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縫い代がない立体構造のハット。ゆったりかぶれて、たたんでもシワになりにくい「3D BUCKET HAT」

2024/08/09

今回アッキーこと坂口明子編集長が気になったのは、ニット帽感覚でかぶれる「3D BUCKET HAT」。開発したのは、新潟県に本社を構える老舗ニットメーカー「丸正ニットファクトリー株式会社」です。会社の沿革や、アウトドア製品の開発を始めたきっかけについて、代表取締役の佐野統康氏に取材陣が伺いました。

丸正ニットファクトリー株式会社 代表取締役の佐野統康氏
丸正ニットファクトリー株式会社 代表取締役の佐野統康氏

―会社の沿革をお聞かせください。

佐野 1832年に織物業として創業し、今年で192年目になります。戦時中は物資統制により廃業や休業に追い込まれる企業が多いなか、軍服の生産に関わり事業を継続することができました。戦後は丸正機業株式会社を設立し、織物、撚糸と事業を拡大し丸正織物へと社名変更。1982年にはニット製造業へ転換し、1994年に現在の社名となりました。
当初は商社や問屋経由の取引がメインでしたが、リーマンショックを機にアパレルメーカーや小売チェーン店と直接取引するように。アパレルメーカーの企画商品を製造する下請けから、自ら商品を企画開発するスタイルを確立し、自社ブランドを展開しています。

―新ブランド「ROUVER(ルーバー)」を立ち上げたきっかけは?

佐野 コロナ過で多くの事業がストップしてしまい、自分たちにできること、やるべきことは何かを改めて考えました。そこで始まったのが、キャンプ好きの社員が有志で立ち上げたブランド「ROUVER」です。経営陣が上から指示を出すトップダウンではなく、社員たちが自らアイデアや企画を出して進めるボトムアップによりスタートしました。予算やコスト面だけは経営者としてアドバイスをしながら、プロジェクト自体は社員に一任しています。

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ブランド名の「ROUVER」には、
『つくられた道を越え、冒険する開拓者のように、好奇心とチャレンジ精神を忘れない』という思いが込められている。

―今回紹介する「3D BUCKET HAT(3D バケットハット)」の特徴を教えてください。

佐野 近年、街でもアウトドアでも活用できるファッションアイテムが浸透しつつあります。日常でも使えるデザインを取り入れ、シーンを選ばすに着用できる商品として「3D バケットハット」を開発しました。素材はポリエステルで、平面糸と呼ばれる長繊維の糸を使用しています。特殊加工を施して糸にふくらみを持たせておりますが、見た目ほどボリュームはなく、実際に手に取ると軽くてやわらかいのが特徴です。

このハットは、ホールガーメント編み機を使用し、立体構造に編み上げています。縫い代がないので、かぶり心地がよく、やさしく頭を包み込みます。ニット帽のように伸縮するため、多くの方に幅広いシーンで着用いただける商品です。

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ゆったりした着用感と、かぶり心地のよさが魅力。

―ホールガーメントとは?

佐野 和歌山県の島精機さんが開発した無縫製のニットウェアのことです。通常は、身頃や袖などパーツごとに分けて生地を裁断し縫い合わせますが、この製法だと、裁断や縫製することなく立体的に編み上げることができます。原料が無駄にならず、端切れなどのごみを減らす効果も期待できます。

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ストラップは取り外し可能。街やアウトドアなど、シーンにあわせて使える。

―どのようなシーンにおすすめですか?

佐野 普段使いから旅行などのお出かけまで、幅広くお使いいただけます。ニット帽のように伸縮性もあるので、ワンサイズで性別問わず着用可能です。また、まるめて小さくたたんでもシワにならず、カバンに入れて持ち運ぶこともできます。お手入れする際は、ご自宅の洗濯機で手洗いモードで洗ってください。洗っても数時間で乾き、型崩れすることもありません。

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定番から落ち着いた色合いまで、好みで選べるカラーバリエーション。

―開発中に大変だったことは?

佐野 OEM製品と、自社ブランド商品の開発を同時に進めたことです。ところが社員自ら企画を出し、好きなことを楽しみながらやることで、相乗効果も生まれました。週末にアウトドアイベントに参加したり、キャンプや登山に行って着用写真を撮ったりと、若手社員からも自社ブランドの販売促進につなげるための熱意が伝わってきます。ブランド設立から3年が経ち、おかげさまで新潟県内での認知度も高まっているようです。今後は、弊社ならではの「ニット×アウトドア」という強みを活かし、ブランドを継続していく戦略を練ることが大切だと考えております。

―2023年に、名誉ある認証を受賞されました。

佐野 昨年、日本メンズファッション協会が実施する「MFUマイスター《技術遺産》認証」を受賞しました。弊社の高い技術力や知識、これまでの伝統が認められ、大変光栄に存じます。これもひとえに取引先の皆様やお客様の支えがあったからこそ、受賞できたと実感しております。日本の技術や産地を盛り上げる活動をする役目をいただいたと考え、社員一同、今後も力を合わせて取り組んでいきたいと思います。

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2023年 MFUマイスター《技術遺産》認証・授賞式の様子。
(右から3番目が佐野社長)

―今後の展望をお聞かせください。

佐野 自ら商品を企画して販売する能動的な事業を展開していきたいと思います。これまで培った技術や経験を活かし、魅力ある商品を提案・開発し、ワンランク上のニットメーカーを目指したいと考えております。また、海外の展示会への出展も視野に入れ、丸正ニットというファクトリーブランドを世界に広く知ってもらえる取り組みにも力を入れつつ、8年後に迎える創業200周年に向けて、国内だけでなく海外でも認められる「感動品質」のモノづくりを続けて参ります。

―貴重なお話をありがとうございました!

3D BUCKET HAT / 3D バケットハット

「3D BUCKET HAT / 3D バケットハット」
カラー(全6色):ベージュ杢・ネイビー・グレー・チャコール・マスタード・ブラック
素材:ポリエステル100%
丈:約16cm、つばの長さ:約7cm、頭周り:52cm
価格:¥6,600(税込)
店名:ROUVER webstore
電話:0258-63-3213(8:30~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://rouver.thebase.in/items/72069116
オンラインショップ:https://rouver.thebase.in/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
佐野統康(丸正ニットファクトリー株式会社 代表取締役)

1966年 新潟県見附市生まれ。青山学院大学を卒業後、1989年に伊藤萬(現:日鉄物産株式会社)へ入社。7年間勤務したのち1996年に帰郷し、丸正ニットファクトリー株式会社に入社。1999年7代目として同社代表取締役社長に就任。地場繊維産業の振興に注力しながら、日々挑戦と努力を続けている。
2023年9月、次時代に伝承すべき高度な技術、知識、見識をもつ名人として、一般社団法人日本メンズファッション協会の「MFUマイスター《技術遺産》認証」を受賞。

<文/香川けいこ MC/木村彩織 画像協力/丸正ニットファクトリー>

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