「オシャレは足元から」という言葉がありますが、奈良県には「健康を足元から」を真剣に考えた「健康サンダル」を生み出した老舗履物メーカーがあります。しかもデザインは日常使いしやすく、カジュアルファッションの一部として取り入れられるほど。
今回、編集長のアッキーが注目したのは、株式会社サカガワの健康サンダル「リフレクソロジーサンダル 天空-TenQoo-」と「room’settaTenQoo（ルーム雪駄天空）」の2つ。和の履物メーカーとして長い歴史を持つ、株式会社サカガワの代表取締役社長、阪川隆信氏に、取材陣が伺いました。

株式会社サカガワ 代表取締役社長の阪川隆信氏

―御社は、1957年創業ですが、そのきっかけは？

阪川　弊社は奈良県北葛城郡王寺町にある、通称「花緒町」という通りで、花緒や軽装履きの卸業者としてスタートしました。今回取り上げていただいた健康サンダルを取り扱うようになったのは、多くの人が和装から洋装に変化してからです。

サカガワは、1957年から花緒通りの端で、
町と共に成長してきた老舗メーカー。

当時は、かかとが無く簡単に履ける「ヘップサンダル」を中心に取り扱っていました。しかし時代が進むと、中国製のサンダルが多く輸入されるようになりました。その状況下においてサンダルで競合するのは得策ではなかったので、自社の強みを打ち出そうと、再度、花緒や軽装履きといった日本の履物に注力することにしました。これが約2008年頃のことです。

現在は、普段使いできる日本の履物を中心に取り扱っており、同時に国産素材にこだわった作り方をしています。例えば、奈良県の麻織物を使ったり、雪駄を染めるのに大和茶のほうじ茶、緑茶や、奈良墨を使ったりといった取り組みをしています。

―素材に奈良県の素材を積極的に使っているんですね。

阪川　奈良県にある地場産品を多く取り入れています。先ほどの麻織物やお茶類以外にも、印伝（いんでん）という鹿革漆皮を使ったりもしています。
ちなみに、地場産品は奈良県だけでなく、日本全国のものを「コラボ」という形で取り入れています。例としては、｛小地谷縮や阿波しじら織｝は花緒に、天板には｛武州正藍染、美濃和紙や岡山のデニム｝などの生地があります。

スポーツブランド「ミズノ」とコラボした商品も。
2022年のグッドデザイン賞、装身具・身に着けるもの部門を受賞している。

コラボが成功すれば相手企業に喜んでもらえますし、双方にWin-Winの関係が築けるのも嬉しいです。ひいては、日本商品の知名度アップにつなげたいという気持ちもあります。

―今回は、ご紹介する「リフレクソロジーサンダル 天空-TenQoo-」について教えてください。

阪川　まず「リフレクソロジーサンダル 天空-TenQoo-」ですが、こちらは約2012年頃前に発売した弊社のロングセラー商品です。
この商品の大きな特徴は、ツボ押しの突起が左右非対称に配置されているところにあります。この配置は「反射区」という、全身の器官や臓器に対応する配置をベースに設計されています。そもそも、人体の臓器は左右非対称なので、自然とイボの配置も左右非対称になるのです。

履き心地は体重をかけても痛くなく、
適度な刺激とクッション性が気持ち良い。

また、インソールを取り外して洗えるのも大きなポイントです。健康サンダルはイボとイボの間にゴミが貯まりやすいので、掃除しやすい構造にしました。素材も樹脂製なので、水洗いできますし、ブラシでこするだけでサッとゴミが取れます。
また、抗菌剤をインソールに練り込んでいるので、はだしで履く場合に心配な、雑菌の繁殖を抑えることもできます。

―「room’settaTenQoo」の特徴についてもお聞かせください。

阪川　room’settaTenQooは、リフレクソロジーサンダル 天空-TenQoo-のツボ押し機能をベースに、日本の伝統的な履物である「雪駄（せった）」を組み合わせた商品です。雪駄は和の履物ですが、洋装にも合うようなデザインに仕上げています。

足ツボの適度な刺激に加え、花緒で指が広がるのも気持ち良い。
履いて歩くとじんわりと足の裏から暖かくなってくる。

特に意識したのは、カジュアルスタイルに合わせやすいことです。現代の日本人は着物を着る機会が少ないので、ジーンズやTシャツなどに合わせやすいデザインにしました。この狙いが当たりまして、「気軽に履ける」と、多くの方にご愛用いただいています。

ちなみに、「ジーンズ・Tシャツに雪駄」という組み合わせは、ジョン・レノン氏がファッションとして取り入れていたことがあります。最近は若者が雪駄を履いている姿を見かけるので、少しずつ広まっているように感じます。なかには私たちも驚くような、オリジナリティのあるファッションに取り入れている方もいるほどです。

―これらの商品開発を始めたきっかけを教えてください。

阪川　両商品はいわゆる「健康サンダル」に区分されるものです。健康サンダルという商品は、約40年前から市場に存在していましたが、当時の健康サンダルはイボが硬い物が多く、足の裏が痛くなってしまうことがよくありました。

健康サンダルの改良が見込めるようになったのは近年のことです。弾力性のあるやわらかい素材が登場したことにより、より良い健康サンダルを作れる環境が整いました。そこで弊社が、改めて高品質な健康サンダルの開発を始めたわけです。

