パッチワークや和紙を使った作品を作る手芸は、老若男女が楽しめる趣味の一つ。おうち時間を彩るだけでなく、自分の手でインテリアアイテムを作れるのも魅力的です。今回、編集長のアッキーが注目したのは、オリジナル手芸キットを販売する東京・浅草橋の「さくらほりきり」。代表取締役の堀切俊雄氏にスタッフがお話を伺いました。
手作りの喜びを体験!手芸キット「きめこみ誕生花・フリージア(2月)」と「さくら折りたたみミラー(布付き)」
2024/02/28
株式会社さくらほりきり 代表取締役の堀切俊雄氏
―創業2代目とお伺いしました。
堀切 弊社は私が5歳のときに父が創業しました。当時の私は幼かったのであまりよくわかっていませんでしたが、なんとなくこういうことをやっている会社なんだなということは認識していました。父は元々職人だったこともあり、慣れない会社経営に苦労していたようです。私には小さい頃から「お前は社長には向いていないから、会社を継ぐことは一切考えなくていい」と言っていました。ですから、父の会社に入社することはまったく考えていませんでした。
―初めは別の会社で営業をしていたそうですね。
堀切 もう30年くらい前になりますが、メーカーで代理店営業をしていました。3年近く経ってから、自分は営業という仕事も好きだけれど、数字を作るためだけに頑張るというのはやはりちょっと違うのかなと思ったんです。そして、そういえば父が経営しているさくらほりきりは「作るよろこび」を掲げている、これはお客様に喜んでいただける仕事なのではないかということに気付きました。やっぱり人に喜んでもらえる仕事がしたいと思い、そこで初めて父に「会社に入りたいと思うんだがどうだろうか」と話をしました。
―そのときのお父様の反応はいかがでしたか。
堀切 父とはそれまで会社や仕事の話をほとんどしたことがなかったのですが、すんなりと「そうかわかった」と言って認めてくれました。結構厳しい父だったので、昔からいる社員の方々からは「会長がよくOKしたね」ととても驚かれました。 おそらく前々から、「いくら息子でも、それだけで入社させることは考えてないんだ」と話をしていたんじゃないかなと思います。
浅草橋に本社を構えるさくらほりきりは、今年で創業47周年を迎えます。
―創業当初から変わらないことは?
堀切 やはりずっと「作るよろこび」というものがキーワードになっています。父は弊社を創業する前は箱の職人をしていて、靴や帽子などを包装する紙の箱を受注生産で作っていました。職人ということもあり「自分で作るのが当たり前、職人だから作れるんだ」という自負を持っていましたが、あることをきっかけに、職人が作るものをキットにして誰でも作れるようにしたら良いのではないかと考えるようになったそうです。
完成度の高い作品を職人のように自分の手で作れた誇らしく嬉しい気持ちになる。そういう商品はきっとみんなに喜んでもらえるのではないかという思いから、弊社は立ち上げられました。この「作るよろこび」というものがさくらほりきりがずっと変わらず追求する企業理念であり、これをベースにして現在もいろいろな取り組みを考えています。
人気のきめこみパッチワークシリーズは、針や糸を使わず簡単に作れるのが魅力です。
―きめこみ誕生花と折りたたみミラーの誕生のきっかけを教えてください。
堀切 きめこみパッチワークの商品は実はもう30年くらい前に開発していて、毎年布やデザインを変えながら、さまざまなキット商品を出しています。きめこみ誕生花シリーズは、そのなかで昨年シリーズ化した商品です。
折りたたみミラーのような和雑貨のキットはほかにもたくさんありますが、こちらは30代〜40代の女性をターゲットにしています。元々私たちのターゲット層は70代・80代のご高齢の方ですが、この商品はそれよりも若い女性向けということで折りたたみミラーを提案させていただきました。和雑貨シリーズは、作る前はどんな構造になっているのかわからなくても、説明書通りに作っていくといつの間にか完成するのが面白いところです。
―どんな方に手に取ってもらいたいですか?
堀切 日本人だけに限らないと思いますが、このような物を作る作業を苦手だとおっしゃる方は結構多いです。例えば弊社の店舗で、店頭に展示している完成サンプルを見て「これください」と言われたときに、「これは完成見本なのでご自分で作っていただくんですよ」とお伝えすると、「私は不器用だから自分で作るなんて無理だわ!」と言われることも。自分が不器用だと思っている方はたくさんいらっしゃいますね。
このようなキットの商品は他社でも売られていますが、特別な技術が必要なものや、我々でもこれは作るのが難しいなと思うものが売っていることも多くて、それでお客様が「自分は作れなかったから不器用なんだ」と思い込んでいるケースもよくあります。弊社のキット商品はそのような方でも簡単に完成できて、作るよろこびを体験できるのではないかと思っています。
―不器用な方でも大丈夫ですか?
