今回、編集長アッキーが注目したのは、「カラーツイストグラス」。ガラス作家の作品を展示・販売する他、美術館の運営や地域文化の発信なども行っている長野県諏訪市の「SUWAガラスの里」で販売されている商品です。運営元である株式会社信州諏訪ガラスの里 会長の岩波尚宏氏に、施設での取り組みや地域文化への思いについて、取材陣が伺いました。
諏訪の地域文化に触れられる!ガラス作家のオリジナル商品「カラーツイストグラス」
2024/07/04
株式会社信州諏訪ガラスの里 会長の岩波尚宏氏
―信州諏訪ガラスの里に勤められた経緯は?
岩波 私は歴史ある下諏訪宿本陣岩波家に生まれたこともあり、代々守ってきたこの場所を伝承していきたいと小さな頃から考えていました。この土地を維持し伝承するためには、世の中のために本陣を活用し、経済を動かすような好循環が必要です。その循環に欠かせない人と文化、観光の仕組みを学ぼうと弊社に就職しました。
始めは「2〜3年勉強しよう」と考えていたのですが、3年目くらいのときに店長となり、気付けば15年ほど勤めていました。
―経営に携わるようになったのは?
岩波 入社して15年目に入った頃です。当時経営していた親会社が、経営方針を変えたことがきっかけでした。経営者になって、今年で12年目になります。
―経営者になってから、御社に変化はありましたか。
岩波 SUWAガラスの里の運営方針を変えています。今までは主に県外からいらっしゃる方々に目を向けて運営していたため、地元の人たちにはあまり来ていただけていませんでした。しかし、地域の人や文化を感じられるのは観光の醍醐味でもあるので、「地域の方にも来ていただき、この地域で生まれたものを世の中に発信していきたい」と考えて。そこから、人と文化をキーワードに運営を続けています。
諏訪地域のオリジナルブランド「SUWAプレミアム」。
多様な企業が、それぞれの強みを活かして商品を製造している。
―御社の特徴的な事業は?
岩波 まず、官民連携事業として始めた諏訪地域のブランド「SUWAプレミアム」があります。諏訪地域は、かつて時計・カメラ・オルゴールで世界的なシェアを取っていました。しかし、文明が進化するにつれて、これらの企業はテレビやパソコン、携帯電話などの部品を作る企業へと変わって。そのような中で、「技術を活かしてオリジナル商品を作ったけど、どこで販売したらいいのだろう」と悩んでいる企業も多くありました。そこで、「それぞれが持っている技術を出し合い、面白いものを作ろう」と、このブランドが誕生しました。現在は、55企業111アイテムほどあります。
国内最大級の工房作品が揃うセレクトショップ「SUWAガラスの里」。
―SUWAガラスの里にはガラス作家さんの作品も。
岩波 文化的な発信活動の一環として、作家さんの作品を多数取り扱っています。また、コロナ禍でしたが全国から50名ほどの作家さんにご参加いただき、「アーティストスクエア」という企画も実施して。ここでは、ガラス以外の素材を使った作品も並べていました。
―御社の美術館では、諏訪をテーマにした絵も飾っているとか。
岩波 「諏訪を描く展」と言って、諏訪をテーマに描いた絵を、美術館に10日間展示する企画をしています。学生から作家まで参加できるもので、地元の画廊と組んで10年続けてきました。10年を節目に区切りをつけたのですが、諏訪の魅力を発信することと、地元の芸術家を育てるという2つの役割を担っている企画でした。
SUWAガラスの里ではガラス工芸体験も可能。
―経営を続ける上で、困難はありましたか?
岩波 やはり、コロナ禍でしょうか。実は、弊社のような規模の大きなガラス館を運営していた専門店が、コロナ禍に店舗をたたむことになりました。近年はガラス製品に限らず、物を販売するだけでは商売が難しいです。もちろん、ものを売ることは大事なことなのですが、それだけでなく、ガラス工芸体験ができたり、文化に触れたりといろいろなことに取り組むことが大切だと思います。
弊社でいろいろな取り組みをしているからこそ、私も多様なジャンルの方と知り合うことができました。このつながりがあったから、コロナ禍も乗り越えられたのかなと考えています。
―今回ご紹介する「カラーツイストグラス」の特徴は?
岩波 ガラス作家が、宙吹き技法で作った作品です。この技法は、高温で熱したガラスを吹き竿に付け、息を吹き込んで形成していくものです。型を使って量産しないため、1点もののオリジナル商品になっています。
オンラインショップには他にもいろいろな作家さんの作品がありますので、ぜひお気に入りの商品を探してください。
ガラス作家が制作した「カラーツイストグラス」。透き通るような美しい色合いが特徴。
―最後に、今後の展望を教えてください。
岩波 これからも、人と文化、諏訪の魅力を発信していきたいと思います。コロナ禍によって世の中に大きな変化がありました。観光業界も、これから新しいスタイルを生み出していかなければなりません。諏訪ガラスの里でも新しい試みに挑戦し、皆様に新しい世界を見せられるように頑張りたいと思います。
長野市の中でも松本城やスキー場には海外からの観光客も多いですが、諏訪地域はまだまだ少ないのが現状です。来年にはスマートインターがSUWAガラスの里の近くにできる予定なので、アクセスが改善されることでより多くの方にお越しいただければいいなと考えています。
また、諏訪ガラスの里は「プロが選ぶ観光・食事施設100選」で10位以内を長年キープしています。プロ目線で見てもご評価いただいている施設なので、ぜひ一度お越しいただけるとうれしいです。
―貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
「カラーツイストグラス」(H110×W85×D85mm)
価格:¥8,250(税込)
店名:SUWAガラスの里オンラインストア
電話:0266-57-2000
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://online.garasunosato.shop/items/49428257
オンラインショップ:https://online.garasunosato.shop/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
岩波尚宏(株式会社信州諏訪ガラスの里 会長)
1972年生まれ。2012年、代表取締役に就任。中山道・甲州街道分岐の地下諏訪宿本陣岩波家第28代目当主(県宝指定)。SUWAブランド推進委員会委員長(SUWA6市町村地域ブランド推進活動)。SUWAアートリング協議会会長(SUWA地域美術館・博物館連合)。片倉館(国指定重要文化財)理事。
<文・撮影/奥山りか MC/山口優花 画像協力/信州諏訪ガラスの里>