今回、編集長アッキーが気になったのは、ECサイトやふるさと納税で売り切れるほどの人気を誇る「出刃+柳刃 ステンレス 魚さばき包丁」。開発したのは「ものづくりの街」新潟県燕三条地域にて家庭用品の企画・販売事業をしている有限会社ナガオです。代表取締役の長尾哲宏氏と取締役常務の長尾隆史氏にお話を伺いました
売り切れも納得の使いやすさ!燕三条製「魚さばき包丁」「ディナーカトラリーセット」
2024/06/14
有限会社ナガオ 代表取締役の長尾哲宏氏と取締役常務の長尾隆史氏
―御社の沿革を教えてください。
長尾(哲) 私の父が1950年に創業しました。最初に扱っていたのは、洗面器や鍋などの家庭用品です。私が入社したのは20歳の時。その後父が急逝し、25歳の時に社長に就任しました。
その後、日本では雑貨店がたくさん誕生する時代を迎えます。弊社でも雑貨店チェーンとの取引が盛んになり、私が55歳ぐらいまでの20年間はその商売が中心となりました。
もともと燕市はスプーンや釘の製造で発展し、戦後はステンレス製品の拠点となった場所です。刃物も取り扱っており、機械で作るのが特徴です。一方、隣の三条市は大工道具や工具を生産してきた地で、ハンマーで叩いて造る打ち刃物の技術もあります。
ここ10年で、燕三条の職人技や刃物の切れ味が世界的に認められるようになりました。うちは工場を持たない、いわゆる産地商社です。燕三条の職人の手仕事にこだわりながら、変化する時代に合わせて商売を続けています。
―「出刃+柳刃 ステンレス 魚さばき包丁」とはどのような商品ですか?
長尾(哲) そもそも日本料理で魚をさばくとき、出刃と柳刃という2種類の包丁を使うのをご存じでしょうか。出刃包丁は、背から見ると刃が厚く、角度は鋭くて急に薄くなっています。このようになっているのは、硬い魚の頭を落としても、刃こぼれしないようにするためです。
一方で柳刃包丁は刺身を引くために使われます。よく「刺身を角が立つように切る」と言いますが、そうするには刃渡りが長く、刃が薄い柳刃包丁が欠かせません。つまり魚を扱うには、この2種類の包丁が重要なのです。それを1本でできないか、と考えて生まれたのが「魚さばき包丁」です。
包丁の刃には、刃が片側だけに付いている片刃と、刃先の左右両側に刃がついている両刃という種類があります。日本料理に使われる包丁は片刃が比較的多い傾向にあります。そのため「魚さばき包丁」も片刃です。
出刃包丁と柳刃包丁の「いいとこどり」で誕生した「魚さばき包丁」。
長尾(哲) 包丁の持ち手と刃の間の接合部分にもこだわりがあります。ここに付ける部品のことを「口金」と呼びますが、三徳包丁などには口金がついていない包丁があります。口金がなく、持ち手に直接刃を刺す作りになっていると、刃が抜けてしまうことがあります。そうなるととても扱いづらいため、「魚さばき包丁」は口金付きの仕様にしました。
魚さばき包丁」は、家庭用の三徳包丁と同様の持ち手に、出刃と柳刃を転用した刃を付けて片刃にし、抜けづらいように口金付きで仕上げた2in1の包丁です。今までこの機能を全面に打ち出して販売した方はいなかったようです。
開発したのは息子の隆史です。近くの魚屋さんに行ったり、魚を扱っているプロと打ち合わせをしたりして、製品仕様を決める試作を繰り返していました。
接合部分の「口金」や伝統的な片刃にもこだわった1本。
長尾(隆) クラウドファンディングで先行発売し、約1,100名のお客様にご購入いただきまして。今後、発売しても手ごたえがあるだろうと実感しました。
―包丁に刻まれている「燕三条」や「魚」の文字がロゴにはどのような思いが?
