今回アッキーこと坂口明子編集長が気になったのは、アウトドアグッズで注目の「サウナハット」と「着火剤」。自然素材のファブリック製品やアウトドア用品を展開するブランド「KOSMU(コスム)」を提案し、廃棄素材を活用したサステナブルなモノづくりに取り組む株式会社Prossimo 代表取締役の加納諭氏に取材陣が伺いました。
廃棄素材に価値を与えるモノづくり。「Mikado(ミカド)着るサウナハット」と「アップサイクルな着火剤 つつみ」
2024/06/14
株式会社Prossimo 代表取締役の加納諭氏
―KOSMUブランド設立までの経緯を教えてください。
加納 株式会社Prossimoの設立は2007年で、主に商品企画や使い心地のいいデザインアイテムを提案する事業を展開していました。2017年には、イギリス大手のファブリックブランド「MOBUS(モブス)」と独占販売契約を結び、国内外のホテルや家具メーカーに生地を販売する事業が始まりました。留学中にさまざまな経験をしたおかげで、海外マーケットの拡大につながったのだと思います。同年に自社ブランドKOSMU(コスム)を立ち上げ、カーテンやベッドリネン、アウトドア用品を中心に扱っています。
―ブランド名「KOSMU(コスム)」の由来は?
加納 KOSMUは、ラテン語で“宇宙”という意味です。宇宙の法則をデザインやモノづくりに取り入れ、気持ちのいいモノに囲まれて生活を楽しんでほしいという想いが込められています。自然素材のファブリックにこだわり、心地よい暮らしのサポートができるような製品を販売しております。
―「Mikado(ミカド)着るサウナハット」が生まれたきっかけは?
加納 自社ブランドの商品を開発したいという想いから生まれた商品です。コロナ禍で海外に行けず、メイン事業も中断してしまい、何かできないかと考えていたときに「スカイスパYokohama」の社長を紹介していただき、サウナと出会いました。もともとサウナは苦手でしたが、神奈川県の三浦海岸でテントサウナを体験したらすごく気持ちがよかったのです。当時からサウナは流行りでしたし、心地よさを感じる点がKOSMUのコンセプトとも一致するため、サウナグッズの開発をはじめました。
天然コットン100%で肌ざわりがよく、やさしい感触に包まれるサウナハット。
―開発時のこだわりを教えてください。
加納 弊社のデザイナーが、生地の端切れをつないでサンプルを作ったのがベースとなっています。捨てるはずの素材を再利用すれば、無駄にならず環境にもやさしいというアイデアです。帽子のように被ったり、肩からかけたりと、汎用性の高いデザインにして、“3つの角(かど)”があることから「Mikado(みかど)」というネーミングにしました。留めているボタンをはずして広げれば、タオルとして使うことも可能です。また素材にもこだわり、天然コットン100%のワッフル生地を採用しました。肌ざわりがよく、肌や髪への刺激も少ないところが魅力で、日本製の素材にこだわり、職人の手によって一つずつ丁寧に縫製しています。
肩からかければ、ミニポンチョに。首のうしろや背中の紫外線対策にも。
フックに引っかけて干せるループ付き。
―どのような使い方がおすすめですか?
加納 最近のサウナでは、立ち昇った高温の水蒸気をタオルであおぐ“熱波”が流行しています。顔面に熱波を受けて、息苦しくなった経験がある方も多いのではないでしょうか。このサウナハットを深く被って顔面を覆うことで、顔にあたる熱波を軽減できます。ほかにも、外気浴中に目を瞑ってゆっくり休みたいときにも便利です。サウナハットですっぽり顔を隠せば、人目を気にせずリラックスできるかと思います。
耳まで覆う形状により、まわりの視線が気にならずサウナに集中できる。
―次に、「アップサイクルな着火剤 つつみ」の特徴を教えてください。
加納 この着火剤は、廃棄されていたロウソク糸の切れ端をあつめて作りました。きっかけは、大学の先輩が静岡県で家具屋を経営しており、ロウソク屋さんを紹介してもらったことです。そこではロウソクの芯材をそのまま着火剤にして販売されていて、エコな取り組みにとても共感しました。弊社で扱うなら、KOSMUブランドに合う雰囲気にしようと開発を進め、商品化に至りました。
バリエーションは全6種。「八重桜」「紅葉」など、日本の美しい風景をイメージ。
―ほかの着火剤との違いは?
