今回、編集長アッキーこと坂口明子が注目したのは、手元に優雅なバラが咲くエレガントなL字長財布。宮廷画家ピエール＝ジョゼフ・ルドゥーテの名画をもとに、こだわりの型を使って作られたお財布は、バラの花びら1枚1枚が浮き出ているような美しさ。手に持つたびに笑顔が咲く、とっておきの商品誕生秘話をうかがうため、株式会社インクウインク 代表取締役社長の富田進氏をたずねました。

株式会社インクウインク 代表取締役社長の富田進氏

―会社の設立についてお聞かせください。

富田　私は東京出身で、父と母も文房具を作る職人でした。子どもの頃からモノづくりは大好き。中でも巧妙なモノや絵画などに興味がありました。学校から帰ったら写生などにもよく出かけていたほど、絵を描くことが好き。就職時には学校の先生をしようかなと考えていたとき、偶然にも染色をしている着物メーカーを紹介していただき入社しました。

仕事をしていく中で、染屋さんや刺繍屋さんなど多くの職人さんと出会い、色彩やデザインなどを教わる日々。仕事自体に非常に魅力を感じ、いつの頃からか、自分の仕事にしたいと感じ独立するに至りました。

着物を扱うところからはじまり、もっと身近に女性らしくおしゃれを楽しめる婦人向けの服飾雑貨をデザイン・企画から製作など全て自社で行う、インクウインクを設立しました。

―御社の強みを教えてください。

富田　着物で培ってきたモノづくりのノウハウをベースにした創作力。オリジナルのデザインは強みだと思います。ゼロから出発するモノづくりをしているところは、決して多くありません。とても大変なことですが、それでも弊社はすべて社内で創作し制作をしています。その上で、素材や色にこだわること。そして、ブレないモノづくりを続けること。あれが売れているからと飛びつくのではなく、一流のものを吟味し、わが社のスタイルを作る。それは社内でも大事にしていることです。

宮廷画家ルドゥーテの名画がお財布に。美しいバラの花と色彩は華やかで、
自分へのご褒美やプレゼントにもピッタリです。

―その思いの中で誕生したのが「ルドゥーテL字長財布」ですね。

富田　「ルドゥーテL字長財布」を含めたルドゥーテコレクションは、宮廷画家“ルドゥーテ”との出会いが大きかった。展示会に行ったときに、偶然ルドゥーテの原画をたくさん持っていた方がいらして。当初は、服飾雑貨などを譲っていただいて取り扱っていたのですが、オリジナル商品を作らせてほしいと交渉しました。原画を崩さず、いかにルドゥーテの彩色や細密性の高い世界観を伝えられるか。デザイン、配色やレイアウトにこだわり続けて完成したのが「ルドゥーテL字長財布」です。

―一番力をいれた部分は？

富田　彩色です。ルドゥーテの絵画はバラが中心になっている作品が多いのですが、よく見ると花びらが多く、色の加減も絶妙です。ルドゥーテの絵画が持つ魅力の再現性は絶対になくしてはいけないと考え、色味は本当にこだわりました。それから立体感。革にプリントをするだけではなく、特別な金型で型押しを施しています。その手触りは感動する仕上がり。型押しの陰影ができることで、優雅さと美しさを表現しています。これを実現するのは、本当に大変でした。丹念に金型を削ることで、大きなバラはもちろん花びら1枚から、葉も全て立体感を感じる。苦労も多かったのですが、本物のバラのようにふっくらしています。ぜひ手に取っていただきたいお財布です。

こだわりの金型を用いて再現されたバラ。
ルドゥーテの描いたバラの中で最も有名で、
かのマリー・アントワネットも好んだといわれているそう。
チャックの引手にもさりげない蕾が。

―開発期間も教えてください。

富田　製品化まで、半年ほどかかりました。金型は立体感にこだわるため、微調整を繰り返し、ときには一から作り直すことも。そうして作った「ルドゥーテL字長財布」は、ぴったりと図柄に合った美しいものにでき上がりました。買い物など、ちょっとした場面で手に持ったときに喜んで使ってもらえるとうれしいです。エレガントなデザインなので、人前で出したときは目を引きますし、持っているとウキウキすると思います。ルドゥーテコレクションは、優雅さも感じられる商品。そうした雰囲気をライフスタイルに取り入れたいと感じたり、探しているお客様にマッチしますし、リピーターが多いのも特長になっています。

―お客様の声は？

富田　印象に残っているのは、お買い物をしてレジにいるときに、後ろにいた方から「素敵」と声をかけられたというお話です。その方はすごくうれしかったと言っていましたが、私もうれしく思いました。お客様のうれしい声を聞くと、モノづくりをしていて良かったなと感じます。

―改めてモノづくりの魅力は？

富田　お客様が喜んでいる姿をみると「面白い仕事だな」と。それは今も抱いている思いです。それから、イメージの具現化と言いますか。過去に、私自身が作ってきた中で音楽をイメージした着物がありました。「エーゲ海の真珠」という楽曲をモチーフにして、海の波などをろうけつ染めで表現。銀箔で描いた貝なども用いた着物っぽくない絵柄で、当時はテレビなどにも取り上げられました。着物から音楽が流れてくるようなイメージで、すごく印象に残っています。今も忘れられないほど。

ルドゥーテコレクションも同様に、そうしたモノづくりの心を抱いて作っています。先ほどもお伝えしましたが、「ルドゥーテL字長財布」は試行錯誤して作り上げた金型を使用。目で見る視覚と手で触る触覚を堪能できる商品なので、魅力も倍増します。ルドゥーテの世界観を大切にしながら、こだわり抜いて作っていますので、日常生活に取り入れて、毎日を楽しんでいただければうれしいです。

―今後のビジョンや展望も教えてください。

富田　ルドゥーテコレクションは、大事に育てていきたいです。ルドゥーテの絵画は、まだまだ原画もたくさんあり、大型のものあります。美術館や百貨店のギャラリーで扱われるようなものもあるので、コラボ商品などを作りたい。200年前の絵画を令和の時代に製品化することで付加価値や魅力が新たに生まれると思いますし、それをお客様が手にとって楽しんでもらうことが実現したら。とても素敵だなと考えています。

―貴重なお話をありがとうございました。

「ルドゥーテL字長財布 【ロサ・ケンティフォリア／ベージュ】」
価格：¥16,500（税込）
店名：ルドゥーテコレクションオンラインショップ
電話：03-3862-4116 （9:00～17:00 土日祝日は除く）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.redoutecollection.shop/shop/shopdetail.html?brandcode=000000000089&search=&sort=
オンラインショップ：https://www.redoutecollection.shop/

「ルドゥーテL字長財布 【ロサ・スルフレア／グリーン】」
価格：¥16,500（税込）
店名：ルドゥーテコレクションオンラインショップ
電話：03-3862-4116 （9:00～17:00 土日祝日は除く）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.redoutecollection.shop/shopdetail/000000000090/
オンラインショップ：https://www.redoutecollection.shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
富田進（株式会社インクウインク 代表取締役社長）

1951年東京都生まれ。1974年大学卒業後、同年4月に大手着物メーカーに入社。1981年に同社を退社後、1982年3月に有限会社絹館を創業し、6年後株式会社インクウインクを設立。染織加工を中心とした服飾雑貨を企画・製造・卸しをしている。

＜文／青柳舞子　MC／矢口優衣　画像協力／インクウインク＞