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伝統職人の技とアイデアが光る製本会社の「御朱印帳」と「御城印帳」

2024/05/10

神社仏閣でいただく御朱印や、国内各地のお城が発行している御城印の収集に欠かせないものといえば、専用の「御朱印帳」や「御城印帳」です。旅行先に携えたり、長く愛用したりするアイテムだからこそ、デザインや品質にこだわる人も少なくありません。

編集長アッキーが、おしゃれな御朱印帳や御城印帳を探していたときに出会ったのが、岡山県で製本事業を営む日宝(にっぽう)綜合製本株式会社の製品です。製本とは、紙を冊子の状態にするものづくりの仕事。華やかな1冊にどんな工夫やアイデアが詰まっているのか、日宝綜合製本株式会社、代表取締役社長の岩坪誠次郎氏にお話を伺いました。

日宝綜合製本株式会社 代表取締役社長 岩坪誠次郎氏
日宝綜合製本株式会社 代表取締役社長の岩坪誠次郎氏

―まずは日宝綜合製本について教えてください。

岩坪 ルーツは1951年に私の祖父が創業した山陽製本所です。そこで勤めていた私の父が独立し、1959年に岩坪製本有限会社を立ち上げました。その頃に福武書店(現在のベネッセコーポレーション)との出会いがあり、生徒手帳を作るようになったんです。1974年に4つの会社が合併し日宝綜合製本となってからも、ベネッセコーポレーション様の通信教育や学習ドリルといった事業に、製本という形で関わらせていただいています。

―ベネッセコーポレーション様の教材を製本されているのですね。

岩坪 ベネッセコーポレーション様は毎号、教科書ごとに内容が違う教材を制作しています。手で製本すればどんな特殊な本でも作れますが、コストとリードタイムが追いつきません。そこを機械でできるよう幾度も調整を重ねることで、技術力を鍛えていただきました。当社はただ受注するだけでなく、技術的な引き出しがあることで「こうしたほうがいいですよ」と提案ができるのが強みですね。

―今回ご紹介する御朱印帳の事業について教えてください。

岩坪 私が代表に就任した2015年頃に「新しいこともやっていこう」ということでスタートしました。御朱印帳は墨で書くものですので、裏移りしないよう紙が2枚重ねになっていたり、紙を蛇腹に折りながらつないだりと特殊な作り方をしますが、元々製造できる技術はあったんです。BtoCの販売も、Amazonや楽天市場といったEコマースのプラットフォームを使えばできると考えました。現在は商品ラインナップを広げながら、お客様に見つけてもらうためにブログも更新しています。

―御朱印帳はどんなふうに作られているのですか。

岩坪 表紙も中身も、ほとんど職人が手で作ります。慣れていない人が作ると全体的に歪んでしまい、きれいに作れないんです。とても一朝一夕にできるものではありません。

―熟練の技術が活かされているのですね。今回ご紹介するレースの御朱印帳は、どのような経緯で誕生したのでしょうか。

岩坪 レースの御朱印帳は、岡山レース株式会社という県内の企業とコラボレーションして開発した商品です。元々は岡山レース様が、レースを活用した商品のラインナップを増やすために御朱印帳を作れる会社を探していたときに、当社を見つけていただきました。これまでは岡山レース様から依頼を受けて制作していた形ですが、今回の龍のデザインに関しては、私どものほうから「迫力のあるものを」とお願いして作っていただきました。

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金糸を使った繊細な表現が美しいレースの御朱印帳。

―レース生地ならではの難しい点などはあるのでしょうか。

岩坪 布は紙よりも歪みが発生しやすいので、表紙に使うレース生地を台紙に貼り付けるときに歪みを出さないことに苦労しました。柄が歪んでしまうと商品になりませんから。試行錯誤を重ねたおかげで、歪みを出さずに作れる技術を確立できたと思います。岡山レースさんにも、できるだけ歪みにくいデザインを作っていただくようお願いし、協力していただいています。