実際に履いていただくと分かると思いますが、リフレクソロジーサンダル 天空-TenQoo-とroom’settaTenQooのどちらも、足の裏が痛いような刺激はありません。じんわりと足の裏が暖かくなる程度の、心地よい刺激を感じるように調整してあります。

そもそも健康サンダルは、日常のなかで健康を考える発想の商品です。普段から「ながら履き」で健康に気を配れるように、そのきっかけとなればと考えました。

―使いやすいシーンやおすすめしたい人を教えてください。

阪川　足裏に適度な刺激があるので、事務仕事で座りっぱなしの方や、長時間の立ち仕事をする方におすすめです。

イボの配置のベースになっている「反射区」には、反射区を用いた「反射区療法」という医療法があります。反射区療法には、新陳代謝を高める効果や血液・リンパ液の循環をよくする効果、自律神経のバランスを高める効果があると言われていますので、ぜひ普段使いしていただきたいです。家で家事をするときに使うのもいいと思います。

普通のスリッパやサンダルの替わりに使えるので、シーンを限定することなく気軽に使える。

また、room’settaTenQooは花緒付きなので、「冬にはだしで使うのは寒そう」と思う方もいると思います。そんなときは、雪駄用の指が分かれている足袋ソックスを取り扱っていますので、合わせて使ってみてください。花緒に触れる場所が痛くなりにくいように、そこだけ生地を厚くしてあるので、肌への負担も減らせると思います。

―お客様からの声で嬉しかったものや印象に残っているものはありますか？

阪川　やはり、草履やビーチサンダルを履いたときにありがちな、「足が痛くなる悩み」が解消されたという声やカジュアルに履けて洋装に合うという声も嬉しいです。

最近ではプレゼントに贈られる方が増えていまして、プレゼントを受け取った方からの「色違いが欲しい」といった声や「ほかの方へもプレゼントしたい」といった声なども嬉しいです。リピートしたい、誰かにおすすめしたいと思ってもらえるのは、本当にありがたいことです。

熟練の雪駄職人が一つひとつ手作業で仕上げている。
「HAND MADE IN NARA」の名を冠するにふさわしい品質がある。

―サッカーチームの「奈良クラブ」や、バスケットチームの「奈良バンビシャス」も天空を使っていると伺いましたが。

阪川　はい。アスリートはリカバリーが大切なので、天空が役に立てばと思いプレゼントしています。なかには足のサイズが29cmや30cmと大きい方もいらっしゃるのですが、そういう場合は特注の草履を作ってプレゼントしています。

私たちと活躍のフィールドは違いますが、奈良を盛り上げるために頑張っていることに違いはありません。歴史の長い奈良をより誇れる存在にできるよう、手を取って頑張っていきたいと考えています。

―最後に、今後の会社としてのビジョンや展望を教えてください。

阪川　直近では、フランスを中心とした海外戦略にも取り組んでいます。弊社の商品をきっかけとして、日本の履物に興味を持ってもらえれば、関連の下請け業者さんや、職人さんに喜んでもらえると思いますし、さらには地場産業の活性化にもつながると考えています。

すでに日本製品は「メイドインジャパン」というブランドになっていますが、「履物」というジャンルにおいても、もっとすそ野を広げられるよう貢献していきたいです。

奈良市市街地にある「ならまち」の一角にはアンテナショップも。
日本文化を守りつつ、日本の履物が持つ可能性を広げるような発信をし続けている。

また、コラボはより一層活発に行っていきたいです。現在も、スポーツブランドのミズノさんとコラボ企画した商品の販売や、オリンピックメダリストを始めとしたアスリートに履いて頂いたこともあります。コラボをきっかけとして、いろいろな方に日本の履物を知っていただけたら嬉しいです。

―本日は、貴重なお話をありがとうございました。

「リフレクソロジーサンダル 天空-TenQoo-」
価格：¥4,290（税込）
サイズ：S（22.0～23.0cm）M（23.5～24.5cm）L（25.0～26.0cm）LL（26.5～27.5cm）
カラー：ホワイト／ライトグレー、ホワイト／ミルキーピンク、サクラ／パープル、ライトグレー／アクア、ブラック／グレー、ブラック／チェリー、ネイビー／オレンジ
店名：雪駄の大和工房
電話：0120-968-935（平日10:00～16:00）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://yamatokobo.jp/c/sandals/tenqoo
オンラインショップ：https://yamatokobo.jp/

「ルーム雪駄」
価格：¥8,690（税込）
サイズ：S（22.5cm～23cm）M（24.5cm～25cm）L（26.5cm～27cm）
カラー：花緒表合皮グレー、花緒表合皮ピンク
店名：雪駄の大和工房
電話：0120-968-935（平日10:00～16:00）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://yamatokobo.jp/c/room/h160
オンラインショップ：https://yamatokobo.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
阪川隆信（株式会社サカガワ 代表取締役社長）

1957年奈良県王寺町生まれ。王寺町育ち。大卒後大阪のアパレル会社に就職。1983年阪川商店（現(株)サカガワ）に入社。2008年同社代表取締役社長に就任。「フットウエアの新しい価値を創造する」を経営理念にしている。奈良クラブ（プロサッカーチーム）。奈良バンビシャス（プロバスケットチーム）を応援し、奈良の活性化にも注力している。

＜文／森田俊嗣　MC／木村彩織　画像協力／株式会社サカガワ＞