長尾(隆) ひとつは近年、日本で「燕三条」という言葉の認知度が高まってきたためです。インターネットの普及などに伴い、世代を超えて「燕三条=ものづくりの街」として知られるようになりました。だからこそ、燕三条産であることをアピールするために、ロゴマークとして入れることになったのです。
パッケージなどに大きく「燕三条」ということがわかるロゴが入っていると、人への贈り物にも喜ばれます。今後も掲載していきたいと思っています。「魚」のロゴはわりと瞬間的な思いつきで入れました。魚をさばくための包丁として、パッと見てわかるロゴを入れようと思ったのです。
―「魚さばき包丁」の反響はいかがでしょうか?
長尾(哲) 大きな反響をいただいています。今(※取材当時)、売り切れになっているほどです。日本中からご注文いただいております。
長尾(隆) もっともご注文いただいているのはECサイトのAmazonからですが、ふるさと納税でも人気です。販売ルート全体でおおよそ、大小サイズ各3,000本から5,000本ほど販売したのではないかと思います。まさかここまでご購入いただけるとは思っていませんでした。非常にありがたいです。
―次に、「燕三条 ディナーカトラリーセット」について教えてください。
長尾(隆) 「燕三条 ディナーカトラリーセット」は、15年ほど前から製造元の工場で販売されていた製品です。それを2016年頃、弊社から初めてECサイトで販売することになりました。
人気の理由は、ベーシックかつスタンダードを提示できる製品なうえ、コストパフォーマンスの高さにあると思っています。カトラリーセットの素材は18-0ステンレス。特別高級な素材を使用しているわけではありません。
この素材で適度な重量感を出しました。食事用スプーンの口に入れる部分の厚みは、一般的に2.5mmです。「燕三条 ディナーカトラリーセット」のスプーンの厚みは3.0mm。0.5mm厚くなっています。その分、重みがあり、持ったときに質感を感じていただけます。
スプーンとフォーク、ナイフが2セット入った「燕三条 ディナーカトラリーセット」。
ベーシックなデザインながら、美しい形で人気を集めている。
長尾(隆) カトラリーの口に入る部分や切る部分は、ピカピカのミラー仕上げですが、持ち手の部分はツヤ消しにしている点も特徴です。このようなデザインにした目的は、見た目の良さと併せて、実はコストダウンするためでもあります。全体をミラー仕上げにすると、どうしても工賃が高くなってしまうので。
ミラー仕上げとツヤ消しの継ぎ目はほとんどないので、デザインとしても評価していただけているのだろうと思います。
―御社の今後のビジョンをお聞かせください。
長尾(哲) 国内はもちろんですが、現在、私たちは中国、韓国、台湾、アメリカに商品を輸出しています。昔と比べて、貿易が格段にやりやすくなりました。そのため、どこまでできるかは未知数ですが、これからも世界中に輸出は伸ばしていきたいと思っています。
―貴重なお話をありがとうございました。
「出刃+柳刃 ステンレス 魚さばき包丁 大」(サイズ:全長300mm/刃渡 175mm/峰厚3.0mm)
価格:¥7,700(税込)
店名:キッチンラボ 楽天市場店((有)ナガオ直営店舗)
電話:090-3312-1943(平日9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/idea-happy-life/10008220/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/idea-happy-life/
「燕三条 ディナーカトラリーセット」(ディナーナイフ刃付/ディナースプーン/ディナーフォーク/ティースプーン/ケーキフォーク 各2本)
価格:¥2,570(税込)
店名:キッチンラボ 楽天市場店((有)ナガオ直営店舗)
電話:090-3312-1943(平日9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/idea-happy-life/10004258/?s-id=review_PC_il_item_03
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/idea-happy-life/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
長尾哲宏(有限会社ナガオ 代表取締役)
1953年新潟県燕市生まれ。1971年、創業者である父の会社に入社。1976年に有限会社ナガオとして法人化し、1978年に代表取締役に就任して以来、現在に至るまでその職を務める。
長尾隆史(有限会社ナガオ 取締役常務)
1985年新潟県燕市生まれ。2005年文化服装学院を卒業。アパレル販売業などを経て2008年に入社。2017年より現職。主に商品企画などを担当している。
<文/西村初音 MC/伊藤マヤ 画像協力/ナガオ>