家の中やテーブルの上などに木のアイテムがあると、心が和みます。今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、ナチュラルモダンな雰囲気を醸し出すコースターと、木目×カラーの組み合わせが素敵なトレイ。いずれも北海道生まれのアイテムです。それぞれの誕生までのお話を、「有限会社グッドニュース」の代表取締役社長である渡邊恭延氏、商品の企画やセレクトを担当する渡邊雅美氏に取材陣が伺いました。
北海道の木のぬくもりをテーブルに。無垢材のコースター&トレイ
2024/11/15
有限会社グッドニュース 代表取締役社長の渡邊恭延氏(左)、渡邊雅美氏
―まずは御社の沿革について教えてください。
渡邊(恭) 「有限会社グッドニュース」は、「株式会社 北の住まい設計社」から分社化した会社です。「株式会社 北の住まい設計社」は1985年より、北海道上川郡東川町で廃校になった小学校をアトリエとし、無垢の木を使った家具を作り続けています。「有限会社グッドニュース」は1998年に生まれ、自然に寄り添う暮らしを表現するためのアイテムを扱う雑貨店、カフェを運営しています。
「株式会社 北の住まい設計社」の作業場は、北海道東川町の山奥、廃校になった小学校をリノベーションした建物内にある。
―渡邊社長はいつから家具を作り始められたのですか?
渡邊(恭) 学生時代でしょうか。もともとは意匠設計をやっていて、集中講義でデザインを学んだり、不器用なりに家具も作ったりしていたんです。卒業後に勤めた会社は建築系の事務所だったのですが、そこでも家具を作ることになりました。
その後、1978年に独立して、「株式会社 北の住まい設計社」を立ち上げました、すでに5、6人のスタッフが一緒だったので、食べて行くために飲食店の家具を企画したり、飲食店を経営してみたりもしました。ただ、どこかで違和感を感じるようになり、一度立ち止まるために会社を一旦休業状態にし、店も譲って、ひと月ぐらい北欧を旅することにしました。最初の2週間は、学生時代の教授のコーディネートで回り、後の2週間は夫婦でフィンランドにホームステイをさせていただく旅でした。
渡邊(雅) ホームステイ先は郊外の人参農家だったのですが、そこでさまざまな刺激をいただきました。例えばある日、ホストファミリーがパーティの準備を始めて料理やケーキのビュッフェが並ぶと、次第に人が集まって来たのです。そのうち牧師さん的な方が出てきて、カップルが来て、「あ、これは結婚式なんだ」と。その光景を眺めながら、手作りのあたたかなおもてなしにとても感動しました。またその家には、フィンランドを代表する洋食器「アラビア」のカップ&ソーサーがゲストの数だけ用意されていたり、織物など自然と共存・共生するようなものがセレクトされていたのですが、そのようなもの、ことに触れて、自分が次にやってみたいことが描けたような気がします。
―それが「グッドニュース」の立ち上げにつながるのですね。商品をセレクトする際は、どんなことを考えていらっしゃいますか?
渡邊(雅) 「私たちなりの心地いい暮らし」ということをテーマに掲げており、自分がいいと思ったもの、使いたいものをセレクトしています。
緑に囲まれた「北の住まい設計社 東川ショールーム」内に、「グッドニュース」の商品も並ぶ。
―今回は、そうしたアイテムから、コースターとトレイをご紹介いただきました。
渡邊(雅) どちらも弊社のロングセラー商品です。まず「ORIGINAL COASTER」は、「北の住まい設計社」の家具と同じ木材で作っており、食用の亜麻仁油で仕上げを行いました。素材は北海道産イタヤカエデ、北海道産ナラ、チェリー、ウォルナットの4樹種で、サイズはLとS の2種類。マグやグラスだけでなく、おやつなどを乗せるプレートとしても活用していただけます。
サイズは2種類、カラーは4色を揃えた「ORIGINAL COASTER 」。
―木のアイテムということで、取り扱う上で注意した方が良いことはありますか?
渡邊(雅) 無垢材なので、水に浸けたままにすると乾いた時に歪んだり割れたり反ったりする可能性があります。なので、水洗いよりも水拭きがおすすめです。また、表面がカサカサしてきたら亜麻仁油やオリーブオイルなど、何でも良いのでオイルを塗布していただければツヤが出て長持ちします。木も人のお肌と同じ。カサカサしてきたらちょっとお手入れしていただくと良い感じに落ち着きます。
お手入れをしながら、長く付き合っていきたいコースター。
―トレイについてもこだわりのポイントを教えてください。
渡邊(恭) 「ORIGINAL TRAY」は北海道産のナラ材、イタヤカエデ材にリノリウムの底板を合わせたものです。リノリウムというのは、医療施設で床材などにも使われている素材で、木の粉や石灰岩、松ヤニなどをアマニ油で固めたもの。抗菌作用があります。弊社には一時期、スウェーデン人のデザイナーが滞在してくれていたのですが、彼がナチュラルで良い素材の情報をたくさん提供してくれて、リノリウムもそのひとつ。とても勉強になりました。
医療施設で床材などにも使われていて、抗菌作用も。
―リノリウムは発色も良いのですね。
渡邊(雅) 北海道産ナラにはダークグレー、北海道産イタヤカエデにはライトグレーまたはレッドを組み合わせました。それぞれ、木の種類や表情、色に合わせてセレクトしたのですが、カップやお皿、グラスが馴染む色を意識しました。
―縁に少し角度がついているのはなぜですか?
