今回アッキーこと坂口明子編集長が気になったのは、珍しい形状のピーラー「smoopy（スムーピー）」。抜群の切れ味と、使い勝手のよさが話題になり、皮むきがラクになると人気が広まっています。商品誕生秘話や、モノづくりへのこだわりについて、株式会社シゲル工業 代表取締役の藤田正健氏に取材陣が伺いました。

株式会社シゲル工業 代表取締役の藤田正健氏

―会社の沿革を教えてください。

藤田　1976年に父が株式会社シゲル工業を設立しました。農家を営む家庭で7人兄弟の6番目として生まれ、幼少期からモノづくりや機械に興味があったようです。地元の鉄工所に勤めて金型作りや焼き入れ、熱処理を覚え、兄弟で包丁を製造する会社を創業。その後、独立してフードプロセッサーやミキサーなど、調理器具の刃をOEM生産する事業を始めました。

シゲル工業の理美容ハサミは、国内生産数トップを誇る実績をもつ。

藤田　理美容ハサミの製造を始めたのは、親戚の美容師から「シゲルさんの技術を活かして、美容ハサミを作ってみたら」と言われたことがきっかけです。そこで構造や素材を研究し、オリジナルの理美容ハサミを開発しました。プロ向けの製品からはじまり、近年では『SHIGERU（シゲル）』ブランドとして、一般家庭用のカットハサミや、すきバサミ、おろし金など、さまざまな商品を展開しています。

―社長就任までの経緯をお聞かせください。

藤田　創業当時は実家の隣に工場があり、父がモノづくりしていたことをよく覚えています。私は妹と二人兄妹ですので、会社を継ぐなら自分かなと、心のどこかで思っていました。高校卒業後、東京の専門学校に通って情報処理を学んだのですが、卒業後は就職せず、海外へ行ったり、大阪の工場で働いたりといろいろな経験をさせてもらいました。

さまざま刃物作りの経験から生まれた、
革新的なピーラー「smoopy（スムーピー）」

藤田　地元に戻り、シゲル工業に入社したのは24歳の頃で、機械の加工プログラム作成や操作など、少しずつ仕事を覚えていきました。もともとモノづくりに興味があったので、できることが増えるとやりがいを感じましたね。ただ、自分ひとりでは成り立たない仕事ですので、現場の先輩たちとコミュニケーションをとりながら、幅広い業務に携わりました。13～14年くらい経験を積み、2006年に代表取締役に就任しました。

―今回紹介するピーラー「smoopy（スムーピー）」が生まれたきっかけは？

藤田　弊社はこれまで、大手メーカーのOEM生産を中心に事業をしてきました。いろいろな商品の刃を製造してきましたが、とくにピーラーの刃は45年以上作り続けています。このノウハウを活かして、使い勝手がよく皮むきが簡単にできるピーラーを作りたいと思いました。

皮が薄くむけるので、ニンジンの表面がツヤツヤに。

藤田　ピーラー自体は、さまざまな商品が既に販売されていますので、当然、他社と差別化できる何かがないと売れません。もちろん、取引先のお客様と似たような商品を作るわけにもいかない。そこでピーラーの構造を一から見直し、SHIGERUブランドのおろし金を開発する際にもお力添えをいただいた、プロダクトデザイナーさんと相談しながら、これまでにない新しい商品を開発しました。

―「smoopy（スムーピー）」の特徴を教えてください。

藤田　むいた皮が食材に残ったり、手に乗ったりしないため、途中で手を止めることなく皮をむくことができます。刃のガイド部分を斜めにカーブさせているので、むいた皮が自然に斜め横に集まり、カーブした刃が食材にフィットしやすいのも特徴です。食材に接する面積を増やすことで、なるべく薄く皮をむき、可食部を削りすぎないように工夫しています。刃の鋼材にはハイグレードな素材をつかい、切れ味や耐久性を高めました。毎日使う道具だからこそ、素材にも構造にもこだわりました。

機能美が際立つカーブ状の刃。
食材にフィットし、無駄に削ることがない。

藤田　このピーラーは製造・加工から組み立てまで、ほとんどの工程を自社で行っています。素材はもちろん日本製。メイドインジャパン製品のよさを実感していただける商品に仕上がったかと思います。

―刃を交換できるようにした理由は？

藤田　できるだけ長くお使いいただきたいという想いからです。「smoopy（スムーピー）」は、他のピーラーよりも少し高めの価格設定ですので、本体ごと買い替える必要がない商品を作ろうと思いました。切れ味が悪くなったら、別売りの刃と交換が可能です。他のピーラーよりもかなり丈夫で長持ちしますので、安価なピーラーを何度も買い替えるよりは、長く愛用できてお得感があるかと思います。

マイナスドライバーがあれば、簡単に刃の交換が可能。
目安は2～3年くらい使用して、切れ味が落ちたかなと感じたときに。

―お客様からの反響は？

藤田　ありがたいことに、うれしいお声をたくさん頂戴しております。「力を入れなくてもスーッと皮がむける」「野菜の表面がツルツルで食材が無駄にならない」など。ほかにも「買ってみたらすごく便利だったので、親にプレゼントした」というお客様も。やはり実際にお使いいただくと、ほかのピーラーとの違いを感じていただけるようです。

野菜だけでなく、フルーツの皮むきにも。

―どのような方におすすめですか？

藤田　ピーラーの切れ味に満足していない方に、お試しいただきたいです。包丁でやったほうが早いとか、ピーラーはどれを使っても同じだと感じている方も多いかもしれません。毎日キッチンで使う道具だからこそ便利なアイテムを手に入れ、少しでも家事の負担を減らしていただくことができればうれしく思います。

ごぼうのささがきも簡単。料理の下ごしらえがラクになりそう。

サイドには、じゃがいもの芽を取り除くのに便利なギザギザの突起が付いている。

―今後の展望をお聞かせください。

藤田　自社のオリジナルブランド『SHIGERU』の商品開発に力を入れていきます。社訓の一つ「価値ある製品を世に出そう」を念頭に置き、これからも「心に響く道具」を作り続けてまいります。また、国内でのブランド認知度を高め、近い将来、海外にも弊社の商品を展開していければと考えております。新潟県燕三条には長年の伝統を受け継ぐ素晴らしい企業が多くありますので、地域全体でモノづくりを盛り上げていければうれしく思います。

―貴重なお話をありがとうございました！

ピーラー「smoopy（スムーピー）」
価格：¥3,960（税込）
店名：シゲル工業公式オンラインストア
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://sgrk-shop.com/?pid=172519332
オンラインショップ：https://sgrk-shop.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
藤田正健（株式会社シゲル工業 代表取締役）

新潟県燕市生まれ。高校卒業後、東京の専門学校で情報処理を専攻。卒業後はロンドンで約1年半の海外生活を経て帰国。大手電機メーカーの大阪工場で家電製品の製造や、組み立てを経験したのち地元燕市へ戻り、株式会社シゲル工業に入社。2006年同社代表取締役に就任。

＜文／香川けいこ　MC／伊藤マヤ　画像協力／シゲル工業＞