今回編集長アッキーが注目したのは、「にがり浴」で体がぽかぽか温まるバスソルト。天然のミネラルが血行を改善し、肌も保湿してくれます。この商品を開発したのは、大正時代から塩に関わってきた老舗企業である「仁尾興産株式会社」。老舗ゆえの保守的な社風を打ち破り改革を進める中で、生まれた商品でした。同社取締役社長 塩田健一氏の企業革新のストーリーと、そこに生まれたにがりブランド「umiral」について取材陣が聞きました。
海の恵みで体の芯から温まる「umiral(ウミラル) バスソルト」
2024/10/24
―御社は大正時代に製塩業で創業された老舗企業なんですね。
塩田 1919年創業、私で5代目になります。創業当時は讃岐の地・仁尾村で製塩業を営んでおりました。しかし、1972年に製塩の近代化を進めようと法律が改定され、全国に百数十社あった製塩業社が7社に統合されました。この大きな変化の中で当社は転業し、塩化マグネシウムの生産を開始しました。現在では、冷凍冷蔵倉庫の運営や、塩田として所有していた広大な土地を生かして不動産業も行っています。
入浜塩田の様子。
―塩田社長は当初、会社を継ぐつもりはなかったと伺いました。
塩田 東京生まれ東京育ちで、香川県にある会社のことをまるで意識せずに育ちました。こちらで外資系メーカーに就職し、やりがいも感じていましたし、次男だったのでまさか社長になるとは思っていませんでしたね。しかし、単身赴任で会社を率いていた父が、東京に戻ってくるたびに、「会社をついで継いでほしい」と言うんですよ。5年ほど断り続けていました。
―お気持ちが変わったのはなぜですか。
塩田 私の母に説得されたんです。創業者も父も、次男で会社を継いだ。次男のあなたがぜひ継ぐべきだと。それを聞いて、何か不思議な縁があるのかなと思ったんです。
会社は瀬戸内海に面した香川県にある。
塩田 もともと私はちょっと変わっていて、高校も大学もろくに行かず、アルバイトをしてお金を貯めては、旅行に出掛けるような人間でした。試験も受けずにリュックサックを背負って出ていってしまうから、母に「あなたは何になりたいの」と聞かれたこともあります。私は「強くて優しい男になりたい」と答えていましたね。アルバイトで学費も払っていたので、自立心も異常に強かったと思います。母はそんな私を見て、社長に向いているのではないかと思ったのかもしれません。
―社長に就任して、どんなことをしましたか。
塩田 父祖の地ではあるのですが、ほとんど香川県に行ったことがなく、会社にも足を運んだことがなかったので、カルチャーショックが大きかったです。正直に言ってまずびっくりしたのが、男女の差別です。女性社員が男性社員にお茶汲みをするのが慣例になっていて、トイレ掃除も全て女性社員が行っていました。男性のトイレもですよ。また、何十年も働いているのに、女性の給与はほとんど上がっていませんでした。まず、これらの格差を是正しました。お茶汲みはやめて、トイレ掃除は男性もやる。給与の男女格差はなくす。現代の企業として当然のことです。
香川県三豊市仁尾町にある本社。
塩田 また、私以降の社長は、創業家以外から選ぶことも決めました。「皆さんの中に次の社長がいる」と伝えたんです。
―大きな改革をされたんですね。反対されることはなかったですか。
塩田 本当に突然縁のないところから行って社長になったので、しがらみがなかったのがよかったのかもしれません。また、社員の皆さんが非常に真面目なので、これまでの慣例を守ってきただけだったのかもしれません。「お茶汲みなんて必要ない」と心の中では思っていた人も多かったのではないでしょうか。
真面目で実直で働き者で素晴らしい社員ばかりなんですが、真面目すぎて変化を嫌う傾向が非常に強かったんですよね。これからの企業は変化していかないと生き残っていけません。だから、私は社員にさまざまなところにアンテナを張って、変化や成長をしてほしいと考えました。そこで、映画や本、舞台鑑賞、海外旅行、スポーツクラブなど、文化的な行動に関して費用のサポートを始めました。レポートを提出すれば、支援金を利用することができるように整えました。
豆腐に使われるにがりを生産している。
塩田 企業の改革としては遠回りのように思えますが、企業は人でできていますから、社員の変化は会社の変化に直結します。実際に「はばたく中小企業300」にも選出され、リクルート面でも人が集まりやすくなり、改革の効果は出ているように思います。事務職を1名採用しようとしたら30人以上の応募があったり、一旦退社した人が出戻ってきてくれたりしています。会社が変わっている手応えを感じています。
―改革の中で、新たな商品が生まれたんですね。
塩田 当社は日本のにがり生産においてトップメーカーなのですが、にがりの良さを一般の消費者にも伝えたいと考えていました。そのためにカフェを作って豆腐教室を開くなど、少しずつBtoCの取り組みを始めたところでした。そこに製品開発やブランディングの経験がある社員が入社したので、彼女を中心に管理部でにがりを使った商品の開発を進めました。そして「umiral(ウミラル)」というブランドを立ち上げました。
ザクザクとした粗い粒子の入浴剤は効果抜群。
塩田 それが今回ご紹介するバスソルトです。塩化マグネシウム100%でできており、血行を改善してくれるのが一番の特徴です。サーモグラフィで検証を重ね、血行改善のエビデンスも得ました。さらに保温、保湿にも高い効果を発揮します。保湿効果があるので、アトピーなど皮膚が弱い人にも好評なんですよ。添加物ゼロで体に安全な素材で作られているので、安心して使っていただけますよ。洗面器にお湯を張って、足湯で使っていただいても良いかもしれません。入浴後も、ぽかぽかが続きます。
―今後の展望を教えてください。
塩田 保湿効果を利用して、同じブランドでハンドクリームも作りました。香り付きのバスソルトや、さらにヘルスケアアイテムなども開発予定です。現在は管理部門の女性社員を中心に進めているプロジェクトですが、しっかりと開発室を立ち上げて、力を入れていきたいですね。
今後は、お客様はもちろん、関連する企業や社員に至るまで、皆が幸せで満足できる商品や環境を作り上げていきたいです。
―貴重なお話をありがとうございました。
「umiral バスソルト」(350g)
価格:¥1,650(税込)
店名:umiral
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CL2KMM3N?ref=myi_title_dp
オンラインショップ:https://umiral.jp
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
塩田健一(仁尾興産株式会社 取締役社長)
1949年東京生まれ、法政大学応用経済学部卒。商社、外資系メーカーを経て、2025年仁尾興産取締役社長就任。ヨガや登山、SUPが趣味。座右の銘は「今を生きる」「当たり前と退屈を排除する」。
<文/鈴木満優子 MC/油井直美 画像協力/仁尾興産>