今回、編集長のアッキーが注目したのは、無色透明な氷の中に閉じ込められたアートフラワー「氷華」。見る角度によってキラキラと輝き、ゆっくりと溶けていく様子も美しい「氷華」は、氷のアートギフトです。贈り物にもぴったりで驚かれること間違いなしの気になる製造秘話を株式会社小野田商店 代表取締役社長の小野田渉氏に取材スタッフが伺いました。
氷の中に咲く可憐な花。老舗製氷メーカーが生み出した氷のアートギフト「氷華」。
2024/06/14
株式会社小野田商店 代表取締役社長の小野田渉氏
―御社の沿革を教えてください。
小野田 小野田商店は、1924年に曽祖父が氷屋として創業しました。今年でちょうど100年。私が4代目です。おぼろげながら創業時などの話は伝わっていて、氷屋に奉公に出ていた曾祖父が独立して創業したと聞いています。
当時は、氷を買う・売るという形で商売をしていて、今から70~80年ほど前に製氷メーカーになりました。現代では想像しにくいと思いますが、冷蔵庫が登場したのはだいたい50年くらい前。それまでは、食べ物を保全するために氷が使われていて。その時代の氷屋がルーツにあります。その後、家電の登場や時代の流れで、氷を販売する先が飲食店などに変わっていきました。
かつての氷は生活必需品。
100年の歴史を持つ小野田商店は人々の生活に寄り添う氷屋さんからスタートしている。
―長い歴史の中で培った技術によって生まれたのが「小野田の超純氷®」です。
小野田 「小野田の超純氷®」は商標登録をしています。ブランドとして、きちんと定義をして使っていこうという意図から15年ほど前に登録をしました。もともと氷業界では、お水をろ過して水を磨き、ゆっくり時間をかけて凍らせたものを「純氷」と言っています。その純氷を超えるという意味で「小野田の超純氷®」と名付けました。
「小野田の超純氷®」は、原料となる水を攪拌しながら凍結させ、不純物が多い部分を特殊な処理をした純水と交換しながら完全に凍結させます。そのため、結氷までは60時間以上が必要。水そのものを冷やすのではなく、水が入ってる器を冷やして作っていくこともあって、凍らせるのに「時間がかかってしまう」という表現が適切かなと思います。無色透明で、美しい氷です。
不純物などは一切なく透き通っている「小野田の超純氷®」。
その技術を応用した「氷華」はいつまでも眺めていたくなる美しさと
儚さをもち合わせている。
―「小野田の超純氷®」の技術を応用して作っている商品が「氷華」です。
小野田 「氷華」は、これまでサービス品と言いますか、片手間で作っていたものでした。職人さんもいて、技術も残っている。でも利益はほとんど出ないため、風物詩的に作る感じです。ただ、展示会などに持って行くと、見た方の反応も良い。そうした側面もあって、入社したときから「いつか、これを売りたい」とも思っていて。
そんな背景の中で2020年、コロナ禍に突入しました。飲食店は休業。氷を卸す先がなくなったこともきっかけとなって、本格的に製造・販売を強化していくことになりました。
―「氷華」誕生のきっかけは?
小野田 「氷華」はアメリカ製の機械で作るのですが、この機械を譲り受けたことがきっかけです。それが平成の頭ぐらいだったと聞いています。
もともと氷の中に花などを入れる文化は明治時代より前からあったそうですし、クーラーなどがない時代は、氷で「涼を取る」使い方もしていたそうです。ただ、実際に作っても「売れないだろう」と、なかなか商品化までには至らず……。先程もお伝えしましたが、コロナ禍が販売のきっかけになりました。
「氷華」は、まず氷の状態にするスタッフが一人。中のアレンジを作るスタッフが一人という少数精鋭で作っています。アレンジに関しては、2年ほど前に入社したスタッフがセンスよく作ってくれることも大きかったです。
上から見ると万華鏡のよう。
横から見ると触れられそうな透明度を楽しめる「氷華」。
見る角度によって表情が変わるのも魅力的。
―「氷華」はどのくらい楽しめますか?
