1935年から続く紐の卸問屋である株式会社丸進。脇役になりがちな紐やリボンの魅力をもっと届けたいという思いから立ち上がったブランドであるline-R(ラインアール)は紐を主役とした数々の商品を開発してきました。今回編集長・アッキーが注目したのは、そのうちの一つである「BRING NET」は紐だけのボトルホルダー。廃ペットボトルが原料の糸を使って環境にも配慮された商品です。そんな紐を主役とした商品を数々開発してきた、株式会社丸進の代表取締役社長 野澤孝康氏にお話を伺いました。
創業80年以上の紐屋が作る、廃ペットボトルから生まれた「BRING NET」
2024/03/05
株式会社丸進 代表取締役社長の野澤孝康氏
―社長になられた経緯について教えてください。
野澤 大学の頃は家業を継ぐかどうかで葛藤していました。ただ、家業が繊維関係であったため、就職活動は繊維業界を主に見ていて、アパレル会社に就職しました。
当時のアパレル業界は厳しい環境で、周囲の人たちはその厳しい中でも社長を目指している人が多い会社でした。その影響もあって自分もチャンスがあるなら社長業をやってみたいと思い、家業を継ぐことにしました。
家業を継ぐ前にはしばらく海外での生活も経験しています。中学生くらいに見たドラマに影響されて、昔から海外に憧れがあったのがきっかけです。
―その後2001年に入社し2013年に社長就任、会社を継いでからのご苦労はありましたか?
野澤 自分がやりたいと思ったことを自分の判断で動くことができる環境があるため、会社で苦労したと思ったことはあまりありません。おかげさまで、社長としてやりたいように多くのことに注力しています。
―会社の沿革についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
野澤 会社設立は1950年です。当初は、東南アジアへの輸出を主な事業として行っていました。ただ変動相場制に変わってから輸出業が厳しくなったため、国内事業に力を入れ始めました。それからは、アパレル関連のお客様が広くできたので、国内をメインに事業を行ってきました。私が会社に入社してからは国内にも少子化問題などがあるため、再度海外に注力しようと思い海外支社の立ち上げもしています。2002年には上海、2009年に香港、2015年はベトナムのホーチミンと今までに3つの国に支社を立ち上げてきました。
―海外にも支社を置く丸進の一番の強みについて教えてください。
野澤 一番の強みは引き出しの多さだと考えています。これまで長い間日本国内で事業を行ってきたことで、丸進は多くのメーカーとつながりを持っています。また、先ほどもあったように海外にも支社があることで、国外にもつながりがあります。そういった仕入先が多くあることで、クライアントからの様々な要望に沿った多種多様な商品を用意することができます。この引き出しの多さが会社の強みです。
―そんな丸進の自社ブランドであるROSE BRAND(ローズブランド)とline-R(ラインアール)の2ブランドに付いて教えてください。
野澤 従来から卸売りで使っている商標としてROSE BRANDがあったため、アパレルではそのまま使っています。自社製品に関してはROSE BRANDからRをとって、line-Rというブランド名にしました。
―自社製品を取り扱うline-Rを立ち上げたきっかけは?
野澤 長い間丸進で扱ってきた紐やリボンなどはあくまでも服の部品で、あってもなくても服として成立する脇役のような商材でした。自分たちが扱っている商材が主役になれるものを作れないかないか、という思いからできたブランドがline-Rです。
―2007年に発足された企画室もやはり自社ブランドに大きく関わっているのでしょうか。
野澤 実際に商品を生産していない問屋としてできることはなんだろうかと考えたときに、やはり企画力が重要であったため企画室を作りました。メーカーとのつながりが多い自社の強みを活かした発信ができたり、自社ブランドでどのような商品を作るかという話ができたり、企画室の存在は大きいです。
企画室では自社ブランドで紐を活かした商品開発を行っています。
―そして今回ご紹介する「BRING NET」について教えてください。
野澤 メーカーとのつながりを活かし、まずは紐を作る会社に素材の発注を行い、網を編む会社にその紐を使って製品を作ってもらっています。
まずは紐が主役の商品であること。そして、紐の要素は様々あったが紐を編むという商品がまだ無かったため、網形状のもので商品開発をしました。
―網形状であるとボトルを簡単に入れることができることもポイントですね。
野澤 網形状でありゴム素材でもあるので、簡単にボトルを入れることができます。また、上からはもちろん網目からもボトルを入れることもできます。
伸縮性のあるゴムなので網目から簡単にボトルを入れることができます。
―さらにこだわっている点は?
野澤 時代の流れとしても環境への配慮が重要視されていますし、自社としてもなにか環境に配慮した商品を作ることができたらと考えて、廃ペットボトルが原料の糸を使っています。
line-Rで自社製品を作り始めた最初の頃は、外部のデザイナーとともに商品を開発していました。ただ、今回の「BRING NET」はデザインも社内で考えられた商品です。カラーも4種類ありますが、それぞれトレンドカラーを見ながら配色を決めました。
アウトドアファッションのアイテムとしても相性がピッタリです。
―開発で一番大変だったことは?
野澤 最初は紐にこだわっており、紐のまま網を編んでいたため、使っていると緩んできてしまったり、形状が変わってきたりしてしまいました。そこで、伸縮性があるゴムを素材に使うことで、緩みや形状の変化が起きないようにできました。
ペットボトルやボトルはもちろん、例えば折りたたみ傘や外したマフラーなどを入れておくこともできます。ボトルに限らずネット形状のカバンのように使用いただけます。
―そんな「BRING NET」はどういう方に届けたいと考えていますか。
野澤 開発してから間もないのでまだ浸透できていないですが、男性女性に関わらずかっこいいものを持ちたいという人に届けられたらと考えています。
―最後に今後の展望についてお伺いします。
野澤 今後も紐やリボンなどの面白みを伝えていきたいと思います。国内では今までアパレルが主な取引先でしたが、異業種へのチャレンジもしていきたいです。紐は手に取る機会が少ない商材ですが、もっと紐の新しい使い方や素材の面白みなどを紐屋としてアピールしていきたいと考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!
「BRING NET」
サイズ:ネット全長約22cm(編み込み部分のみ)/ストラップ 全長約140cm(パーツ含みません)※商品はネットとストラップ部分のみです。ボトルは付属していません。
カラー:グレー、グリーン、ネイビー、レッド
価格:¥4,147(税込)
店名:line-R
電話:075-432-2131(代表)(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://line-r.jp/product/bringnet.html
オンラインショップ:http://line-r.jp/index.html
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
野澤孝康(株式会社丸進 代表取締役社長)
1971年京都府生まれ。立命館大学卒業後1994年に株式会社東京スタイルに入社。4年後の1998年に退社し、青年海外協力隊として2年間ブルガリアへ赴任。株式会社丸進へは2001年に入社。2013年に代表取締役社長に就任。
<文/masa1018 MC/石井みなみ 画像協力/丸進>