飛騨産業_top

飛騨の匠の心と技が受け継がれた伝統技術が生む、最高の座り心地とデザイン。「SEOTO‐EX アームチェア」

2024/09/06

今回、編集長アッキーの目に留まったのは、飛騨高山の伝統技術が生む「SEOTO-EX(セオト イーエックス) アームチェア」。1300年以上の歴史を持つ木材加工技術に、現代のデザインと医学・人間工学を融合させた、長時間座っても疲れない椅子です。今回は飛騨産業株式会社の代表取締役社長 岡田明子氏に取材陣がお話を伺いました。

飛騨産業株式会社 代表取締役社長 岡田明子氏
飛騨産業株式会社 代表取締役社長の岡田明子氏

―会社の沿革を教えてください。

岡田 大正9(1920)年、1300年以上に渡り培われてきた木工技術と豊富な森林資源を背景に、飛騨の発展を願う有志が「無用の長物」とされていたブナを活かし、曲木家具づくりをはじめました。先人たちのひたむきな努力と挑戦により、飛騨は日本を代表する家具の産地へと発展しました。
しかしバブル崩壊の1990年代より急速に業績が悪化。そんなときに会社立て直しのため白羽の矢が立てられたのが私の父(現会長)です。父はもともと家業の荒物屋をホームセンターとしてチェーン展開に成功していましたが、本人の希望のもと50代で引退、あとは悠々自適な生活をするつもりだったようです。
飛騨産業立て直しのお話をいただいた際、最初は断るつもりだったようですが、父の曾祖父が創業の際の出資者のひとりだったこと、地元の誇りである会社であることから引き受ける決意をしたと聞いています。

―どのように経営を立て直したのですか?

岡田 経営が傾いた理由は、売れていた頃のやり方を変えられなかったことです。高度経済成長期に住宅が多く建ったことで、営業をしなくても売れていく時代が長く続きました。しかし、バブル崩壊と共に売れなくなったのです。良い商品を作っていましたが、営業が時代に合わなくなりました。そこで、小売業を経験していた父が生産と販売のそれまでのやり方を変えたのです。
例えば、父が社長に就任するまではロット生産で在庫を積み上げ、注文が入ったら販売するという形でしたが、トヨタ生産方式を導入し、受注生産ができる生産ラインに切り替えました。
また、問屋を経由していた売り方を、直接小売店に販売する形にしました。それらが功を奏し、会社を立て直すことができました。

飛騨産業_1
数千年に渡って木工文化を育んできた飛騨高山の伝統を受け継ぐ。
建築家・デザイナーの隈研吾(くまけんご)さんには
「飛騨産業は世界に誇るべき会社」と評価された。

―社長になられた経緯は?

岡田 会社を継ぐつもりはありませんでした。私は1983年、飛騨高山に生まれました。大学卒業後は大手アパレルに入社して、3年半ほど勤めた後に退職しました。その後、弊社に入社したのが、2011年です。
元々、飛騨高山に戻って来るつもりはなかったのです。小さな町で、居心地が悪いと感じる部分もありました。しかし、大きな会社で働く中で、父が必死で立て直しに臨む地域に根差した産業に魅力を感じる瞬間があり、私から父にお願いして、入社させてもらったのです。前職は販売職でしたが、弊社の仕事は生産現場が近くにあり、作り手の顔を見ることができるのが大きな魅力のひとつです。また、日々の仕事が何につながっているのかが、実感しやすく、人生をかけられる仕事だと感じています。
工場勤務、営業担当、海外事業担当を経て2018年、常務取締役に就任しました。代表取締役社長に就任したのは2021年12月です。

―社長就任後、ブランディングに力を入れたとか。

岡田 弊社は2020年に創業100周年を迎えました。100周年を期に自社の方向性を改めて定めたいという想いから、2019年よりブランディングプロジェクトを立ち上げました。
また、弊社は高品質な商品を作っているものの、そのブランドが世間から十分認知されていないのではないかという課題感があったことも、ブランディングを推進した理由のひとつです。
「ブランディングとは伝えたいことを正しく伝えること」だという前提をもとに、まず同世代のメンバーを中心としたチームをつくりました。そして、100年先を見据えたビジョンを2年かけて言語化したのが、飛騨産業の志「匠の心と技をもって飛騨を木工の聖地とする」と、4つの価値観「人を想う・時を継ぐ・技を磨く・森と歩む」です。
この4つの価値観に基づいて、Webサイトや全国にある店舗をリニューアルしています。