―御朱印帳へのこだわりについても教えてください。

岩坪 御朱印は墨で書くものですので、本文の紙の吸い込みがよすぎてもダメ、かといってにじんでもダメなんですね。そこで御朱印帳専用の奉書紙を漉いてもらっています。表紙に関しては、ご要望に合わせてオリジナルで作ることも可能です。たとえば「神社オリジナルの御朱印帳を少部数で制作したい」というご要望にも、コストを抑えつつ見栄えのいいものができるよう、さまざまな提案をさせていただいています。当社のECサイトに掲載している商品のほかにも、各地の神社仏閣が頒布しているオリジナルの御朱印帳を数多く手がけています。

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墨の黒が映える御朱印帳専用の用紙。

―差し込み式の御朱印帳についてもおうかがいします。こういったスタイルの御朱印帳は初めて見ました。

岩坪 製本で使うトムソン加工(型抜き加工)の技術を応用した製品で、おそらく他社では扱っていないと思います。御朱印は通常、御朱印帳に直接書いてもらうものですが、コロナ禍で紙に書き置きした御朱印を渡す神社仏閣が増えました。従来の御朱印帳ですと、いちいち貼らなくてはいけません。そこで当社では、紙でいただいた御朱印をそのまま差し込めるタイプの御朱印帳を開発し、販売しています。中の紙を黒にしたのは、より映えるかなという理由ですね。

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紙でいただいた御朱印や御城印をそのまま差し込める差し込み式。

―製本の技術が活用されている製品なのですね。黒ですと高級感がありますし、飾っても素敵です。

岩坪 少しずつ認知していただいています。差し込み式は、お城でいただく御城印と相性がいいんですよ。御城印はほぼ書き置きなので。

―家紋がデザインされた差し込み式の表紙は箔押し加工ですか。

岩坪 はい、そうです。御城印帳として活用していただくことを想定し、箔押し加工で戦国武将の家紋をメインにあしらいました。ただ、表紙に「御城印帳」と入っているわけではないので、御朱印帳としてもお使いいただけます。中身は表裏合わせて42枚入ります。本当は47都道府県のお城が入るようにしたかったのですが、厚くなりすぎてしまうので断念しました。

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武将の家紋が表紙にあしらわれている差し込み式は御城印集めにぴったり。

―最後に、今後の展望について教えてください。

岩坪 少子化やデジタル化の影響で、製本の業界としては厳しいといわざるを得ません。とはいえ、本やノート、ダイアリー、カレンダーなど、我々の生活にはたくさんの冊子があります。どれだけ世の中がデジタルになろうとも、実際に手に取れるもの、誰かに差し上げて喜んでもらえるものを供給し続けることが当社の役割です。その一方で、製本以外の事業も展開しています。2022年からはおせち料理を入れる紙製の重箱を作り始めました。これまでに培った技術を活かした製品で、高級感のある仕上がりになっています。今後も製本の技術で地域の皆さんに喜んでもらえる会社、世の中の役に立つ会社でありたいと思っています。

―ありがとうございました。

「御朱印帳 金龍柄」(縦180mm×横120mm)

「御朱印帳 金龍柄」(縦180mm×横120mm)
価格:¥2,860(税込、送料込)
店名:日宝綜合製本の御朱印帳
電話:086-275-7863(9:00~17:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/nippoh-bb/compass1701157452/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/nippoh-bb/

「御城印帳 市松家紋柄」(縦180mm×横134mm)

「御城印帳 市松家紋柄」(縦180mm×横134mm)
価格:¥2,640(税込、送料込)
店名:日宝綜合製本の御朱印帳
電話:086-275-7863(9:00~17:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/nippoh-bb/10000184/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/nippoh-bb/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
岩坪誠次郎(日宝綜合製本株式会社 代表取締役社長)

1963年岡山市生まれ。1986年早稲田大学卒業後、兼松江商株式会社に入社し、14年半の商社勤務を経て、1999年36歳で日宝綜合製本株式会社入社。2015年に同社代表取締役社長就任。物流事業の株式会社ジップ等3社のグループ会社の代表も勤める。製本技術を活かした自社製作の御朱印帳・御城印帳の拡販に力を入れている。

<文/坂見亜文子 MC/石井みなみ 画像協力/日宝綜合製本>

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