高度に精製されたガーゼと脱脂綿で作られた寝具です。夏は涼しく冬は暖かく眠ることができ、肌に優しく、睡眠の質が向上したとの口コミ多数。快適を謳う寝具が多いなか、この寝具が特に顧客満足度が非常に高い秘密を知りたい!今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった「パシーマ(R) キルトケット」を生産・販売する龍宮株式会社 代表取締役社長の梯恒三氏に、取材陣が伺いました。
良い眠りは良い寝具から。安全性と快適性が両立する「パシーマ(R)キルトケット」
2024/04/24
龍宮株式会社 代表取締役社長の梯恒三氏
―創業からの歩みをお聞かせください。
梯 1947年に父が「亀王製綿所」を創業。1955年に脱脂綿の製造を始め、1957年の「りゅうぐうわた株式会社」設立を経て1972年「龍宮株式会社」となり、現在に至ります。
業務内容としては、戦後衣料の欠乏時、残存中古機械を利用して、家庭のふとん綿から糸を作る方法を考案。紡織の一貫生産へと発展しました。その後は紡織業から医療用の脱脂綿・ガーゼ、不織布などの衛生材料生産へと転換。生理用ナプキンや紙オムツを商品化し、全国のメーカーヘ出荷していました。1973年末に主力工場が全焼。それ以降は衛生材料、不織布、綿を基本とした製品開発に絞るようになりました。
1992年に主力商品となる、脱脂綿とガーゼを使った洗える寝具「パシーマ(R)」を発売。この生地を使った商品開発を、寝具の域を超えて行いながら、皆様の健康と豊かな生活に貢献したいと精進しています。
―社長のご就任は?
梯 大学在学中に一度休学して会社に入りましたが、その後に復学。大学を卒業して再び入社しました。大学は機械関係で、入社後も主に機械の修理や増設業務が中心でしたが、もちろん、営業業務も経験し、2012年に社長を継ぎました。
創業者である父は、「自分でどんどんやる」というタイプ。現在の社是である
一、「誠意と努力」
二、「技術の向上」
三、「生産の奉仕」
は、共感するところが多く、そのまま引き継いでいます。特に3つめは、製造業として、作るという業務に付加価値をつけて社会の役に立ちたい、そんな姿勢は大切にしなければ、と思っています。
創業者より引き継いだ社是。
―「パシーマ(R)」は先代が開発されたのですね。
梯 父は幼いころから、脱脂綿を作っていた叔父の手伝いをしていて、脱脂綿がいかに良いかと聞かされ続けたようです。そんなにすばらしいのなら、脱脂綿で布団を作ったらいいんじゃないかという発想は持っていました。
衛生材料メーカーを経営する傍ら、60歳を超えて個人的には重度のアトピー性皮膚炎に悩まされていました。信頼できる病院に出合えず転々としたり、症状の波や強い薬の使用に悩んだり、絶望感でいっぱいになることもあったようです。そんなころ再び、脱脂綿を思い出したのです。当時自社で作っていたガーゼは医薬品で(現在、医療ガーゼは医療機器)、傷口に当てるなどして使っていましたよね。であれば、ガーゼや脱脂綿で布団を作って全身に当てておけば良いのではと考えたそうです。
簡単にいえば、ガーゼで脱脂綿を挟んだシンプルな3重構造の寝具。難しかったのは、衛生を保つ点でした。洗濯すると中身がよれてしまいますが、抗菌剤などの薬剤に頼るのではなく、家庭で洗濯をするというシンプルな方法にこだわり、10年ほど試行錯誤しました。
脱脂綿にポリプロピレンを15%だけ配合することで解決。肌に触れる表面は、医療用と同じ純度の綿100%高密度ガーゼを使用しています。商標を取って「パシーマ(R)」としてスタートしたのは1992年でした。
脱脂綿をガーゼで挟んだシンプルな3重構造。
―「パシーマ(R)」の意味は?
梯 パットとしてもシーツとしてもマットとしても使える、万能用途であることを名前にしました。肌掛けにもいいですよ。
冬は上から布団をかぶせて肌掛けとして。
―特長を教えてください。
梯 まず肌ざわりが良い。汗をよく吸う。軽い。夏は涼しく冬は暖かいので年中使える。洗濯が楽。安全性が高い。挙げるときりがありません(笑)。
―解説をお願いします!