堀切 やはり手芸はよっぽど得意な方でないと、なかなか自分で部材から揃えたり作品を作ったりしないのではないでしょうか。ですが、弊社の商品は「手芸をやったことがない方でも作れる」をコンセプトにしているので、自分は不器用だと思っている方でも簡単に作れるよう、切る・貼るといった一般的な工程のみにしたり、説明書をわかりやすくしたりしています。不器用だと思っている方ほど、自分で作れたときの喜び・感動をより味わっていただけるのではないかなと思います。 弊社の商品であれば、絶対にきれいに作品を作れるという自信があります。
医療・福祉の現場では、リハビリや作業療法としても利用されています。
―ご高齢の方もターゲットに?
堀切 今の日本には超高齢社会という大きな課題がありますが、我々もちょうどご高齢の方に多く支持していただいているので、いろいろな思いがあります。やはりご高齢になってくると、今までいろいろな趣味を持たれていた方でも体の状態的にできなくなってくることがどんどん増えますよね。そのような方に、新たな趣味として弊社のキットを楽しんでもらえたらいいなと思います。先日は90代の方から「この歳になってこんなに楽しいことを見つけられて、新たな生きがいを持ててよかったです」といったお手紙をいただきました。
年を重ねるにつれてできなくなることが増えると、自分は必要とされていないんじゃないかと思ったり人に認めてもらう機会が減ってしまったりしますが、弊社のキットで作品を作って褒められたという経験をする方がたくさんいらっしゃってうれしいです。
―病院や福祉施設でも取り入れられているとお伺いしました。
堀切 福祉関係の施設でご利用いただくことも多いのですが、はじめて弊社のキットで作品を作ったときに、ご家族の方に驚かれることがよくあります。今までは途中で諦めていたけれど初めて自分の手で最後まで作れた、作ったものを見せて褒められたという経験を提供できていたらいいですね。
弊社のキットがご高齢の方やご病気などいろいろな状況の方にとっての生きがい作りや、明日も頑張ろうと思える希望になれたらと思っています。そのような方を増やしていくためにも、より簡単に作れて完成度の高いものをこれからもどんどん企画していきたいなと考えています。
―最後に今後の展望について教えてください。
堀切 世の中はどんどんデジタルの時代になり、いろいろなものを効率化していくようになりました。仕事ではデジタル化による恩恵もたくさんあると思いますが、こういう時代だからこそ、自分の手で何かリアルなものを作り出すことの価値があるのではないかと思います。ご高齢の方だけでなく、若い方でも作品を作ることで集中できたりストレス解消になったりすると思います。アナログならではの手作りの魅力や付加価値を、いろいろな方にアピールしていきたいなと考えています。
―超高齢化社会・デジタル社会だからこそ「作るよろこび」に価値があるんですね。今回は貴重なお話をありがとうございました!
「きめこみ誕生花・フリージア(2月)」(縦15.3×横15.3cm/6インチサイズ セット内容:説明書・きめこみボード・裏板紙(茶色)・カラー見本・型紙・布・小物・フェルト芯)
価格:¥1,540(税込)
店名:さくらほりきり
電話:0436-25-2222(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.sakurahorikiri.co.jp/c/products/pk/pk001/pk001-sort018/prod_5043302
オンラインショップ:https://www.sakurahorikiri.co.jp/
「さくら折りたたみミラー(布付き)」(巾8.4×奥行9.4×高さ7.9cm たたんだサイズ:8.4×8.6×厚み1.2cm)
価格:¥1,100(税込)
店名:さくらほりきり
電話:0436-25-2222(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.sakurahorikiri.co.jp/c/products/pz/pz002/prod_4782041
オンラインショップ:https://www.sakurahorikiri.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
堀切俊雄(株式会社さくらほりきり 代表取締役)
1972年東京都台東区生まれ。1996年にムラテック販売株式会社に入社し、3年間営業職に従事。1999年に株式会社さくらほりきりに入社し、通販課・本店・営業課と現場の仕事を経験。2013年に同社代表取締役に就任。
<文/Kasumi MC/矢口優衣 画像協力/さくらほりきり>