今回、編集長のアッキ―こと坂口明子はとても履き心地がよく運動性能に優れた靴下に注目しました。「近畿地方発明表彰近畿経済産業局長賞」を受賞した高品質靴下を製造するのは、日本製靴下の60％を生産する奈良県を本拠地にする西垣靴下株式会社。靴下専門メーカーとして8点の特許と21点の意匠登録を持つほどの高い技術力を誇っています。
“お客様目線の商品づくり”をスローガンに製造を手がける同社代表取締役社長の西垣和俊氏と執行役員の矢羽野緑氏に、商品のセールスポイントなどを取材陣がインタビューしました。

西垣靴下株式会社 代表取締役社長の西垣和俊氏

―はじめに貴社の歩みを教えてください。

西垣　当社は1953年に繊維業の盛んだった当地大和高田市で、当初は農業を営みながら靴下の製造を行っていた先代が「西垣文夫商店」の名で創業したのが発祥です。
その後、さらに活況になった靴下生産の需要拡大とともに、会社として事業化を進めていきました。

―奈良県で繊維や靴下製造が普及した背景は？

西垣　奈良県の大和盆地は雨が少なく稲作にあまり向いてなかったため、綿花の主要生産地になったという江戸時代からのバックボーンがあります。
繊維産業の集積地にもなった関西の都市に近い立地にも後押しされ、明治時代には紡績業がますます発展していきました。

そのあと靴下生産が盛んになったきっかけとしては、明治時代にアメリカから機械が入ってきたことが大きく関与しています。西洋化の波の影響で「大和絣（やまとかすり）」が衰退した頃、農業と副業で扱いやすい靴下の機械がタイミングよく導入されたことで奈良県に普及が進んだとされています。

企画から製造まで一貫して手がけ、
最新設備と特許技術を駆使して高付加価値商品を製造する。

―その後に転機になった出来事はありますか？

西垣　20年ほど前からスーツをはじめとした衣料品の中国生産が主流となったため、すべての国内アパレルメーカーがあおりを受けました。弊社も3足1,000円といった輸入靴下に押されて、売上高は当時の4分の1以下に縮小しています。

対応策としてそれまでのOEM生産といったBtoBだけでなく、直接消費者に販売するBtoCの「エコノレッグ」ブランドを立ち上げています。EC販売にも注力して一般消費者の声を聞き、製品の開発に生かしてきました。

―今回ご紹介の「バリエクロスミドル タビ アウトドア」の特徴を教えてください。

西垣　この靴下はアウトドアシーンで効果を発揮する高機能でありながらもスタイリッシュなデザインでタウンユースにも履いていただきたいと足本来の機能をサポートするためのテーピングソックスです。
代表的な特徴としては、意匠登録をしている「クロステーピング」という技術を用いることで足を安定させて左右にぶれないことです。疲れにくくグラグラしないため捻挫などのケガ予防にもなります。

また「編み込み滑り止め」も注力ポイントで、外にも内にも滑らずにしっかりグリップすることでより疲れにくい構造になっています。

「クロステーピング」は足をクロス状にテーピング加工することで、
ズレずに疲れにくいのがメリット。

―親指を分けているメリットをお聞かせください。

西垣　事例を挙げると、下駄や草履（ぞうり）で走ろうとすれば親指で鼻緒の付け根を握らないといけないのですが、靴履きの現在はその必要はありません。土踏まずができずに偏平足の人が増えているのは、親指にほとんど力を入れなくなったせいです。

足袋の形状にして親指を使うことによって筋力を自然と使い、足本来の機能を果たすためにこのデザインにしました。

靴の中での滑りを抑えてグリップ力を向上させることで強く踏ん張ることができ、
運動効率がアップ。

―「疲れしらずのくつした カラフル」の特徴はいかがでしょうか？

西垣　こちらはモノづくりの町東大阪の工場18社で働く方からご意見を聴取して2年にわたる開発により2020年に完成させた製品です。そこで一番の問題点は、安全靴の底に金属が入っているので普通のパイル編みの靴下だとすぐに破れてしまうことです。

西垣　それを防ぐため強度を10倍に高め、クッション性を2倍にした独自開発のパイル編みを採用し、インソールを履いているようなクッション性を実現しています。

足の形をとらえて歩行時の衝撃を和らげるため、
土踏まずの部分に通常の靴下の4倍（又はパイル編みの2倍）のクッションを施している。

―商品力が評価されていろんな賞を受賞されていますね？

西垣　おかげさまで2020年に「近畿地方発明表彰近畿経済産業局長賞」をいただき、日本の優れた“おもてなし心”あふれる商品・サービスを発掘し、世界に広めることを目的に、創設されたアウォード、「おもてなしセレクション2020」の金賞もいただくことができました。
これからも技術力を磨いて皆さまに喜ばれるメーカーを目指していきたいと思います。

足の甲の部分とかかとをテーピングするように編み上げ、
ほどよく足を締め付けることで歩行をサポートする。

―今後の展望をお聞かせください。

西垣　今後とも私たちはこれまで同様、技術を磨きながら特許や意匠権を取ることで差別化を進めていく方針です。
そしてお客様の声を聞くメーカーとしてさらに磨きをかけ、自分の考えではなく履いた人が本当に快適と思ってもらう100%気持ちのいい靴下づくりを手がけていきたいと思います。

―本日はありがとうございました。

「バリエクロスミドル タビ アウトドア」
（サイズ：22-25、25-27、27-29
カラー：ブラウン、ライトグレー、ローズ、フジ、ダークグレー）
価格：¥1,980（税込）
店名：エコノレッグ
電話：0745-52-0057（10:00～17:00 土日祝日除く）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.econoleg.com/?pid=176817571
オンラインショップ：https://www.econoleg.com/

「疲れしらずのくつした ®カラフル」
（サイズ：22-25、25-27
カラー：エンジ、ベージュ、デニム、ブラック、ピンク、ライトグレー）
価格：¥1,980（税込）
店名：エコノレッグ
電話：0745-52-0057（10:00～17:00 土日祝日除く）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.econoleg.com/?pid=176817379
オンラインショップ：https://www.econoleg.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
西垣和俊（西垣靴下株式会社 代表取締役社長）

1957年奈良県生まれ。
西垣靴下株式会社・㈱式会社エコノレッグ社長。
靴下ソムリエ認定。
2021年度大和高田市産業優良者表彰受賞。
経済産業省より地域未来牽引企業選定。
発明協会近畿経済産業局長賞受賞。
大和高田市FMヤマトで第2、4水曜日午後1時から「くつしたわぁるど」放送中。
MBS・ABCラジオにて宇宙一靴下大好き社長で生コマーシャル出演中。

＜文・撮影／田中省二　MC／三好彩子　画像協力／西垣靴下＞