梯 医療用と同じレベルの高性能ガーゼですから、吸水性は抜群です。寝ている間の汗を吸収しながらすぐに放出するので、サラサラな状態が保たれます。蛍光増迫剤や柔軟剤などの仕上げ剤は一切使っていませんので、安全性も保証。「赤ちゃんがかぶってもなめても安心」なんて言っています。
吸湿性がありながら発散性にも優れており、保温性は一般的な綿布団綿の約2倍と温かいのです。それでいて夏は、体が発する汗を表面に移動させることで蒸発を促し、体温を下げるので涼しく感じます。タオルケットなどのようなドレープ性(体へのフィット具合)は良くありませんが、夏は体に密着しないので涼しく感じられますし、冬は、上から毛布や布団をかけることでドレープ性が上がります。
軽く仕上げることにも配慮しましたね。四重ガーゼくらいの重さしかないんですよ。軽くて乾きが良いので、洗濯も楽だと思います。一般的な寝具と違う点として、洗うほどに肌ざわりが良くなるところもありますね。脱脂綿のなかでも、純度が高く繊維の長い物を使っていますから、毛羽立ちが少なくホコリが出づらい。逆に、部屋のホコリを吸着しますから、週に1回を目安に洗濯して洗い流すと部屋もきれいになります。
ガーゼの織り、製綿、精練・染色、裁断・縫製、
検品・検針まで、自社工場で一貫生産。
―週に1回ですか?
梯 洗うほどに肌ざわりが良くなる上に、洗った方が長もちします。週に1回以上洗うことをおすすめしています。以前にお客様から「洗ってないのに破れた」とご連絡をいただいたことがありますが、洗濯しない方が破れやすくなるんですよ。また、破れない合成繊維は、繊維の代わりに皮膚が傷むということなので、むしろ怖いと感じます。
約100回の洗濯に耐えうるという検査結果が出ています。寝具として使えなくなったら、バスマットや枕カバーなどにしてください。その後はぞうきんや洗車の拭き取り布にと、最後まで使い切っていただけたら嬉しいです。縫製がしっかりしているので、切っても中綿が飛び出てこないんですよ。
洗うほどにふんわりし、吸水性が良くなる。
―どんな使い方がおすすめですか?
梯 父がアトピー性皮膚炎に悩んで開発したものですから、肌が弱い方にはお試しいただきたいですね。赤ちゃんや高齢者に多くお使いいただいています。
実は、睡眠の質が良くなるという科学的データもあるんですよ。専門機関で調査してもらったところ、95%以上が「寝つきが良い」という結果になりました。睡眠は、直腸温度をうまく下げる(深部を冷やす)と寝つきがよくなると言われていますが、パシーマ(R)は体内の温度を効果的に放出できるようです。
今は赤ちゃん用に買われる方も多いですが、はじめは高齢者から広まったのです。寝つきが良くなった、眠りが深くなった、老人性搔痒症が軽減した、という方が多く、中には夜中のトイレの回数が減ったという声も。睡眠の質が良くなるということでしょうね。
―製品ラインナップをご紹介ください。
梯 掛敷兼用のキルトケットは、シングル、ダブルなど5サイズ3色。敷専用、中綿3層の5層構造のパットシーツは、4サイズ2色展開です。ベビー寝具、枕カバーやパジャマ、肩あてなどの寝具、マスクやスリッパなどの日用品もあります。日本の伝統色を取り入れた「パシーマJカラーシリーズ」も人気です。
デリケートな赤ちゃんにも安心の「ベビーシリーズ」、
日本の伝統色を使った「Jカラーシリーズ」、
パジャマなどの寝具と幅広い商品展開。
―今後の展望は?
梯 パシーマ(R)の一番のこだわりは、安全性と快適性に尽きます。安全面では、繊維製品の国際安全規格「エコテックス規格100」の最も厳しい「クラスI(乳幼児用製品)」をクリアしています。一度使うとその快適性から、リピーターになってくださるファンが多くいます。しかし、まだ普及率が低いと感じています。目標は、全日本人の1%。アレルギーや睡眠障害に悩む方にはぜひお試しいただきたいですし、安心の日本品質を海外にも届けたい。そのためには普及、周知の活動もしていきたいと思っています。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「パシーマキルトケット」(シングルきなり)
価格:¥9,350(税込)
店名:パシーマの店
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://pasima.com/archives/products/pasima
オンラインショップ:https://pasima.shop-pro.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
梯恒三(龍宮株式会社 代表取締役社長)
1956年福岡県生まれ。1980年龍宮株式会社に入社。2012年代表取締役社長に就任。「パシーマ(R) 」の生産、販売に力を入れている。著書に『一品勝負』(幻冬舎)がある。
<文・撮影/植松由紀子 MC/白水斗馬 画像協力/龍宮>