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日常にサステナブルな取り組みを。洗って繰り返し使える美濃焼のストロー「MYSTRO(マイストロ)」

2024/07/11

今回アッキーこと坂口明子編集長が気になったのは、美濃焼の産地のひとつ、岐阜県土岐市から生まれた陶磁器製のストロー。洗って何度も使うことができるエコなアイテムで、多彩なデザインも魅力です。MYSTRO(マイストロ)の特徴や誕生秘話について、株式会社カネス 代表取締役社長の酒井英臣氏に取材陣がお話を伺いました。

株式会社カネス 代表取締役社長の酒井英臣氏
株式会社カネス 代表取締役社長の酒井英臣氏

―会社の沿革を教えてください。

酒井 美濃焼に上絵付け(うわえつけ)を施す加工会社として、祖父が1960年に「カネス酒井澄男商店」を設立したのがはじまりです。父(現会長:酒井正元氏)が2代目に着任してからは、地元の岐阜だけでなく、美濃焼の販売先の問屋さんにも陶器を販売するようになりました。その後、2009年に社名を「株式会社カネス」に改め、お客様のご要望にあわせた提案や、業務用食器の企画から製造、販売までさまざまなサービスを提供しております。近年はECサイトにも力を入れ、個人のお客様向けにも陶器を販売しています。

―今回紹介する「MYSTRO(マイストロ)」の特徴は?

酒井 特殊な製法により、約0.7mmの薄さに成形した陶器製のストローで、洗って繰り返し使うことができます。一般的な磁器の約2.5倍の曲げ強度をもつ素材を使用しており、割れにくいのが特徴です。また、熱伝導率がいいので、冷たい飲み物をよりおいしく味わっていただけます。

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美濃焼の頭文字“MY”と、巨匠や指揮者などを意味する“maestro”、マイ箸ならぬマイストローから
「MYSTRO」と名付けられた。

―なぜ陶磁器製のストローを?

酒井 2019年の5月頃、取引先から「陶磁器でストローを作ってほしい」と言われたのがきっかけです。理由を伺うと、「カフェで打ち合わせした際、時間の経過とともに紙ストローがふやけてしまい、飲み物の味もまずく感じた」と言うのです。紙ではなく、陶器のストローがあればと相談を受けました。ところが、これまでに円筒形の食器を見たことがないので、成形する方法がわかりません。商品化は難しいと思っていました。

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グラスやドリンクにあわせて、絵柄をチョイスする楽しみも。

―そこからどのように開発を?

酒井 長年、陶器を扱ってきた者として、「作ったことはないけれど何とかならないか」という思いで実現方法を模索しました。美濃焼でストローを作るなんて聞いたことがありませんから、商社やメーカーさん、地元の陶磁器試験場など、いろいろな方に相談しました。その甲斐あって、何とか円筒形は実現できたのですが、最初はとても商品化できるものではありませんでした。ストロー状にするにはかなり薄くする必要がありますが、あまり薄いと強度も下がってしまいます。そこで原料に「アルミナ」という素材を採用し、強度を高めました。

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薄さは約7ミリ。一般的なストローと同じ感覚でドリンクを飲むことができる。

―制作工程を教えてください。

酒井 作業工程ごとの分業制です。成形と窯焼きは外注し、その他の部分を自社で担っています。まず円筒状に成形された状態の素地を仕入れ、弊社で口元部分を滑らかにするために水拭きをします。その後、素焼きしたものに絵付けをし、釉薬をかけて仕上げたら完成です。

―絵付けするときの工夫は?

酒井 特殊な和紙に絵柄を印刷した銅版紙を使用して絵付けしています。短冊状にカットした和紙を素焼き状態のストローに巻き付け、水を含ませると絵柄がストローに転写される仕組みです。通常、素焼きの器は水をよく吸うのですが、MYSTROは特殊な素材が含まれているため、あまり水を吸収しません。デザインにより銅版紙の厚みも異なるので、巻き付け方法や水の量、タイミングなどを調節しながら作っています。

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ストローに触れると、ひんやりとしたドリンクの冷たさがダイレクトに伝わる。

―特に苦労したことは?