渡邊(恭) トレイの四隅には埃が溜まりがちです。直角に組み立てたものだと拭き取りにくいので、ちょっと角度をつけて拭き取りやすくしました。また、このトレイはとても丈夫なのも自慢です。家具屋が作るアイテムだからこそ、強度には自信があります。
デザインだけでなく、実用性にも優れている。
―こちらもお手入れ方法はコースターと同じですか?
渡邊(雅) そうですね。無垢材の部分は同じようにしていただいて、リノリウムの面は水拭きし、汚れがついた場合は石鹸を使っていただいても大丈夫です。1点注意事項としては、お鍋とか熱いものをそのまま乗せるのは避けていただいた方が良いですね。
―「グッドニュース」のお客様の層は?
渡邊(恭) 30〜40代の方が中心ですが、50代の方、60代の方、私たちと同年代でここをスタートした時からのお客様も長く来てくださっていています。お子さんと一緒に来てくださる方も多いですね。
―本当におふたりの二人三脚ぶりが伝わるのですが、どちらもご出身は北海道ですか?
渡邊(雅) そうですね。私は若い頃、アパレル会社で販促企画を担当していて、主人はショップの什器を入れたりしていたのでその関係で知り合いました。当時、女性は結婚したら仕事をやめるといった風潮もありましたけど、私は自分がどう生きるべきなのか、自分の能力をどう活かし、何を生業にしていけばいいかとかそんなことを思っていて、そうした方向性も似ていました。それに、旭川は小さな町ですから、仲間たちとも皆で一緒にお酒を飲みながら、いろんなことを話しました。当時はグリーンレボリューションの話や、アメリカで人気が高まっていたアウトドアの話、ジーンズの話…。世の中がいろんな変化を求められていた時期でもありましたので、「自分たちがこの先何をすべきか」についても真剣に話していましたね。
―それが御社の「豊かな自然を守る」という思いにも繋がっているのですね。
渡邊(恭) 地球の豊かな環境を次の世代にも繋いでいきたいと会社をスタートさせて以降、その時々で想いが伝わるものづくりを続けてきました。この10年は、「北海道の木材しか使わない」ということにもこだわっています。以前は海外にも木材の買い付けに出かけたりしていたのですが、海外から輸入するとなると、木材の皮などに付いている虫を国内に持ち込まないようにするための防虫剤などが必要になります。私はそこで、そもそもナチュラルな木の家具に人工物が施されることに違和感を感じ、「これは私たちの目指すものと違う」と、そこから素材はすべて北海道産に切り替えました。
「株式会社 北の住まい設計社」が手がける家具より。
―今後のビジョンについても聞かせていただけますか?
渡邊(恭) ナチュラルなものづくりを続け、使い続けていくうちに味わいを楽しめるものをご提供することを大切にしたいですね。そしてもちろん、今後も北海道産の素材にこだわりながら、人の手で、家具作りを続けていきたいと思います。
「北の住まい設計社」様の家具は、購入したお客様から「家に入った瞬間、森の中にいるような香りがする」と喜ばれたことがあるそう。まずはコースターやトレイなど身近なものから北海道の木のぬくもりを感じてみては? お話をありがとうございました!
「ORIGINAL COASTER」(L:外径約11.5cm、内径約8cm、S:外径約10cm、内径約6.4cm)
価格:¥1,100(税込)
店名:GOOD NEWS by KITANOSUMA SEKKEISHA
電話:0166-82-4556(10:00~18:00 水・土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://goodnews-online.com/products/original-coaster-s-イタヤカエデ
オンラインショップ:https://goodnews-online.com
「ORIGINAL TRAY」(W40.5 cm×D30 cm×H3.4cm)
価格:¥14,300(税込)
店名:GOOD NEWS by KITANOSUMA SEKKEISHA
電話:0166-82-4556(10:00~18:00 水・土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://goodnews-online.com/products/original-tray
オンラインショップ:https://goodnews-online.com
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
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渡邊恭延(有限会社グッドニュース 代表取締役社長)
1945年北海道生まれ。1978年にデザイン事務所から独立し、株式会社北の住まい設計社を設立。1985年に東川町の廃校になった小学校を工房にし、職人集団として手仕事を生かした無垢の木で家具を作りはじめる。1998年より自然に寄り添う暮らしを表現するため、衣・食・住を提案するショップやカフェを有限会社グッドニュースとして運営開始。2001年には建築部門もスタートさせる。
<文/鹿田吏子 MC/伊藤マヤ 画像協力/グッドニュース>