小野田 「氷華」は、冷凍状態でお届けしています。鑑賞用にセットいただき、氷が溶け切るまでは3~5時間ほど。もちろん環境によりますが、空気の動かない部屋などであれば12時間くらい持つこともあります。
造花で作ったアレンジメントフラワーが入っているので、氷が溶けた後は、そのまま飾っていただけたら。それを見たときに「そう言えば氷漬けだったよね」「結婚式で使ったよね」といったように、思い出に付加価値がついたらうれしいです。
氷が溶けた後もそのまま飾ることができるアートを内蔵。
―セットする際の注意点は?
小野田 保温性も高く、水漏れもしない発泡スチロールに入れてお送りしているので水漏れなどはないと思います。ただ、冷凍で到着する際に、どうしても「氷華」そのものは霜で真っ白な状態になってしまう。
驚くかもしれないのですが、20分ぐらい経つと霜も溶けて、透明になります。中まで白い状態ではないので、安心して飾ってください。注意書きも一緒にお送りしているので、目を通していただければと思います。
イベントや結婚式などが華やかになる「オリジナル氷華」。
世界に一つだけのアートに目が釘付けになりそう。
―どんなシーンで使用してほしいですか?
小野田 当初、用途として描いていたのは30~40代の女性が贈り物などに使っていただくことでした。自分が自分のために買うものではないかなと。でも、発売後に複数のメディアで扱っていただいたことで、本当に幅広い年齢層の方に購入いただく商品になっています。特に、50代以上の皆様に反響が大きく、結婚式の贈り物や自分用に購入される方もいらっしゃいました。
それから、最近の需要としては企業のイベントも増えています。「氷華」は透明度が高いため、中にQRコードを入れて氷越しに読むことができる。それを使ったPRをしたところ、普通に掲示するよりも訴求効果があったようです。それを聞いたときは、うれしく思いました。そんなふうに、人の目を惹きつけるような、引きの強さみたいなものが「氷華」にはあるのかなと感じます。
―最後に今後の展望をお願いします。
小野田 「氷華」は、透明度の高い氷で作った、唯一無二のアートギフト。中に入っているアレンジや見る角度によっていろいろな表情に変わります。その美しさを楽しんでいただけたらうれしいです。一般のお客様に向けては、誰かにプレゼントするときに「これを送りたい」と思ってもらえるような、贈答品としての価値を一層高めていきたい。
企業様向けとしては、商品発表のイベントで使用いただいたり、アーティストさんのMVに使われたりするシーンが増えてきました。オーダーメイドで中に入れるものを変えることもできるのも「氷華」の魅力です。そうした様々な利用ができることも含めて、多くの皆様に「氷華」を広めていくことに注力していきたいと思います。
―貴重なお話をありがとうございました。
「ブライダル氷華(プリンセスシューズ) ブルー」(約4kg)
サイズ:氷華サイズ/12.5×12.5×20cm、外箱サイズ/16.5×16.5×25.5cm
セット内容:氷華1台、専用外箱・台座付き
価格:¥11,000(税込)
店名:Onoda Hyouka Studio
電話:03-3971-5770(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://hyouka.base.shop/items/67347194
オンラインショップ:https://hyouka.base.shop/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
小野田渉(株式会社小野田商店 代表取締役社長)
1987年東京都生まれ。2012年学習院大学経済学部を卒業し、アミューズメント企業へ契約社員として入社。当時代表だった父・眞の大腸ガン発覚を機に、2013年4月株式会社小野田商店へ入社した。2020年6月、コロナ禍の中で代表取締役社長に就任。大打撃を受けた飲食業界に引きずられるように低迷した製氷業界を再興させるべく、「小野田の超純氷®」ブランドの立ち上げ、「氷華スタジオ開設」など、新しいチャレンジを続けている。
<文/青柳舞子 MC/三好彩子 画像協力/小野田商店>