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天然素材を旧型編み機で織りあげたオールシーズンのニット「ミスティ」

2024/06/18

今回編集長アッキーが注目したのは、天然繊維の風合いにこだわったメリノウールのニット。サラリとした着心地と、飽きのこないベーシックなデザインで、季節を問わず着られます。自然と調和した服、ライフスタイルの一つとしての服を作りたいと語る小西康夫社長に、ブランド立ち上げのきっかけや、環境保全への熱い思い、服作りのこだわりを聞きました。

有限会社ビービーエーアソシエーション 代表取締役 小西康夫氏
有限会社ビービーエーアソシエーション 代表取締役の小西康夫氏

―社長は北海道のご出身ですね。

小西 北海道で育ち、農業の移り変わりを見てきました。馬で畑を耕していた時代から、トラクターが入って農薬もたくさん使われるようになると、近くの水場にいた魚が死んでしまったことを覚えています。人間の産業のために自然を犠牲にすることに、疑問を感じました。この頃の問題意識をそのまま持ち続け、今に至っているような気がします。

―アパレル業界で経験を積んだのちに、自分の会社を設立されたきっかけは?

小西 長い間アパレル業界で働いて、前社では取締役も務めました。しかし、どうしても自然環境への思いが捨てられず、合繊や化学繊維が主体のアパレルではなく、天然繊維を生かしたブランドをやってみたいと思ったんです。「自分が本当に良いと思うものを作りたい」と50代で独立し、素材にとことんこだわった服づくりを続けてきました。

会社名はビービーエーアソシエイション。北海道といえば、クラーク博士の「ボーイズビーアンビシャス(少年よ大志を抱け)」が有名ですよね。その頭文字を取って、BBAとしました。BからAになるという意味も込めています。

―天然繊維へのこだわりを持ったブランドなんですね。

小西 FilMelange(フィルメランジェ)というブランド名は、「混ざった色の(Melange)糸(Fil)」つまり杢色の糸のこと。昔からTシャツやスウェットに使われてきたものです。
天然素材を使った気取らない服を作ろうという思いで名付けました。混ざってミックスされるイメージから、自然との調和も想起できたら良いなと思いました。

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生地も糸もオリジナルで製造している。

小西 このブランドでは、素材にオーガニックコットンなどを使用し、縫い糸も天然繊維100%で縫製しています。縫い糸を天然繊維にすると扱いづらくて結構大変なんです。それでも全てを天然繊維で作りたいという思いを貫いています。天然繊維は風合いが良く、着心地も抜群です。ソフトな糸を使いたいと思い、紡績の段階から関わって、良い生地になるように仕上げています。

―編み機にも思い入れが強いとお聞きしました。

小西 編み機も既製品を使わず、旧式の機械を手入れしながら使っています。実は古い編み機の方が、糸に余計な負担がかからず風合いの良い生地ができるんです。針の形状にまでこだわって作っているのですが、商品の見た目ではわからないかもしれません。それでも目に見えないこだわりが、服を上質なものにしてくれると信じています。

―今回紹介する、メリノウールニットの特徴を教えてください。

小西 ウールというと冬に着る物と思う方も多いようですが、メリノウールはオールシーズン着られる商品です。さらっとした質感で、放湿・吸湿効果があるので、インナーやアウトドア、ちょっとしたスポーツの時にも身につけてほしいです。そもそもウールには抗菌や防臭の機能があるんです。防寒着ではなく、日々の生活で使える機能的な服として、たくさん着てほしいです。

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細くしなやかな繊維で編まれた、最高ランクのメリノウール。

―ウールなのに季節を問わず着られるんですね。

小西 ウールが暖かいのは、繊維に空気を含む量が多いから。この量が少なくなれば、涼しい素材になります。メリノウールは非常に細い糸で編まれており、あまり空気を含まないので、春夏も着られるアイテムです。チクチクしないので、セーターが苦手な人にもおすすめしたいですし、生地を縫って防縮加工してあるので、クリーニングに出さずに家で手入れをしたい人にもぴったりです。水で手洗いすれば縮みません。

―こだわりの商品を作り続けるには、ご苦労もあるのでは?

小西 メリヤス編みの古い機械で編み上げているので、糸のテンションなどを手で調整しなければなりません。一筋縄には行かない作業もありますが、良いものを作るために妥協せず、作り上げています。

そもそも古い機械が減っているので、良いものを確保するのも大変です。機械を操作するのも簡単ではなく、経験や熟練が必要なので、職人を育てるのにも時間がかかります。機材の確保、メンテ、さらに人材採用や育成は大きな課題です。

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熟達した職人の育成には時間がかかる。

―今後どんな服づくりをしていきたいですか。

小西 服というのはファッション/流行という側面だけで語られるものではなく、ライフスタイルそのものだと思っています。流行って、実はあるようで無いんです。10年や20年のサイクルの中で、同じものが流行ることって多いと思いませんか。流行は螺旋階段のように、移り変わりながらも同じ場所に戻ってくるようなものだと思っています。だから、流行に左右されず、長く良いものを使いたい人に向けて、本当に必要な服を作っていきたいです。

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飽きのこない上質な服を作り続けたい。

小西 そのためには、ずっと飽きないものを提供しなければなりません。温故知新の精神で、“古くから変わらずに未来になっても良いもの”を追求したいです。そして長く使うことによってゴミを減らして、環境にも良い循環が作れるのではないかと思っています。

当社のTシャツやカットソーは決して安くありません。高い分長持ちするのか聞かれることもありますが、きちんと丁寧に扱ってメンテナンスすれば長く使えます。特に丈夫ということはないんです。でも、思い入れのある商品であれば大切に使うはずですし、大切に使えば長持ちするんです。そういう意味では、長持ちすると言っても良いかもしれません。

「自然と調和した良いものを、長く着てほしい」。この理念に共感してもらえるお客様に向けて、妥協のない服づくりを続けていきたいです。私は50代になって始めた自分のブランドに、大きな情熱を持っています。熱量のある仕事を続けて、その仕事に共感してくれる仲間、ブランドを愛してくれるお客様の輪を広げていきたいです。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「MISTY/ミスティ NEW ZEALAND MERINO WOOL TENJIKU」

「MISTY/ミスティ NEW ZEALAND MERINO WOOL TENJIKU」
価格:¥23,100(税込)
店名:FilMelange
電話:03-3473-8611
定休日:不定休
商品URL:https://filmelange.com/products/wo1002139-misty
オンラインショップ:https://filmelange.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
小西康夫(有限会社ビービーエーアソシエーション 代表取締役)

1945年、北海道広尾町生まれ。某アパレル企業に入社し、その後代表取締役に就任したのち、1995年50歳の時に同社を設立。商品企画、OEM会社として始動。2007年にオリジナルブランド「FilMelange」を立ち上げる。

<文・撮影/鈴木満優子 MC/石井みなみ 画像協力/ビービーエーアソシエーション>

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