酒井 ストローの内側に釉薬が入らないようにするのが大変でした。陶磁器は窯焼きすると多少縮みますので、棒を入れて焼成します。ところが、釉薬がストローの内側にかかってしまうと、棒にくっ付いて焼けなくなってしまうのです。いまでも試行錯誤しながら、一つずつ手間ひまかけて制作しております。

―発売後の反響はいかがでしたか?

酒井 有難いことに「エコなストローを作ってくれてありがとうございます」という、うれしいご感想をたくさん頂戴しました。メールではなく、わざわざ電話でお礼を伝えてくださったお客様もいて、苦労して作った甲斐があったと感じています。おかげさまで、プラスチックストローの代わりにとお求めいただくことも増えて参りました。ウミガメの鼻に刺さったプラスチック製ストローを抜き取る映像に衝撃を受けたというお声もよく耳にしますので、脱プラスチックに共感されている方が多いのだと思います。

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多彩なデザインの美濃焼ストロー。おうちカフェタイムが贅沢な時間になりそう。

―どのようなシーンで利用されていますか?

酒井 陶磁器にはいろいろな絵付けができますので、お店のロゴを入れたり、記念品として企業様のお名前を入れたりと、さまざまな要望にお応えして参りました。これまでに100種以上のデザインを制作しております。また、プラスチック製ストローの代わりに購入される個人のお客様も増えてきました。1セットにつき、1本の洗浄用ブラシが付属しておりますので、衛生面も安心かと思います。

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持ち運びに便利なステンレスケース付セットも販売されている。

―使用時の注意点を教えてください。

酒井 硬くて割れにくいとはいえ陶磁器製です。歯でストローを噛んだり、振り回したりすることはお控えください。また、マドラーのように強くかき混ぜると、グラスのほうが割れてしまうことがあります。
お手入れ方法としては、付属のブラシで内側をやさしくこすり、外側は台所用の中性洗剤で洗ってください。使用後はすぐに洗い、よく乾かしておくと清潔に使えます。汚れが気になるときは台所用漂白剤もご利用いただけますが、食器洗い乾燥機は使用できません。これは強度の問題ではなく、洗剤が内側に残ってしまう可能性があるためです。

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ブラシや本体を回しながら、やさしく洗うのがポイント。
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高級感のあるパッケージデザイン。大切な方への贈り物にも。

―今後の展望をお聞かせください。

酒井 美濃焼ストローの認知度を高めていく活動に力を入れていきたいと思います。繰り返し洗って使える陶磁器製ストローを生活に取り入れていただき、プラスチックごみを減らせるお手伝いができればうれしく思います。
また、高齢化により窯元が年々減少していますので、今後は若い世代の方にも、モノづくりに対する興味をもってもらうことが大切です。日本の伝統工芸、美濃焼を受け継ぐ人が増えていくよう、地元を盛り上げていきたいと考えております。

―貴重なお話をありがとうございました!

MYSTROマイストロ レギュラー(20cm)1本セット

「MYSTROマイストロ レギュラー(20cm)1本セット」
セット内容:マイストロ1本、専用洗浄ブラシ1本(ピロー型パッケージ入り)
サイズ(約):ストロー・直径0.7×長さ20.0cm/専用洗浄ブラシ・全長20.3cm/ピロー型パッケージ・7.0×24.8×1.8cm
カラー:01ブルー、02ピンク、03イエロー
価格:¥2,530(税込)
店名:みんなの倉庫本店
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://minnano-souko.com/?pid=170507980
オンラインショップ:https://minnano-souko.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
酒井英臣(株式会社カネス 代表取締役社長)

1975年 岐阜県生まれ。オーストラリアや中国への留学を経て、2001年に株式会社カネスへ入社。2023年に同社代表取締役社長に就任。企業理念「笑顔と感動の器をすべての人へ」に基づき、さまざまな事業を展開している。

<文・撮影/香川けいこ MC/三好彩子 画像協力/カネス>

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