケットナイフ生産がメインの事業になり、戦争で一時中断したものの、戦後再開、1947年に今の会社の前身となる「合名会社 山田刃物製作所」を設立しました。

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モダンなデザインと鋭い切れ味が、進駐軍兵士たちの評判を呼んだ。

―現在は包丁だけでなく、多彩なキッチンツールも製造しています。

山田 会社設立後しばらくは、北米や欧州など海外への刃物販売が中心でしたが、2代目の父は、お客様の要望にお応えするため、お玉やフライ返し、キッチンバサミ、トングなどのキッチンツール、スプーン・フォークといった洋食器も取り扱うようになり、商品のバリエーションが増えました。

―「れとらくはさみ」誕生のきっかけを教えてください。

山田 弊社にとって、キッチンハサミは主力商品の一つですので、常に新製品の開発を行っています。「れとらくはさみ」の開発は、近年ブームとなっているレトルト食品向けのハサミが出来ないか、という意見が出たのがきっかけでした。

当初は、「手でパウチを切ると中身が飛び散る」という悩みを、専用のハサミで解決しようとしていたのですが、打合せを重ねていく中で、「お湯からパウチを取り出すとき指先が熱い」「中身を残さず絞ろうとすると指が汚れる」といった声が、開発メンバーから上がりました。これらの悩みをハサミ1本で解消できないか?という意見が出たことで、開発の方向性が大きく変わりました。

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熱々のパウチをつかみ、サッと切って、手を汚さずキレイに中身を絞りだせる。

―「つかむ、切る、絞る」の3つの機能が1本でできます。

山田 ハサミは“切る”ことに特化したツールです。そこに、“つかむ”と“絞る”をどう組み込むかが開発のポイントでした。本来は切るための刃に、新たな機能を加えるわけですから。ここから試行錯誤が始まりました。

―苦労されたポイントは?

山田  “切る”については、刃元近くの刃を使えばできますが、工夫が必要だったのは、やはり“つかむ”と“絞る”、この2つの機能をどう確保するかでした。

刃先を分厚くし、内側には滑り止め用の溝を作って、“つかむ”機能を強化したのですが、パウチをお湯から出す際、しっかりつかめるか不安が残りました。“絞る”については、2本の刃の間にせまい隙間を作り、パウチを挟んで絞れば、中身を残さず取り出せるのでは?と考えたのですが、これだけでは不十分だとわかりました。実際にパウチを絞ると、挟む力が一気にパウチに加わって、刃を上手く滑らせることができなかったのです。

―どうやって改善したのですか?

山田 ハンドルの構造を改良しました。通常、ハサミの刃を閉じたとき、2つのハンドルは内側で接触しますが、「れとらくはさみ」では、閉じた状態でもハンドルの間にあえて隙間を残すようにしました。

隙間があることで、刃を閉じた後でも必要に応じてハンドルを握り込み、ハンドルのしなりを使って、さらに刃に力を加えることができます。その結果、つかむ力を強化しつつ、はじめは弱く最後は強く絞るというコントロールが可能になりました。

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上から「つかむ・切る・絞る」の各パーツ。
シンプルな見た目ながら、申し分のない機能が詰まっている。

―ほかのこだわりも教えてください。

山田 「れとらくはさみ」は、中央の白い鋲(リベット)を下側にして置くと、刃が接地面から浮くような形状にしています。刃についたパウチの中身が、キッチンカウンターに付くのを防止するこの構造は、フォークやナイフなどを置くカトラリーレストから思いつきました。刃物のほかに洋食器も製造してきた、弊社ならではの発想かもしれません。

―うれしい工夫が満載ですね!アイデア商品の発想はどこから?

山田 何かを作ろうと考えたとき、いろいろな人の話を聞くのですが、皆さんの意見、エピソードが結びついて、アイデアが生まれることが多いです。たとえば、弊社の「こども安全包丁」は洋食器から着想を得ました。お子さんが使うので、まずは安全を第一に考えなくてはなりません。お肉を食べるときに使うテーブルナイフの刃には、ギザギザが付いていますよね。普通の包丁の刃と異なり、手が触れただけでは切れない、でもお肉にギザギザの刃が食い込めば、滑りにくく安全に切ることができる。この刃付けからヒントを得て、お子さんが安全に使える子ども用の包丁を作りました。

―これまで培ってきた経験があるからこその発想ですね。

山田 はい。弊社は包丁やハサミだけでなく、洋食器も取り扱っているので、自然とこういった発想につながったのだと思います。「れとらくはさみ」にも、キッチンツールであるトングを作った経験が活きています。さまざまな商品を製造してきたノウハウの蓄積によって、お客様の悩みを解決する商品ができたのだと思います。

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キッチンに馴染むシンプルなカラーとデザインも魅力。

―「れとらくはさみ」のおすすめの使い方はありますか?

山田 レトルト食品以外にも、離乳食、詰め替え用の液体洗剤、あるいはペット用のウェットフードのパウチを開けるときにもお使いいただけます。キャップ付きなので、アウトドアなど外出先にも持ち出しやすいかと思います。用途に合わせて、複数個まとめてお買い求めいただくことも多いです。パウチをうまく開けられない力の弱い方にも、ぜひ試していただけたらと思います。

また収納面にも工夫を加えています。付属の両面テープを使って、冷蔵庫やキッチンの壁面にキャップを固定することができます。レトルトパウチをよく使う方に、おすすめの収納方法です。

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キャンプやバーベキューなど、アウトドアでも活躍しそう。

―発売後の反響は?

山田 有難いことにインターネットやテレビをはじめ、各種媒体でも取り上げていただき、多くのお問い合わせを頂戴しました。先日実施したInstagramのキャンペーンでもたくさんのご応募をいただき、うれしい限りです。「こんなのが欲しかった」「食品用と、お風呂、トイレ用に3本買った」といったお声も頂戴しております。

―ありそうでなかった商品ですよね。

山田 はい。これまでの経験があるからこそ、製品化に至ったのだと思います。ご家庭で役立つ、ちょっと変わったものを作れるところが弊社の強みだと考えております。これからも、「なるほど!」と思っていただける、みなさまのお役に立てるような商品を作っていきたいですね。

―今後の展望についてもお聞かせください。

山田 幅広くさまざまな商品を取り扱ってきた知見を活かして、国内と海外の双方に向けた製品づくりを進めていきたいと考えています。近年は生活雑貨の分野でも、日本の生活スタイルが改めて海外で注目されています。日本の文化をもとに海外向け製品を作り、海外市場での経験を国内の営業にも活かすといった、柔軟な発想をもちながらモノづくりをしていきたいと思います。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

れとらくはさみ

「れとらくはさみ」
価格:¥990(税込)
店名:ヤクセルストア
電話:0575-22-3411(9:00~17:00 土日祝・夏期休暇・年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://yaxell-store.com/products/retoraku
オンラインショップ:https://yaxell-store.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
山田義久(株式会社ヤクセル 代表取締役)

1977年岐阜県生まれ。2004年株式会社ヤクセルに入社。2017年に同社代表取締役に就任。受け継がれてきた職人の手仕事を大切にし、機能性はもちろんデザインにもこだわった製品を作り続けている。

<文/香川けいこ MC/三好彩子 画像協力/ヤクセル>

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