今回編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、発色のよいレザーとポップなバイカラーが心を惹きつける「がま口シリーズ Tonerico(トネリコ)」。本商品を製造・販売するのは、東京都足立区舎人の革工房・有限会社ヴェールポイント。同社の代表取締役・佐藤昭浩氏に、商品の魅力とこだわりについて、取材陣がお話をうかがいました。
財布・小物入れに。イタリア産の高級革を使用したバイカラーのおしゃれな「がま口シリーズ Tonerico(トネリコ)」
2024/09/18
有限会社ヴェールポイント 代表取締役の佐藤昭浩氏
―御社の事業概要を教えてください。
佐藤 当社は明治時代から3代続く、革製品の製造・販売を行う企業です。東京都足立区の舎人に工房を構え、さまざまなブランドのOEM商品の生産を中心に、財布だけで年間約3万点の製品を製作しています。がま口財布やポシェットなど、立体縫製を採用した製品が得意です。国産の希少性の高い口金(くちがね)を使用して現代風にアレンジした商品など、当社オリジナルの製品も手がけています。
―社長に就任されるまでの経緯をお聞かせください。
佐藤 祖父の代から革工房を営んでおり、祖父や父、それに叔父や叔母が職人として製品づくりを行う姿を幼い頃から見ていたので、自然と同じ職人の道を志すようになりました。高校卒業後はバッグメーカーに就職し、12年間勤めた後、父のもとで財布づくりや革加工の技術などを学び、1999年に当社を法人化。代表取締役に就任しました。
代々受け継がれてきた職人技によって、上質な革製品が作り出される。
―バッグメーカーではどんなことを学ばれましたか?
佐藤 バックづくりだけではなく、販売店への営業や、ほかの職人さん・デザイナーさんとの折衝業務など、メーカーの仕事を広く学ばせていただきました。また、横のつながりも、メーカー勤務をとおして得られたことのひとつです。その頃に知り合った方のなかには、独立して革屋さんを始めた方、お仕事のお声がけをくださる方など、今でも懇意にさせていただき、助けてくださる方々がいらっしゃいます。本当によい経験をさせていただきました。
―自社オリジナルの商品展開を始めた理由は?
佐藤 世の中にはいい革がたくさん出回っていますが、非常に高価です。OEM商品の場合、当然、お取引先様の予算ありきで製造するため、使用する革の価格帯にはある程度制限があります。自社オリジナルのブランドを立ち上げることで、自分たちがいいと思った革を使い、自分たちが作りたくて作ったものを、自分たちの思いを込めた製品を、気に入って持っていただけるお客様に直接お届けしたい、と考えたのが理由です。
植物タンニンなめしの革を使用した「Tsurane(ツラネ)」(写真左)、
高品質ながら身近で使いやすい「Semper&Cote(センペルアンドコッテ)」(写真右)など、
オリジナルブランドを展開。
―今回ご紹介いただく「がま口シリーズ Tonerico(トネリコ)」について教えてください。
佐藤 祖父はがま口職人として、父は財布職人として技術を磨き、私はその両方の技術を受け継ぎました。当家の伝統を受け継ぐ代表的な製品はがま口であり、このがま口の魅力を幅広い世代に知ってもらいたい、がま口をもっと身近に感じてもらいたいと考え、立ち上げた当社オリジナルのブランドです。
発色のよいイタリア産の革を使用しているのが特長で、平面から曲線へ、左右均等に包み込むように製作しています。ふっくらと丸みのある仕上げは当社の得意技です。
ワンタッチでぱかんと開くがま口はユニバーサルデザインでもあり、どんな方にも使っていただきやすいデザインです。またお財布としてだけでなく、アクセサリーやイヤホン、化粧品、スマホなど、さまざまな物を収納できる小物入れとしてもご使用いただけます。
サイズ展開は、
がま口ショルダ(22cm×14.5cm×5cm)、がま口M紐付き(15cm×11.5cm×5cm)、
がま口親子(15cm×11.5cm×5cm)、がま口S紐付き(9.5cm×9cm×4cm)、
がま口S(9.5cm×9cm×4cm)、がま口ミニ(9.5cm×6.8cm×3cm)」の全6種類。
カラーは、チョコミント、シトラスオレンジ、クレタローザ、アズーラシトラス、
ストロベリーオルキディア、ミントクレアの全6種類。
鮮やかな色合い、モダンで上品なデザインは大人の女性に寄り添い、華やかさをプラスする。
「がま口親子」タイプには、がま口の中にもう1つがま口を設けている。
3層に分かれているため、使いやすい。
―商品を製作する際に、苦労されたところは?
佐藤 口金は、一般的には金具がそのままになっているものが多いのですが、この商品において、バイカラーであることはとても重要な要素だと考え、口金に革を巻き込み、配色を楽しんでいただけるデザインにしました。巻きやすいように革を1ミリ以下にまで薄くして口金に巻いていくのですが、この作業が大変でした。色のバリエーションも、色を選んでは実際に作ってというのを繰り返し、開発に1年半ほどかかりました。
業界では「がま口の佐藤」と呼ばれる存在。細部に至るまで丁寧な仕事が光る。
―なぜトネリコというシリーズ名に?
佐藤 当社が舎人という地域にあり、舎人の響きに近いトネリコという名前の木が、しなやかで強く、街路樹などにも使われる身近な木であったため、製品のイメージにも合うことから名づけました。
シリーズのすべての製品に、トネリコの葉をモチーフにしたチャームがついている。
―御社のものづくりにおけるこだわりや大切にしていることは?
佐藤 使用する革は、イタリアやフランス、スペインなどから仕入れるなどして、特にこだわっています。ありがたいことに、仕事をとおして知り合った方を介して日本に流通してないような珍しい革を仕入れさせていただいたりもしています。本当に人とのつながり、ご縁は大切だと感じています。
またものづくりは常に、こだわりと妥協のせめぎ合いです。お客様にもそこまでこだわらなくていいよと言われることもあるのですが、やはりいいものを持っていただきたいという想いがあるので、できるだけ妥協しないという姿勢を大切に、今後もものづくりを続けていきたいと思います。
―貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
「がま口シリーズ Tonerico(トネリコ)」
サイズ:がま口ショルダ(22cm×14.5cm×5cm)、がま口M紐付き(15cm×11.5cm×5cm)、がま口親子(15cm×11.5cm×5cm)、がま口S紐付き(9.5cm×9cm×4cm)、がま口S(9.5cm×9cm×4cm)、がま口ミニ(9.5cm×6.8cm×3cm)
カラー:チョコミント、シトラスオレンジ、クレタローザ、アズーラシトラス、ストロベリーオルキディア、ミントクレア
価格:¥7,480(税込)~
店名:ヴェールポイント オンラインショップ
電話:03-3856-9876(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.vert-point.com/products/list?category_id=8
オンラインショップ:https://vert-point.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
佐藤昭浩(有限会社ヴェールポイント 代表取締役)
1966年 東京都生まれ。祖父がガマ口職人、父が財布職人の家庭に生まれる。高校卒業後、バッグメーカーに就職し、12年間バッグ製作について学ぶ。その後、父のもとで財布の製作技術を学び、1999年に有限会社ヴェールポイントを設立。代表取締役を務めながら現場の最前線に立ち、妥協のない商品づくりに取り組んでいる。
<文/棚田れんげ MC/伊藤マヤ 画像協力/ヴェールポイント>