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伝統の琉球陶器を暮らしの中へ。使いやすさと美しさを兼ね備えた「琉球水玉」シリーズ

2024/09/30

今回、編集長アッキーこと坂口明子が注目したのは、魅力的な琉球陶器を現代のライフスタイルに合わせ、美濃焼でアレンジした「琉球水玉」シリーズ。ここには創業97年の焼き物メーカーだからこそ発揮できたアイデアとこだわりが詰まっています。昭和製陶株式会社の3代目社長 加藤源一郎氏にシリーズが生まれた経緯と魅力を取材陣が伺いました。

加藤源一郎社長
昭和製陶株式会社 代表取締役社長の加藤源一郎氏

―御社の歴史をお聞かせいただけますか?

加藤 私の先祖は瀬戸の陶祖と言われる加藤家の出身です。江戸時代は陶器の製造技術が一子相伝の特別な技術でした。明治になって藩がなくなると、誰でも自由に窯で焼けるように。岐阜県土岐市は東京と大阪の間という立地を生かし、早くからマーケットに進出していきました。当時から陶器の主流は真っ白な陶磁器。美濃の土は白さで劣っており、どうしても他産地ほどの白い陶磁器を作れなかったのです。

そこで大正時代、「白さでは勝負できない。地元の色のついた土を使って面白いものを作るしかない」と気づいたのがうちの会社の始まりです。5人の出資者で陶磁器の研究所としてスタート。しかし赤字続きで4人が辞めてしまいました。私の祖父だけが自分の商社の利益を投じて会社を支え続けたのです。

戦後、アメリカ向けの輸出で状況が一変しました。アメリカの人々には、美濃の土の色が作るカジュアルな食器が好まれて、会社は急成長。祖父の30年に及ぶ赤字経営が、ようやく報われたのです。

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アメリカへの輸出向けにデザインされた
「599パティオオリジナルシリーズ」は発売以来50年以上のロングセラーだ。

―加藤社長は3代目と伺いました。いつごろから後継者という意識がありましたか?

加藤 私は正直、継ぐつもりはなかったんです。大学卒業後は出版社に入りました。しかし、親に猛反対されて1週間もしないうちに退社。その後、陶器関連の東京の商社に入り、3年間の丁稚奉公を経て、実家に戻ってきました。

その後1975年の1月から昭和製陶に入社しています。製造現場、営業、企画など、様々な部署を経験しました。やはり製造現場を知らなくては社長はできません。過去に積み重ねてきたこの経験が今の自分を支えています。もともと作ることが好きだったので、製造現場には今も足を運んでいます。反対に、ものを売ったり買ったり、お金を計算したり、そういう仕事は苦手です(笑)。

―ものづくりにおいて大切にされていることは何ですか?

加藤 何よりも大切なのは、自分の会社で作るものに「誇り」を持てるかどうかです。たくさん作れば良いとか、安ければ良いとか、人の真似をすれば売れるとかいう考え方もあります。確かに、金儲けを優先するなら、そういうやり方の方が手っ取り早いのは事実です。

でも私は、やはり人に誇れるものを作りたい。郷土の良さを生かしたものづくりで、たくさんの人に広めていきたい。それが私の信念ですし、祖父も同じ思いで諦めずに会社を守ってくれたのだと思います。大げさかもしれませんが、自分たちの哲学が入ったものを作る。納得のいくものを作って、それを求めてくれるお客様に届けることが何より大事です。

その他
「新しいデザインや形状は陶器からは発想できない」という加藤社長。
電化製品やプラスチック製品、ガラス製品など
さまざまな素材からインスピレーションを得ている。

―「琉球水玉」シリーズ。とてもかわいらしい模様の焼き物だなと思いました。誕生のきっかけは?

加藤 あるお客様との会話がきっかけでした。私自身、琉球陶器が大好きで自宅でも使っているのですが、実は現代の生活スタイルにはあまりマッチしていないんです。食器洗浄機や電子レンジに使えなかったり、お手入れが大変だったりして、繊細で扱いづらく普段使いには向かない。ましてや業務用には使いづらい。それ自体が琉球陶器の魅力でもあります。

そのお客様はアメリカで陶器を販売されている方で「琉球陶器は素晴らしいが、割れやすく高価なので売るのが難しい。この雰囲気を残しつつ、もっと使いやすい器はできないか」とおっしゃっていました。そこで私も「確かにそうだ」と思ったのです。その方との会話が、琉球陶器の良さを生かした新しい器づくりのきっかけになりました。

その他
大勢の人に親しんでもらえるよう、
琉球陶器をアレンジして展開した「琉球讃歌」シリーズ。
「琉球水玉」「るり唐草」「サビ唐草」「琉球イッチン」という絵柄がそろう。

加藤 ただ、そのまま真似するのではなく、あくまで「琉球陶器の雰囲気をもった」オリジナルの器として作ることにしました。業務用としても家庭でも使えるように。具体的には、厚みを増して丈夫さを高め、食洗機対応にしました。琉球陶器の持つ力強い個性はそのままに、でもちょっと柔らかい印象に仕上げています。本物の琉球陶器と並べると違いがわかるはずです。

その他
料理店での使用はもちろん、普段の食卓にも彩りを添える一皿。
幅広いシーンで活躍する。

―「琉球水玉」シリーズにはどのような工夫をされたのですか?

加藤 素材は当社の得意とする美濃焼の土を使っています。模様の色には唐三彩を思わせるような、焼き物でよく使われる色合いを選びました。沖縄の大地の赤い土と海を思わせる、柔らかく優しい色合いを採用したのが「琉球水玉」です。

この水玉模様の濃淡にも実は秘密があります。職人が一つ一つ筆で丸を描いて焼くのですが、焼成時の温度によって釉薬が垂れ落ち、自然と濃淡が生まれる。まさに職人技です。

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ひとつひとつ表情が異なるのは、すべて職人の手作業で仕上げているから。
手になじむ、温かみのある質感が大きな魅力。

加藤 もうひとつのポイントが、側面のしのぎ。つるりとして無機質な印象になりがちな器に、あえてしのぎを入れることで温かみを出しました。素朴さ、温もりを表現するうえで、とても大切なポイントです。

―最後に、今後の夢をお聞かせください。

加藤 自分の会社だけでなく、美濃焼き全体の伝統をずっと守り続けたいと思っています。この町の陶器メーカーはどんどん減り続けています。美濃焼の技術はもちろん、焼き物に対するこの町の誇りや愛情を次の世代に繋いでいきたい。そのためにも陶器の良さ、美濃焼の素晴らしさを、日本中、世界中に発信し続けていかなければならないと考えています。

―貴重なお話をありがとうございました。

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「琉球水玉 しのぎ浅鉢 小」(サイズ:Φ14.5×4cm)
価格:¥1,430(税込)
店名:うつわや休兵衛
電話:0120-592-199(平日10:00~12:00/13:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kyuubei.jp/view/item/000000000126?category_page_id=all_items
オンラインショップ:https://kyuubei.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
加藤源一郎(昭和製陶株式会社 代表取締役社長)

1948年岐阜県土岐市生まれ。早稲田大学卒業後、1971年に東京都の陶磁器メーカーに入社し、陶磁器食器の百貨店卸売業を経験。1975年、昭和製陶(株)に入社。工場の生産現場を経験した後、1975年より営業部、企画部を経験。1992年、中国合弁工場を開始。2000年、代表取締役社長に就任。

<文・撮影/西村初音 MC/菊地美咲 画像協力/昭和製陶>

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