飛騨産業_2

―会社として特に大切にしていることを教えてください。

岡田 4つの価値観を言葉だけではなく、体現し続けることです。例えば2014年に一般社団法人として開校した飛騨職人学舎の存在があります。こちらは4つの価値観のうち「時を継ぐ」を体現した取り組みです。
飛騨には1300年以上に渡る木工技術の伝統があり、更にその歴史は縄文時代にまで遡ることができるという説もあります。飛騨の縄文遺跡から出土する石器は、他の地域より鋭利で硬く、その石器で豊富な木々を伐り倒し、加工する技術が育まれたというのです。そして約1300年前、奈良の都に宮殿や仏閣が多く建設される際には、飛騨高山の職人が毎年100人ほど、奈良に派遣されていました。飛騨高山の職人は、古来より高い技術を持っていたのです。
そんな場所で、木工技術の伝統を受け継ごうと一流の職人を育てることを目的に飛騨職人学舎を開校しました。学費は無償、更に月8万円の奨学金を出しており、2年間の共同生活で人間性と技術を磨ける学校です。2024年時点で40数名が卒業しており、卒業生の半分近くが弊社で活躍してくれています。

―SEOTO-EXシリーズを開発した経緯を教えてください。

岡田 SEOTO-EX誕生の前にSEOTOというシリーズを発表し、大変ご好評いただいておりました。名前の由来は、瀬音(川のせせらぎの音)のことです。細かいディテールの中にちょっとした隙間があり、そこに吹き抜ける風のような、軽やかなイメージをシリーズ名にしました。
その後、産学官共同で、医学と人間工学に基づいた座り心地のいい椅子を作るプロジェクトを、2012年に立ち上げました。産が弊社で学が岐阜大学の医学部、官が岐阜県生活技術研究所です。
先に誕生したのは「腰に優しい椅子」シリーズです。2013年に発売しました。デザイン的には素朴で、座り心地を追求した椅子です。
しかし「デザイン性も持たせたい」ということでデザイナーの川上元美(かわかみもとみ)さんに依頼して、新商品の開発をはじめました。そうして誕生したのがSEOTO-EXです。
プロジェクトの前から存在していて人気だったSEOTOを、デザインをアレンジして、座り心地を進化させました。発売は2015年です。

飛騨産業_3
背骨のラインを意識した背もたれに、
身体負担を軽減するシート、美しいフォルム。軽さと丈夫さも併せ持つ。

―「SEOTO-EX アームチェア」はどのような商品ですか?

岡田 背骨のS字カーブをしっかりサポートします。背もたれを自然な背骨のS字カーブに合わせて設計しました。また、座面も特徴的です。座面後部を3次元に立ち上げることで、骨盤の後方回転を抑制してくれます。S字カーブを支えるため、長く座っても疲れない形状になっているのです。素材は、無垢の木を使っているので、軽量化しつつも丈夫な作りになっています。そして木材を、ホワイトオーク、ビーチ、ウォルナットに加え、クリも選べます。クリは国産材で、硬くて軽量で腐食しにくい特徴があります。
高さも、レギュラータイプとハイタイプが選べます。レギュラータイプは国内向けで、日本で使われている一般的なテーブルの高さの70cmに合わせて作られています。ハイタイプは海外に多いテーブルの高さ、75cmに合わせています。
張り布も、ランクや色を選べるようにしました。セミアーム(肘置きが短いタイプ)は税込84,700円~。フルアームは税込96,800円~です。(2024年8月時点)

飛騨産業_4
飛騨産業_5
木を中心としたインテリアによくなじむ。

―オンラインストアにも力を入れはじめたとか。

岡田 コロナ禍で店舗への来客が激減したタイミングで、ECに力を入れはじめました。リモートワークの方が増え、長く座っても疲れにくい椅子が好評で多くのお客様がSEOTO-EXをご購入くださり、今はオンラインストアでの売り上げも好調です。

―今後の目標を教えてください。

岡田 100年先を見据え、4つの価値観に基づいた事業展開、商品開発、人材育成をぶれずに行っていきたいと思います。

―貴重なお話をありがとうございました!

「SEOTO-EX アームチェア(張り座)」

「SEOTO-EX アームチェア(張り座)」
価格:¥96,800~(税込)
店名:飛騨産業公式オンラインストア
電話:03-5425-6661(11:00~19:00 火曜・第3木曜定休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://hidasangyo.com/products/detail/seotoex-kx260a/
オンラインストア:https://hidasangyo.com/products/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
岡田明子(飛騨産業株式会社 代表取締役社長)

岐阜県生まれ。南山大学外国語学部卒業。2011年飛騨産業株式会社に入社。2020年の創業100周年を機に、自社の方向性を定めたいという想いから前年からブランディングプロジェクトを立ち上げ、企業理念の言語化・体系化を牽引した。2021年12月、代表取締役社長に就任。

<文/林本直 MC/三好彩子 画像協力/飛騨産業>

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter