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ものづくりで使う人の生活空間を豊かに。境木工の「PRIMO」&「吉野民芸」シリーズ

2024/04/10

部屋に彩りを与えてくれるような、カラフルなスツール。そしてもう一方は、褐色と黒い金具が懐かしさを感じさせる、クラシカルな桐だんす。この全く異なる2つの家具を作っているのは、福岡県大川市にある「境木工」です。創業100年を越える家具製造会社が、どんなきっかけで、このようなコンセプトの違う家具を作っているのでしょうか。
今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になった有限会社境木工 代表 境明展氏に、取材陣が伺いました。

有限会社境木工 代表 境明展氏
有限会社境木工 代表の境明展氏

―境木工の沿革を教えてください。

 私の曽祖父にあたる境熊吉が、1907年に福岡県大川市にて家具の木工所を設立したのがはじまりです。大川市は昔から海運業が盛んで多くの船大工がいましたが、創業時は人口増加に伴って家具づくりが増えた頃でした。その後、2代目の福次が大川家具工業会の開設と発展に尽力し、弊社をはじめとした大川市の家具が、福岡県から東京都をはじめとした全国へ展開するようになりました。当時の大川市には、材料屋さんやパーツ屋さんが多くあり、自然と分業体制ができあがっていたのは、当時家具を作る上で大きな強みでした。

―社長として受け継がれた経緯は?

 もともとは、地元福岡県の高校から早稲田大学を卒業して兼松江商株式会社(現・兼松株式会社)に入社し、商社マンとして5年ほど働いていました。私は4人兄弟の次男なので、当初は兄が継ぐはずでしたが、帰郷のタイミングが合った私が引き継ぐことになりました。1993年に社長を引き継いだので、ちょうど30年前ほどの頃です。

私が家業に入った頃の家具業界は、婚礼セットなどの箱物家具の需要がだんだんと縮小し、国内生産から海外生産へと流れが少しずつ出てきた頃でした。他社に先駆けて、弊社が海外とのつながりを増やしていくことができたのは、商社で働いた経験をフルに活かすことができたからです。こうして、海外に製造を委託して大量生産したり、海外の家具を輸入したりして、事業を拡大していきました。

しかしその一方で、社長として、自社の工場を活かしつづけたいという思いもありました。海外とのつながりを保ちながら、国内のものづくりを続けていくためのバランスは、今もずっと模索しています。

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職人による代々伝わるものづくりの技術。

―今回ご紹介する「PRIMO」シリーズについて教えてください。

 「PRIMOシリーズ」は村澤一晃氏がデザインを手がけ、一緒に作りました。「かわいらしく、家にあったら暮らしがちょっと便利になるものが作りたい」と思ったのがきっかけです。木材には、日本では古くから着物を収納するたんすの材料として使われている、桐材を使用しています。

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PRIMOのステップスツールは、子供でも扱いやすいのが特徴です。

PRIMOのステップスツールは、重さが1.5kgと2Lペットボトルより軽いので、誰でも年齢を問わず、持ち運びやすいのが特徴です。踏み台としてお使いいただくだけでなく、小さなお子さまのミニデスクコーナーにしたり、小物などを飾ってインテリアにしたりする方もいます。

ステップスツールの他にも、PRIMOシリーズには2種類のラインナップがあります。
1つ目はスタッキングスツールで、重ねておけるため空間のスペースをとりません。また、引き出しがついているので、ミニテーブルやドレッサーとしても使えます。2つ目のスタンドスツールは3種類の中でもっとも座面が高く、キッチンやカウンターチェアとしてもお使いいただけます。

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3種類のラインナップで、使う場所や用途に合わせて自由に選べます。

桐材は、軽くてつるんと肌触りが良い反面、やわらかく塗装が難しいという特性があります。そのため、家具の表面材にはほとんど使われません。しかし、私たちには着物たんす製造で長年桐材を扱ってきたので、加工や塗装の技術を持つ強みがありました。完成するまでには時間がかかりましたが、長年の技術を活かして、何とか形にしたいと思い、作り上げました。

また、PRIMOシリーズは「コーナーロッキング加工」と呼ばれる工法を使い、釘を使わずに板同士をかみ合わせて組み立てています。高級引き出しで使われる技術で、頑丈なのが特徴です。また、9色のカラーバリエーションからお選びいただけるので、部屋のトーンに馴染ませてもいいですし、アクセントにしていただくこともできます。

―PRIMOシリーズは若いファミリー層向けですか?

 もちろん小さなお子さまがいる家庭でも使ってもらいたいですが、どちらかと言うと年齢や用途を絞らず、好みや生活空間に合わせていろんな使い方をしてもらえたらと思っています。使う人の想像力に任せて、楽しんでもらえたら嬉しいです。

―2つ目の商品「吉野民芸」についても教えてください。

 吉野民芸は、桐無垢材と長年の職人技術で作り上げた、クラシックな家具シリーズです。

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伝統的な家具の形と現代の住空間にマッチするデザインを意識した吉野民芸。

表面には、古くから日本で大事とされてきたけやきの突板(つきいた)を使い、木目を活かしながら丁寧に塗装して、一面が美しくつながっているように仕上げました。自然のままの木目色だと、色にバラつきが出てしまうためです。職人たちによる昔ながらの工法で、耐久性や強度を高めており、100年使える家具をコンセプトに作られています。また、写真はベーシックなタイプですが、他のラインナップでは、隠し引き出しやからくりといった、舟箪笥の伝統技法を取り入れたもの、銀古美(ぎんふるび)の金具や、朱色などの日本の伝統色を取り入れたものも作っています。

―佇まいが美しいですね。室内でも存在感を放ちそうです。

 手間をかけて作っていますが、お客様には肩肘張らず、室内にぽんと置いて使ってほしいです。日本の伝統的なものづくりが、生活空間に溶け込んでくれたら嬉しいです。

―今後はどのようなものづくりの形を目指していますか?

 かつてのように、たくさん作って儲けるのではなく、一人ひとりに喜んでいただくために、自社工場の職人たちによる、少量多品種のものづくりを目指しています。自分たちの思いだけで作っても、届かなければ意味がないからです。これまでに築き上げたやり方は大切にしていますが、時代の変化や境木工家具を喜んでくださる方に向けて、柔軟にアレンジしていくことも必要です。使ってくださる方一人ひとりが満足してくださり、私たちも作っていて楽しいと思えるものづくりにしていきたいと思っています。

また、日本だけでなく海外の方にも使っていただきたいです。海外との貿易を通して、日本の良さを広めたいと強く思うようになりました。また、これまで世界中の家具を見てきましたが、日本の家具が一番良いと感じています。海外の方が室内に置いておきたいと思えるような、日本らしい家具を作りたいです。そのためには、地元だけでなく、都心部など人の目に触れる機会を増やしたいですし、飛行機で持ち帰れるようなコンパクトな家具にも挑戦したいです。

―本日は貴重なお話をありがとうございました!

「PRIMO ステップスツール」

「PRIMO ステップスツール」
価格:¥22,700(税込)
URL:https://sakaimokko.jp/own-factory-products/primo

「吉野民芸 25整理タンス」

「吉野民芸 25整理タンス」
価格:¥218,900(税込)
URL:https://sakaimokko.jp/yoshino-mingei

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
境明展(有限会社境木工 代表)

1964年福岡県生まれ。早稲田大学卒業後兼松江商(当時)に入社し5年の勤務ののち有限会社境木工へ入社。

<文/みつはしさなこ MC/白水斗馬 画像協力/境木工>

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