加納 一般的な着火剤の中には、独特のにおいが気になるものもありますが、「アップサイクルな着火剤 つつみ」は、ほぼ無臭です。ロウソクの芯糸の切れ端ですので、火が点きやすく、マッチ一本で簡単に着火できます。まるでロウソクの炎のような、やさしいゆらめきを楽しんでいただけるかと思います。
ロウソクの芯糸を紙で包み、麻製の紐で結ぶ。これらをすべて手作業で行っている。
―廃棄素材を活用する発想はどこから?
加納 生地工場では、裁断したときに余った両端のフリンジ部分(生地耳)や端切れは廃棄されます。これらの廃棄素材をポーチやリースにアップサイクルする取り組みを知って、ロウソクでも何かできるのではと思いました。再利用できれば廃棄物が減り、環境保護にもつながります。モノづくりには廃棄物がつきものですので、コスト面でのメリットも大きいでしょう。なるべく無駄を減らして、地球環境にやさしい商品づくりをしたいと常に考えています。
燃焼時間は1個で約3分。キャンプ好きな人へのプレゼントにも。
―最後に、今後の展望をお聞かせください。
加納 より便利に生活できるような商品を提供していきたいと考えています。例えば海外でよく見かける、電動ブラインドやロールスクリーンなどです。決まった時間に自動で開閉したり、声に反応して動いたりする商品の開発を進めているところです。また、カーテンや家具を自由に配置して、インテリア空間を視覚的にイメージできる「Room Palette(ルームパレット)」というソフトの開発にも力を入れています。部屋にカーテンを付けるとき、小さな生地サンプルだけでは仕上がりがイメージしにくいでしょう。ところがこのソフトを使えば、お部屋のインテリアの完成イメージがわかりやすくなります。これらの技術を活かして、お客様に寄り添った商品やサービスを提供し、心地よい暮らしをサポートしていければうれしく思います。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「Mikado(ミカド)着るサウナハット_スモークブルー」
サイズ(開いた状態):L(幅86×高さ29cm)・M(幅76×高さ26cm)
価格:¥5,390(税込)
店名:リネン・自然素材のファブリックインテリア専門ショップ・コスム
電話:03-6277-2500(10:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kosmu.jp/product/mikado_hat_b/
オンラインショップ:https://www.kosmu.jp/
「Mikado(ミカド)着るサウナハット_生成りホワイト」
サイズ(開いた状態):L(幅86×高さ29cm)・M(幅76×高さ26cm)
価格:¥4,950(税込)
店名:リネン・自然素材のファブリックインテリア専門ショップ・コスム
電話:03-6277-2500(10:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kosmu.jp/product/mikado_hat_w/
オンラインショップ:https://www.kosmu.jp/
「アップサイクルな着火剤 つつみ」
カラー(全6種):八重桜・紅葉・新緑・墨・碧海・紫陽花
内容量:5個(1つのパッケージに5個入り)
価格:¥550(税込)
店名:リネン・自然素材のファブリックインテリア専門ショップ・コスム
電話:03-6277-2500(10:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kosmu.jp/product/igniter-tsutsumi/
オンラインショップ:https://www.kosmu.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
加納諭(株式会社Prossimo 代表取締役)
1965年東京生まれ。多摩美術大学建築学科を卒業後、渡米。カリフォルニア州の芸術大学「Art Center college of Design」に留学し環境デザインを専攻。卒業後、ロサンゼルスの「Naga Studio Architecture」にて建築プロジェクトに参画。帰国後はアーバンハウス都市建築研究所を経て、家業のカーテンソーイングサービスに入社し、カーテン製造工場の設立に携わる。現在は、株式会社Prossimoと株式会社コスムの代表取締役を務め、製造拠点となるグループ企業シーエスエス上海の代表(董事長)も兼任。インテリアファブリックや電動ブラインド、アウトドア製品の開発・販売に注力し、心地よいライフスタイルの提案を行っている。
<文/香川けいこ MC/菊地美咲 画像協力/Prossimo>